サボイア・マルケッティ SM82カングール輸送機

Savoia-Marchetti S.M.82 "Canguru"

イタリア王立空軍

SM.82
イタリア空軍のSM82(シリーズVIか?)

 戦前イタリア航空業界を代表する旅客輸送機SM75の 優秀さに目を付けた空軍は1938年頃からSM75の軍用型開発を開始していた。胴体こそ軍事輸送 用として再設計を行うが、主翼や尾翼、降着装置などはSM75のものを流用する計画だった。軍事輸 送能力としてはL3豆戦車や 分解したCR42戦闘機を余裕で 輸送できるよう設計されていた。しかし機体構造は金属モノコック(機首から操縦席後部まで)、鋼管 溶接布張り(操縦席後部から最尾部まで)、一部は木製合板張り(主翼および尾翼)と複雑に組み合わ されたものだった。
 原型機は1939年11月に初飛行したが、それに先駆けて同年7月に当機設計を流用した長距離飛行 記録専用機(SM82PD)が周回飛行で12,935キロメートルの無着陸飛行世界記録を樹立してお り、センセーショナルな新型機登場として世界中に喧伝された。
 搭載能力の優れた当機を空軍は爆撃機として使用することも計画しており、一部の機体は爆撃手用のゴ ンドラと爆弾吊下架を装備して完成した。この機体は4トンもの爆弾を搭載することが可能で、イタリア 初の4発爆撃機P.108が登場する まではイタリア唯一の戦略爆撃機として期待されていたが、目立った戦歴は残していない。
 イタリア参戦後は北アフリカ戦線や東部戦線への輸送任務に従事し、100機あまりはドイツ軍にも供 与されている。休戦後の新生イタリア空軍にも約50機が在籍し、1960年代に老朽化のためアメリカ 製のC−119と交代 するまで主力輸送機として使用された。

機体詳細データ(SM.82)
全長22.65m全高 6.00m
全幅29.68m翼面積118.60m2
自重10,550kg最大重量18,020kg
最高速度347km/h上昇限度6,000m
航続距離2,100km巡航速度250km/h
発動機アルファ・ロメオ 128RC.21 空冷星形9気筒 950馬力×3基
乗員数4名+乗客32座席もしくは兵員50名総生産機数721機(720機程度説あり)
武装7.7mm機銃×3(胴体下部1、胴体両側面各1)、12.7mm機銃×1(背部銃座)、貨物7.2トン搭載
主要タイプ SM.82:通常の輸送機型。生産グループ別にからXまでのシリーズがある
SM.82(Bomber):爆撃手ゴンドラを装備した爆撃機型。爆弾最大4,000kg搭載
SM.82 Carro armato:L3豆戦車を輸送するため改修された機体の呼称
SM.82 Trasporto caccia:分解したCR42戦闘機を輸送するため改修された機体の呼称
SM.82 Trasporto motori:航空機エンジン6基を輸送するため改修された機体の呼称
SM.82 tanker:燃料輸送用に改修された機体の呼称。最高で3,000リットルの燃料を搭載
SM.82bis:ピアッジョP.IXエンジン(1,190hp)搭載の夜間爆撃型。VIIIシリーズを改修
SM.82P:VIIIシリーズを改修した空挺降下用機
SM.82LATI:国際航空路線用の長距離改修型。乗客10座席。ごく少数がSM.82から改修された
SM.82LW:独軍向けに生産された機体。LWはLuftwaffe(ドイツ空軍)の略
S.82PD:SM.82PDとも。長距離飛行記録のため専用に製作された機体。世界記録樹立
S.82PW:戦後エンジンをP&W R-1830系に換装した機体の呼称