ポリカルポフ R−5軽爆撃/偵察機

Polikarpov R-5
Поликарпов Р-5


ソビエト赤軍 他

R-5
スキー式降着装置を付けたR−5(主翼下のロケット弾装着レールに注目)

 1920年代初頭に英エアコ社(デ・ハビランド社の前身)DH.9Aをベースにした ソビエト軍初の制式偵察機R(Р)−1を完成させたポリカルポフ (Н.Н.Поликарповым)は、次に発展型となるR−4 を試作、1927年に完成させた。翌28年に爆撃能力を付与したR−5も初飛行にこぎ つけたため、R−4は制式採用されずに終わった。
 R−5原型機を使用した評価試験は満足する結果に終わり、1930年(31年説あり) に量産が開始された。当時としてはオーソドックスな木金混合の固定脚複葉機で、ミクーリ ンM−17エンジン(独BMW社製エンジンのライセンス品)が搭載された当機は、193 0年代のソビエト空軍戦力の中核をなす機体として、さまざまな変形・派生型が製作され、 1937年までに七千機あまりが生産された。
 ソビエト軍の機体としては1939年の満州国境における紛争まで実戦参加の機会はなか ったが、1936年秋にスペイン共和派へ売却された機体はスペイン内乱で夜間爆撃などに使用され、共和 派軍では「ナターシャ[Natasha]」の愛称で親しまれた。対フィンランド戦(冬戦争)や第二次大戦で も、まだ現役として多数の機体が残っていたが、さすがに旧式な複葉機では損害も大きく、夜間爆撃 や偵察・連絡機として使用されるにとどまっている。

機体詳細データ(R−5)
全長10.56m全高 2.62m
全幅15.30m翼面積50.20m2
自重1,965kg最大重量2,805kg
最高速度245km/h上昇限度5,900m
航続距離800km巡航速度210km/h
発動機ミクーリン M-17F 液冷V型12気筒 680馬力×1基
乗員数 2名総生産機数7,000機以上
武装7.62mm機銃×2(前方固定、後方旋回各1)、爆弾等400kg搭載
主要タイプ R-5:基本型。M-17B(後期型はM-17F)エンジン搭載(4,914機)
R-5a:双フロートを持つ水上偵察機型(111機)
R-5D:搭載燃料を増加させた長距離飛行記録機(1機)
R-5 Jumo:エンジンテストベッド用機。後席を拡大し乗員3名とした。別名ED-1(1機)
R-5L:1931年に製作された2名用の客席を持つ要人輸送機型(少数)
R-5M-34:M-34エンジン(800hp)搭載の実験機(1機)
R-5Sh:爆弾用コンテナ(500kgまで搭載)と機銃パック(7.62mm×4〜8)を追加した地上攻撃型
R-5SSS:単にSSSとも呼ばれる改良型。武装強化と空力的洗練されたスタイルを持つ(100機以上)
R-5T:航空魚雷搭載のため主脚を改修した単座雷撃型(50機)
ARK-5:極地飛行用に改良された機体。密閉風防や輸送用コンテナを持つ(2機以上)
P-5:非武装の民間輸送機型。貨物400kgまたは旅客2〜3名を搭載。アエロフロートが運航(1,000機以上)
P-5a:P-5の双フロート式水上機型(ごく少数)
P-5L:1933年に製作された2名用の客席を持つ要人輸送機型(少数)
PR-5:胴体をモノコック構造に改設計し乗客4名を乗せる輸送機型の最終生産型
PR-5bis:PR-5の重心問題解消のため上翼位置をずらす改善改修を行った機体の呼称
PR-12:PR-5を単葉化した原型機。量産されず
LSh:軽装甲化した全天候地上襲撃機の原型。量産されず
TSh-1:装甲化した地上襲撃機型原型(3機)
TSh-2:TSh-1に基づく量産型。下翼を改設計した(10機)
ShON:折り畳み式主翼を持つ地上襲撃機型(30機)
その他派生型:他にV字形尾翼を装備した機体やキャタピラ式や引込式降着装置を持つ実験機などがある