アブロ マンチェスター爆撃機

Avro Manchester

英国空軍

Manchester
英国空軍のマンチェスターMk.IA

 英国航空省発行の仕様書P.13/36に応えて開発された双発中型爆撃機。この仕様書は新たに開発 されたロールスロイス社製バルチャー24気筒エンジン(V型12気筒エンジンを2基結合したX型エン ジン)を搭載することを条件としたもので、アブロ社とハンドリ・ページ社が競争試作の予定だった。
 ところがハンドリ・ページ社が製作予定だったHP56(ハリファクスの 前身)は同社のバルチャーエンジンに対する不満から計画放棄されたため、この試作はアブロ社の不戦勝 となったのである。
 1939年7月に原型1号機が初飛行したが、水平尾翼両脇に付いた小さな垂直安定板と方向舵では不 安定だったため、マンチェスターMk.として納入された初期生産型機体の大半は後に中央の垂直尾翼 を撤去し、両脇の垂直安定板面積を拡大する改修を実施している。
 当機の初陣は1941年2月24日のブレスト爆撃で、このとき6機のマンチェスターが夜間爆撃を実 施した。ハンドリ・ページ社が危惧したとおり、結合エンジンであるバルチャーエンジンは信頼性が低く、設計出力を発揮できなか ったため当機を使用していた部隊での人気も低かったが、逆にこの信頼性や人気の無さが名機 ランカスターを生み出すキッカケとなった ことは英国にとって大きなプラスであったと言えよう。
 ランカスターの完成により当機は1942年中盤に第一線を退き、工場の生産ライン上で未完成だった機体は ランカスターに転用されている。

機体詳細データ(マンチェスターMk.
全長21.13m全高 5.94m
全幅27.46m翼面積105.63m2
自重13,350kg最大重量25,401kg
最高速度426km/h(高度5,180m)上昇限度5,850m
航続距離2,623km巡航速度298km/h
発動機ロールスロイス「バルチャー」 液冷X型24気筒 1,760馬力×2基
乗員数 7名総生産機数 202機(209機説あり)
武装7.7mm機銃×8(機首・背面銃座各2、尾部4)、爆弾最大10,350lb(4,695kg)搭載
主要タイプ AvroType 679:原型機の呼称。また当機の社内モデル名でもある
Manchester Mk.I:生産型。ほぼ原型機と同様の機体
Manchester Mk.IA:Mk.Iに全幅拡大、垂直安定板拡大、中央垂直尾翼撤去などの改修を施した機体
Manchester III:エンジンを「マーリン」4発に変更した機体提案。後にランカスター原型となった