ブレリオ・スパッド S510戦闘機

Blériot-SPAD S.510

フランス空軍 他

S.510
フランス空軍のS510戦闘機

 フランス政府が1930年に出した新型単座戦闘機の要求(仕様書C1)に応えて開発された機体。ブレリオ・ スパッド(SPAD=Société Pour L'Aviation et ses Dérivésは第一次大戦時に 有力な戦闘機を輩出したフランスの航空機メーカー。1920年代にブレリオ社へ吸収された)は 試作機S91をベースにした複葉戦闘機を提案した。
 1933年初頭に完成した原型機は、楕円形断面のジュラルミン構造(胴体後部はモノコック) 胴体に布張り主翼を持つ機体で、上下主翼は型の支柱で結ばれていた。上翼のみ後退角 があったが、補助翼(エルロン)は上下翼両方に装備されている。液冷のイスパノスイザV12型 エンジンを搭載していたが、ラジエータは前面設置だったため一見空冷エンジン搭載に見えた。主翼 支柱や主脚は空力的に成形されており、車輪部にも大きなスパッツが装備されている。
 飛行テストで指摘された不具合(安定性と操縦性の改善)については改修が行われ改善したが、他 社機との比較試験で、ドボワチーヌ社のD500の 方が速度的に優れていることが判明したため、当機は採用されなかった。
 その後1935年にルイ・マソット(Louis Massot。第一次大戦時のエースパイロット)が、仏航 空相デナン将軍に対してS510の展示飛行を行い、複葉機が機動性や上昇力で(当時の)単葉戦闘 機に劣らないことを示したため、同年8月に60機の生産を受注することに成功した。
 翌36年に量産型が完成し、第7戦闘機連隊の部隊(GC I/7およびGC II/7)に配備されたが、第二 次大戦が始まる頃には、後方の防衛部隊(地方飛行中隊)および飛行訓練校へ送られており、ほとんど 実戦を経験することは無かった。ちなみに、少数の機体がスペイン内乱に際し、スペイン共和軍に使用 されたとの説があるが、これは確実な記録が残されていない。
 なお1937年に密閉型操縦席や引込脚、新設計の水平尾翼などを持つ改良発展型のS710原型が 製作されたが、この機体は同年6月に墜落し、操縦士を務めたルイ・マソットが死亡したため量産され ることなく終わっている。

機体詳細データ(S.510)
全長 7.46m全高 3.41m
全幅 8.84m翼面積22.00m2
自重1,250kg最大重量1,679kg
最高速度372km/h(高度4,000m)上昇限度10,500m
航続距離 875km巡航速度不明
発動機イスパノスイザ 12Xbrs 液冷V型12気筒 690馬力×1基
乗員数 1名総生産機数61機(S.510のみ)
武装7.5mm機銃×4(前方固定、翼下搭載)
主要タイプ S.510.01:原型機の呼称(1機)
S.510:量産型の呼称(60機)
S.710:発展改良型原型。墜落のため量産されず(1機)