ヴォート V−143試作戦闘機(V−141(ノースロップ3A))

Vought V-143 / V-141(Northrop 3A)

合衆国陸軍航空隊

V-143

Northrop 3A
(上段)V−143原型機/(下段)ノースロップ3A原型機

 1930年代初頭に米海軍は近代的な全金属製単葉戦闘機の開発を行うこととし、ノースロップ・ガンマや ノースロップ・デルタといった全金属製単葉機の開発実績がある米ノースロップ社に対して試作機1機を発注 した。
 ノースロップ社では、ノースロップ・デルタを縮小した低翼単葉固定脚の機体を1934年初頭に完成させ た。XFT−1と名付けられた試作機は同年1月中旬に初飛行し、その後海軍航空隊の評価試験を受けたのだ が、低速域での操縦性の悪さや尾翼部の振動問題、馬力不足などから航空母艦での運用に不向きとの評価を下 されることとなった。ノースロップ社では尾翼の改修と強力なエンジンへの換装を行い、再度米海軍の評価を 受けることになったのだが、性能こそ若干上昇したものの、さらに扱いにくい機体となっていたため、海軍は 採用を見送っている(その後、36年7月に試作機は墜落により喪われた)。  また、米陸軍もP−26に代わる新型戦 闘機の競争試作を実施しており、ノースロップ社ではXFT−2を引込脚に改良したノースロップ3Aを提出 したが、こちらの機体もXFT同様に飛行特性に不安定な所があったため、不採用となってしまった(このと き採用となったのはセバスキー社の機体(P−35)である)。
 その後、ノースロップ3Aの機体設計デザインはヴォート社に売却されV−141の名称が与えられた。ヴ ォート社では、ノースロップ機の問題点であった尾部の再設計(同社のSB2Uの 尾部を参考にした)を行い、37年にV−143を完成させた。しかし米陸軍に採用されることなく終わり、1機だ け製作された機体は、日本へ輸出され日本陸軍が機体開発の参考として利用した。
 太平洋戦争終結後に、V−143が日本へ輸出された事実や日本軍機を調査した米軍技術者の話から、「日本 の零式艦上戦闘機はV−143のコ ピーである」との説が流布したことがあるが、実際にはV−143の機体で参考になった部分は引込脚の構造部 分のみで、空戦性能が九七戦九六艦戦に劣るとして機体設計は参考に しておらず、また零式艦上戦闘機の設計開始がV−143の輸入より前だったこともあって、現在ではこの説を 是としている研究者はいない。

機体詳細データ(ノースロップXFT−1)
全長 6.68m全高 2.87m
全幅 9.75m翼面積16.40m2
自重1,120kg最大重量1,816kg
最高速度378km/h(高度1,380m)上昇限度8,075m
航続距離1,570km巡航速度不明
発動機プラット&ホイットニー R-1510-26 空冷星形複列14気筒 625馬力×1基
乗員数 1名総生産機数 1機
武装7.62mm機銃×2(機首固定)、116lb(53kg)爆弾×2搭載可能
機体詳細データ(ノースロップ3A)
全長 6.78m全高 2.77m
全幅10.21m翼面積17.37m2
自重不明最大重量1,769kg
最高速度434km/h上昇限度不明
航続距離不明巡航速度不明
発動機プラット&ホイットニー R-1535-6 空冷星形複列14気筒 700馬力×1基
乗員数 1名総生産機数 1機
武装7.62mm機銃×1、12.7mm機銃×1(各機首固定)
機体詳細データ(V−143)
全長 7.92m全高 2.84m
全幅10.21m翼面積17.37m2
自重1,583kg最大重量1,982kg
最高速度470km/h上昇限度8,534m
航続距離1,300km巡航速度不明
発動機プラット&ホイットニー R-1535-SB 空冷星形複列14気筒 825馬力×1基
乗員数 1名総生産機数 1機
武装7.62mm機銃×2(機首固定)、150lb(68kg)爆弾×2搭載可能
主要タイプ XFT-1:ノースロップ社が開発した試作艦上戦闘機。R-1510エンジン搭載(1機)
XFT-2:XFT-1の尾部を改修、エンジンをR-1535に換装した機体(1機改修)
Northrop 3A:XFT-2を引込脚とし、尾部・胴体を改修した陸軍向け試作機(1機)
V-141:ノースロップ社から購入した3Aの設計を元にヴォート社が製作した機体(1機)
V-143:V-141を改良した陸軍向け試作機。後に日本へ輸出(1機)