アブロ リンカーン爆撃機

Avro Lincoln

英国空軍 他

Lincoln
英国空軍のリンカーン

 1943年になって英国航空省はアブロ社に対し ランカスター爆撃機の 発展型開発を指示した。これは対独戦の後に続くであろう対日戦を視野に入れており、 太平洋戦線でも活用できるだけの航続距離を持った機体の要求であった。
 航空省仕様書B.14/43による要求は長大な航続力の他に、自衛武装の強化や速力 アップ、高々度性能の向上など新時代の爆撃機を求めたものであった。アブロ社ではラン カスターの改良により同仕様書の要求を満たそうとしたが、研究の結果、改良だけでは要 求を満たせそうにないと判明すると、早速新型機の設計を始め、翌44年6月には原型機 を完成させる快挙を成し遂げた。
 新しく設計された機体はランカスターで培った従来の技術を生かしており、機体もラン カスターに似たものであったが、サイズは一回り大きくなっており、またエンジンも二段 過給器付きのマーリン85が搭載されたため、ランカスターに比べ格段に性能が向上して いる。さらに旧来英空軍爆撃機の自衛武装は7.7ミリ機銃のみと貧弱であったものが、 当機では20ミリ機関砲と12.7ミリ機銃が装備され、防御火力は一段と強化されていた。
 アブロ社は45年初頭から量産を開始したが、量産型が部隊配備されたのは終戦後の同 年10月のことで、対日戦参戦には間に合わなかった。当機の初陣は1940年代末から 始まったマラヤ紛争で、小型の攻撃機では有効な打撃を与えられないジャングルで活動す る敵ゲリラ部隊に対しての爆撃任務で、英国空軍レシプロ爆撃機の時代を締めくくる活躍 をした。

機体詳細データ(リンカーン
全長23.86m全高 5.27m
全幅36.58m翼面積132.01m2
自重19,686kg最大重量34,100kg
最高速度475km/h(高度4,750m)上昇限度9,295m
航続距離2,370km(爆弾満載時)巡航速度346km/h
発動機ロールスロイス「マーリン」85 液冷V型12気筒 1,750馬力×4基
乗員数 7名総生産機数604機
武装12.7mm機銃×6(機首、尾部、背部各銃座2。一部の機体は背部銃座に20mm機関砲×2)、
爆弾14,000lb(6,360kg)搭載可能(最大10,000kgまで過搭載可能)
主要タイプ Avro 694:原型機を含む当機のメーカー呼称
Lancaster IV:Lincoln Iの当初呼称
Lancaster V:Lincoln IIの当初呼称
Lincoln I:マーリン85エンジン搭載の初期生産型
Lincoln II:マーリン68Aエンジン搭載の初期生産型
Lincoln III:対潜哨戒機型の呼称
Lincoln IV:エンジンをマーリン85に換装したLincoln IIの換装後呼称
Lincoln Mk.15:カナダで生産された機体の呼称。原型のみで量産されず
Lincoln Mk.30:オーストラリア空軍向けの機体呼称。現地生産
Lincoln Mk.30A:Mk.30の機首を改良した機体の呼称
Lincoln Mk.31:Lincoln GR.31とも呼称。オーストラリア空軍向けの対潜哨戒機型