メッサーシュミット Me209試作戦闘機

Messerschmitt Me209

ドイツ空軍

Me209V1

Me209V5
(上段)Me209V1 / (下段)Me209V5

 1930年代半ばに再軍備を開始したドイツ空軍の戦力を各国へ印象づけるため、ヒトラー 総統の号令のもと製作された速度記録機が当機の始まりである。1937年にメッサーシュミ ット社が製作を開始し、ドイツ航空省は当機にMe209の名称を与えた。
 機体の印象こそ最新鋭戦闘機のBf109に 似ているものの、エンジンは記録挑戦用に特別チューンされたものが搭載され、主翼や胴体も 必要最低限にまで縮小が行われている。また強力なエンジンによるプロペラトルクに耐えるた め垂直尾翼は十字型となり、機体下部にも張り出すこととなった。さらに空気抵抗を減らすた めエンジン冷却のためのラジエータを廃し、主翼表面での表面冷却方式となったため、稼働時 間は非常に短いものとなった。
 第二次大戦開戦直前の1939年4月26日にMe209V1(原型1号機)を使用した直 線飛行で時速755.136キロを出し、公式の(レシプロ機による)世界速度記録を更新し た。この記録は戦後も長い間破られることはなかった(1970年にアメリカの グラマンF8F改造機が 時速776.449キロを出したことで、この記録は破られた)。
 ドイツ宣伝省は当機の世界記録更新を大々的に喧伝し、さらに当機は独空軍主力戦闘機のB f109のバリエーションであるという印象操作に成功した。空軍では実際にMe209を実 戦用戦闘機として運用できるよう戦闘機型の開発をメッサーシュミット社に命じている。
 メッサーシュミット社では実戦運用に不向きな表面冷却を改め、Bf109と同様の主翼下 冷却器方式とし、離着陸性能を向上させるため主翼を延長した原型4号機(Me209V4) を製作したが、この機体は胴体がMe209V1などと同様のもので、操縦席がかなり後方に あったため、視界が悪く格闘戦には不向きだとしてドイツ空軍は急速に当機に対する興味を失 っていった。
 その後1943年になって、Bf109の後継機として開発されていたMe309の失敗に より、再度Me209の戦闘機化がクローズアップされ、新設計のMe209V5が製作され ることになった。この機体はBf109と65パーセントの部品が共通化されていたものの、 冷却器にFw190のD 型に似た環状ラジエータを装備したり、Bf109の欠点であった主脚配置が改められ、操縦 席も高々度戦闘を意識して与圧されるなどの改良が施された機体であった。
 V5の試験飛行は成功し性能も予想どおりの高いものであったが、Fw190D型の生産が 順調だったことや、戦況悪化による製造機体の統合などにより当機が量産されることは無かっ た。

機体詳細データ(Me209V1)
全長 7.24m全高不明
全幅 7.80m翼面積不明
自重2,100kg最大重量不明
最高速度755km/h上昇限度不明
航続距離不明巡航速度不明
発動機ダイムラーベンツ DB601ARJ 水冷V型12気筒 1,800馬力×1基
(短時間の緊急出力発揮により2,300馬力)
乗員数1名総生産機数4機(原型4号機まで)
武装武装なし
機体詳細データ(Me209V5:性能は計画値)
全長 9.24m全高 4.00m
全幅10.95m翼面積17.20m2
自重3,339kg最大重量4,085kg
最高速度724km/h上昇限度12,400m
航続距離1,480km巡航速度不明
発動機ダイムラーベンツ DB603G 液冷V型12気筒 1,900馬力×1基
乗員数1名総生産機数3機(原型5〜7号機)
武装13mm機銃×2、30mm機関砲×1(13mmおよび15mm機銃各2の計画もあり)
主要タイプ Me209V1〜V3:速度記録用の特別機体。公式記録ではBf109Rと呼称された
Me209V4:戦闘機型の原型機。視界不良などで制式化されず
Me209V5:再設計された戦闘機型原型。便宜的にMe209IIとも呼称される
Me209V6:ユモ213エンジン搭載の戦闘機型原型
Me209V7:主翼を延長した高々度戦闘機型原型。DB603Gエンジン搭載
Me209A-1:戦闘機型(V5に準ずる)の予定制式名称
Me209A-2:戦闘機型(V6に準ずる)の予定制式名称
Me209H-1:高々度戦闘機型(V7に準ずる。DB628エンジン搭載予定)の予定制式名称