サボイア・マルケッティ SM93試作急降下爆撃機

Savoia-Marchetti S.M.93

イタリア王立空軍

S.M.93
独軍の記章をつけたSM93原型機

 1930年代半ばに急降下爆撃機の開発を行ったイタリア空軍であったが、その結果完成した SM85は失敗作であったため、 ドイツから調達したJu87を 部隊配備して第二次大戦に臨むこととなった。
 その後、1942年になって再度国産の急降下爆撃機開発が行われることになり、空軍も当時入手 可能なエンジンのうちでも高性能なDB605の使用を許可して、サボイア・マルケッティ社に高速 単発機の開発の指示を出した。
 サボイア・マルケッティ社では全木製構造の低翼引込脚機を設計したが、この機体には大きな特徴 があり、細長い複座操縦席の前席(操縦士)は腹ばい状態での搭乗となるものであった。急降下から の引き起こしで生じる大きなG(重力加速度)に最も耐えうる姿勢が腹ばいだったことから、このよ うなレイアウトとなっているが、後席(銃手)は通常の座席配置とされていた(後席も機体重心に近 い位置であったため、Gに対する耐久性には優れていたと言われる)。武装は胴体下に820キログ ラムの爆弾が搭載できたが、爆弾の代わりに航空魚雷も搭載可能となっていた。また20ミリモータ ーカノンと12.7ミリ機銃も装備されている。
 43年にイタリアが休戦した後はドイツ軍の手により製作が続けられ、翌44年3月末(1月末と する説もある)に原型機が初飛行した。全木製構造に必要充分以上の武装と重量が増大する要因が多 い機体であったが、優秀なエンジンのおかげで高い性能を示し、急降下時には時速900キロという 驚異的な記録を出している。ただし、腹ばい姿勢の操縦席は急降下時にこそ威力を発揮したものの、 通常巡航では操縦士に苦痛しか感じさせず、爆弾搭載時の巡航速度も当時の爆撃機として平均的なも のであったため、量産化に移されることなく終わっている(ドイツ軍が量産化命令を出したが、ほと んど完成せずに終戦となったという説もある)。

機体詳細データ(SM93(一部計画値))
全長10.93m全高 3.80m
全幅13.90m翼面積31.00m2
自重3,552kg最大重量5,500kg
最高速度515km/h(高度4,500m)上昇限度8,200m
航続距離1,650km巡航速度505km/h(高度7,000m)
発動機ダイムラーベンツ DB605A 液冷V型12気筒 1,475馬力×1基
乗員数 2名総生産機数1機
武装12.7mm機銃×3(前方固定2、後方旋回1)、20mm機関砲×1、爆弾820kg搭載
主要タイプ S.M.93:急降下爆撃機の試作機。量産化されず