ノースアメリカン P−51マスタング戦闘機

North American P-51 "Mustang"

合衆国陸軍航空隊 他

P-51
ヨーロッパ戦線で編隊を組む米陸軍のP−51D

 1934年に発足した小さな航空機製造会社であるノースアメリカン社が1935年に開発した AT−6練習機は傑作機だった ため、英国空軍はこの会社に注目し戦争開始後すぐに同社に対して カーチスP−40の下請生産契 約の話を持ち掛けた。
 しかし当時旧式化しつつあるP−40の下請けではなく、第一線級の戦闘機を作りたかったノー スアメリカン社はその話を拒否し、120日以内に新型戦闘機を完成させるという約束で契約を結 んだ。驚くべきことにノースアメリカン社は102日という超短期間で試作原形機を完成させ、英 国空軍はすぐにマスタングと名付けたこの機体を620機を発注し、米国陸軍でも無償提供された 2機をテストした結果P−51として導入を決定した。
 非力なアリソンエンジンを搭載した初期生産型は平凡な機体(それでも最高速度は600キロを 超える)であったが、優秀な過給器を装備したマーリンエンジン(をパッカード社にてライセンス 生産したもの)を搭載したB型以降は700キロを越す高速を発揮し、これに追い付ける実用戦闘 機はドイツのジェット戦闘機ぐらいであった。航続距離も長いことから爆撃機の護衛として、ヨー ロッパから太平洋戦線まで大活躍した。また朝鮮戦争でも戦闘爆撃機として使用され、米空軍最後 のマスタングは1957年に退役したが現在でも改造機が民間レースの競争機として現役である息 の長い戦闘機となっている。

機体詳細データ(P−51D)
全長 9.83m全高 2.64m
全幅11.28m翼面積21.65m2
自重3,230kg最大重量5,490kg
最高速度703km/h(高度7,600m)上昇限度12,800m
航続距離3,350km巡航速度635km/h
発動機パッカード「マーリン」V-1650-7 液冷V型12気筒 1,695馬力×1基
乗員数 1名総生産機数15,586機
武装12.7mm機銃×4〜6、1000lb(454kg)爆弾×2または5inchロケット弾×8
主要タイプ NA-73:原型機(英国向け、米国向け両方)の社内モデル名
XP-51:米陸軍審査時の原型機呼称。NA-73原型の4号機および10号機
P-51:米陸軍向け生産型。英国へ供与用として調達。20mm機関砲×4
P-51-36:急降下爆撃機モデル。12.7mm機銃×6、227kg爆弾×2
P-51A:V-1710-81エンジン(1,200hp)搭載。12.7mm機銃×4、227kg爆弾×2
P-51B(NA-102):最初のマーリン搭載量産型。V-1650-3(1,450hp)搭載。12.7mm機銃×4
P-51B(NA-104):NA-102の主翼に454kg爆弾搭載可能な爆弾架を取り付けたモデル
P-51C:NA-102と同様の機体。ダラス新工場にて生産された
P-51D:V-1650-7エンジン(1,695hp)搭載。12.7mm機銃×4〜6。後部胴体タンク追加
XP-51F:V-1650-3エンジン搭載の軽量化型原型。試作のみ
XP-51G:マーリン145Mエンジン(1,910hp)搭載の軽量化型原型。試作のみ
P-51H:機体重量軽減型。V-1650-9Aエンジン(1,380hp)搭載
XP-51J:V-1710-119エンジン(1,720hp)搭載の軽量化型原型。試作のみ
P-51K:P-51Dに似るがアエロプロダクツ社製プロペラを装備したモデル
P-51M:D型の機体にV-1650-9Aエンジンを搭載したモデル。量産されず
P-51L:水噴射付きV-1650-11エンジン(2,270hp)搭載の出力強化型。計画のみ
F-51:米空軍設立後に改称された名称。各モデル名はそのまま
Mustang Mk.I:英軍向け。V-1710-39(1,150hp)搭載。武装は12.7mm×4、7.7mm×4
Mustang Mk.IA:20mm機関砲×4に変更した英国向け第二期生産型。供与P-51も同名
Mustang Mk.II:供与されたP-51Bの英軍呼称
Mustang Mk.III:供与されたP-51Cの英軍呼称
Mustang Mk.IV:供与されたP-51Hの英軍呼称
Mustang Mk.IVA:供与されたP-51Kの英軍呼称