グラマン TBFアベンジャー艦上攻撃機

Grumman TBF "Avenger"

合衆国海軍航空隊 他

TBF
軽空母 キトカン・ベイ(USS Kitkun Bay)艦上で発艦準備中のTBF−1Cアベンジャー

 米海軍は戦争前に採用した ダグラスTBDデバステーター雷撃機ではエンジ ン出力の不足から艦載雷撃機の任務には能力不十分だと考えていたため、1939年10月後継機の競合設計 を各航空機会社に指示した。その性能要求は難しかったが41年になってグラマン社の機体が制式採用され、 ただちに生産契約が結ばれた。(このとき競合したヴォート社の TBUの方が能力的に優れていたのだが、 採用されたのはグラマン社の機体であった。詳細はTBUの項を参照のこと)
 1941年12月7日にグラマン社の新工場の除幕式が行われたが、奇しくもその日は日本軍による真珠湾 攻撃が行われた日であった。その日完成した新工場で生産されることになっていたTBFに「アベンジャー (復讐者)」という名前が付けられたのは順当なことであろう(ただし実際には開戦前に名前は決定されてい たため、対日開戦を命名の理由とするのは間違いである)。
 本機の実戦参加は42年6月のミッドウエー海戦であったが、この時は6機が出撃して1機しか帰還せずに 期待外れかと思われた。しかし、その後はこれ以上悪い結果も出さずに太平洋戦争終末まで活躍しつづけるこ ととなった。水上艦艇への雷撃の他、潜水艦ハントにもその能力を発揮し、日独の潜水艦を多数撃沈している。
 大戦後半からグラマン社の製造ラインは戦闘機製造にかかりきりとなってしまったため、当機の量産はGM (ゼネラルモータース)社のイースタン航空部門(イースタン・エアクラフト)が行うようになった。GM社 が製造した機体はTBMの名称が与えられている。
 本機は米国以外の国にも供給され、戦後にはかつての敵国である日本の海上自衛隊が運用していたこと もあった。

機体詳細データ(TBF−1C)
全長12.20m全高 4.19m
全幅16.51m翼面積45.52m2
自重4,788kg最大重量7,876kg
最高速度436km/h(高度4,570m)上昇限度7,100m
航続距離1,788km(内部燃料のみ)巡航速度237km/h
発動機ライト R-2600-8「サイクロン」空冷星形複列14気筒 1,700馬力×1基
乗員数 3名総生産機数9,836機以上
武装7.62mm機銃×2(機首固定、後方下部各1)、12.7mm機銃×3(主翼固定2、後方旋回1)、
航空魚雷×1または227kg爆弾×4など、主翼下に落下燃料タンク装備可能(1C型以降)
主要タイプ XTBF-1:原型機。R-2600-8エンジン(1,700hp)搭載
TBF-1:最初の生産型。原型機とほぼ同一。7.62mm機銃×2、12.7mm機銃×1
TBF-1B:TBF-1に小変更を加えた機体。主に英国への供与用として製作された
TBF-1C:TBF-1の7.62mm前方固定機銃を主翼搭載の12.7mm機銃×2に変更した機体
TBF-1CP:TBF-1Cの偵察型。撮影カメラ搭載。同様にTBF-1ベースのTBF-1Pもある
TBF-1D:TBF-1の機上レーダー搭載改修型。同様にTBF-1CベースのTBF-1CDもある
TBF-1E:特殊レーダーと航空電子装置を搭載したTBF-1改修型
TBF-1J:悪天候用の航空電子装置と照明灯を搭載した機体。武装はTBF-1準拠
TBF-1L:胴体下部に引き込み式のサーチライトを搭載したTBF-1改修型
XTBF-2:R-2600-10エンジン(1,800hp)搭載の転換型原型
XTBF-3:R-2600-20エンジン(1,900hp)搭載の改良型原型
TBM-1:GM社で製造された機体。TBF-1に準ずる
TBM-1C:GM社で製造された機体。TBF-1Cに準ずる
TBM-1D/E/J/L/P:グラマン社製造のTBF-1各型に準ずるGM社製造機体
TBM-2:GM社で製造された機体。XTBF-2に準ずる転換型原型
TBM-3:GM社で製造された機体。XTBF-3に準ずる第二期生産型
TBM-3D:TBM-3に機上レーダーを追加した機体
TBM-3E:TBM-3の改良型。機体構造強化、機上レーダー搭載
TBM-3E2:TBM-3Eに航空電子装置を追加搭載した機体
TBM-3H:地上捜索レーダーを搭載したTBM-3改修型
TBM-3J:TBF-1J同様の装備を搭載したTBM-3改修型
TBM-3L:TBF-1L同様の装備を搭載したTBM-3改修型
TBM-3M:ミサイル発射実験用の装備を搭載した機体。戦後製作のTBM-3M2も同様
TBM-3N:特殊夜間攻撃用装備を搭載したTBM-3改修型
TBM-3Q:電子妨害・早期警戒任務用の改良型。改良内容には色々なパターンがある
TBM-3R:乗客7名が搭乗できる輸送機転換型。非武装。機体右舷に搭乗ドア
TBM-3S:対潜攻撃用に改修された機体。装備改良型のTBM-3S2もある
TBM-3U:非武装転換型。主に標的曳航機として使用された
TBM-3W:早期警戒レーダー搭載のTBM-3改修型。装備改良型のTBM-3W2もある
XTBM-4:主翼折りたたみ機構を再設計、構造強化された原型機。量産されず
Avenger Mk.I:英国に供与されたTBF-1Bの英海軍呼称
Avenger Mk.II:英国に供与されたTBM-1の英海軍呼称
Avenger Mk.III:英国に供与されたTBM-3の英海軍呼称
Avenger AS.Mk IV:英国に供与されたTBM-3Sの英海軍呼称