メッサーシュミット Me323ギガント輸送機

Messerschmitt Me323 "Gigant"

ドイツ空軍

Me323E-2
Me323E−2輸送機(第2、第5エンジンを停止させて飛行している)

 英国本土侵攻計画”ゼーレーベ”(Seelöwe)作戦において重砲や軽車両の大量運搬が必要になると考え たドイツ軍当局ではユンカース社とメッサーシュミット社に対して輸送能力の大きなグライダー(曳航機)型輸 送機の開発を指示し、両社は88ミリ砲1門とその牽引用半軌装車もしくは IV号戦車1両を運搬できるグ ライダーの概略設計図を短期間で作成し提出した。
 ユンカース社の設計したJu322マンムート(Mammut/マンモスの意)は全翼型の意欲的なものであったが、 完全に失敗作であった。しかしメッサーシュミット社が設計したMe261はオーソドックスな機体であったお かげで深刻な問題もなく、1940年11月には軍当局へ提案書を提出することができた。
 後にMe321と改称された(その後別にMe261の名を冠した長距離偵察機試作機が製作されているため 混同しないよう注意)、このグライダー型輸送機にエンジンを付け機動性を持たせた機体がMe323ギガント (巨人の意)である。フランス占領により多数捕獲した LeO451爆撃機用エンジンを搭載し たタイプが生産されたが、性能に余裕のないエンジンであったので深刻な震動問題を引き起こしたため、後にユ モ211エンジン搭載型も検討されたが結局これは量産には至っていない。
 構造は旧式な布張りで、飛行速度は遅く運動性能も優れていたわけではないが、逆に布張りであったために 戦闘損傷には強く(銃弾を撃ち込まれても貫通するだけで破壊されることはない。ただし曳光弾だった場合は 発火するおそれがあった)、追撃した英戦闘機が全弾を使い果たした後も悠々と飛行するMe323がいくつ もあったことが報告されている。
 当機はこれまでの空中輸送能力水準を大きく書き換えてしまったため、これ以降に開発される軍用輸送機に対 して大きな影響を与えたと言えよう。

機体詳細データ(Me323E−2)
全長28.50m全高 9.61m
全幅54.99m翼面積300.00m2
自重29,100kg(装備付)最大重量45,000kg
最高速度250km/h(海面高度)上昇限度4,500m
航続距離1,100km巡航速度190km/h
発動機グノーム・ローヌ 14N48/49 空冷星形複列14気筒 1,140馬力×6基
乗員数2名+銃手5〜9名総生産機数約200機
武装13mm機銃×7、20mm機関砲×2、約15トンの貨物を搭載可能
主要タイプ Me261:後にMe321と改称する曳航輸送グライダー原型
Me321A-1:初期生産の曳航用グライダー。操縦士1名、離陸用補助ロケット装備可能
Me321B-1:第二期生産の曳航用具ライダー。複操縦装置付き操縦席を採用
Me323V:動力付原型機。正式にはMe323V1のように製造(計画)順に番号が付与された
Me323C:エンジン4発搭載の動力グライダー計画案。実現せず
Me323D-0:6発動力グライダー生産前機。GR14N48/49エンジン搭載。7.92mm機銃×4
Me323D-1:最初の生産型。D-0型と相違ない機体だが自衛用武装に追加改修あり
Me323D-2:LeO451用エンジンを搭載したモデル。木製2翅プロペラ
Me323D-6:D-2型にD-1型同様の3翅プロペラを搭載したモデル。銃座追加
Me323E-1:燃料容量増加、武装追加、構造強化を施した改良型モデル
Me323E-2:主翼上に成形銃座を搭載したモデル。胴体背面銃座は廃止
Me323E-2/WT:20mm機関砲×10〜12、13mm機銃×4を搭載した特殊掩護機型