ユンカース Ju90/290/390

Junkers Ju90/290/390

ドイツ空軍

Ju290A-5
Ju290A−5長距離海洋偵察機
Ju390A-1
Ju390A−1長距離爆撃機(原型機か?)

 ドイツ軍の「ウラル爆撃機」計画が破棄された時点で、ユンカース社には試作重爆撃機Ju89の 完成品2機と1機分の未組立部品が残されていた。そこで今後の長距離航空機の発展を見込み、またJu89で培 ったノウハウを生かすためにその部品を別の機体開発に流用することがユンカース社へ許可された。しかし軍から は「新型機のエンジンは(長距離輸送に最適なエンジンである)ユンカースユモ211やダイムラー・ベンツDB 600などを使用してはならない」という厳しい条件が付けられた。
 1937年8月に試作1号機(Ju90V1)が完成、満足できる性能ではなかったものの初飛行に成功し、1 939年には輸送型(Ju90B−1)8機がルフトハンザ航空に納入され、試作原型機もV11までのバリエー ションが製作された。
 1940年には主翼設計をやり直したJu90S(計画変更によりJu290と改称)が完成し長距離海上哨戒 機として採用された。これは敵の艦隊や船団を発見しUボートに通報するのが主任務であったため、自衛用の火器 以外には武器を搭載はしていなかった。また後には海上捜索レーダー(FuG200ホーヘンツヴィル[Hohentwiel] 索敵レーダー)を搭載した機体も製作された。
 他にも計画としてはJu290Dという重爆撃型(Hs293対艦誘導爆弾搭載)があったが、これは実現して いない。さらにJu290を改良しエンジンを6基に増やしたJu390も開発された。これは10トンの貨物を 搭載して巡航速度330km/hで8,000qの距離を飛行できる機体であり、ドイツで製造された最大の航空機でも あるが製造機数はごく少ない。なお日本もこのJu390には大変な興味を示し、ライセンス許可も与えられてい たが日本で生産されずに終わっている。
 終戦時に生き残っていた機体のうち少数は連合国に接収され、機体評価などが行われている。また中立国であっ たスペインも1機のJu290A−5を政府専用の人員輸送機として1950年代半ばまで使用したほか、チェコ のレトフ社では、残存していた部品から1機の長距離輸送機を組み上げ定期旅客機として使用している。

機体詳細データ(Ju290A−7)
全長29.15m全高 6.83m
全幅42.00m翼面積203.60m2
自重33,000kg最大重量46,000kg
最高速度440km/h(高度5,800m)上昇限度6,000m
航続距離6,100km巡航速度不明
発動機BMW 801D 空冷星形複列14気筒 1,700馬力×4基
乗員数 9名総生産機数60〜70機?
武装13mm機銃×1、20mm機関砲×7、爆弾最大3,000kgまたは誘導滑空爆弾×3
機体詳細データ(Ju290B−2)
全長29.30m全高 6.80m
全幅42.00m翼面積203.70m2
自重不明最大重量55,000kg
最高速度440km/h(高度5,800m)上昇限度7,300m
航続距離8,000km巡航速度不明
発動機BMW 801E 空冷星形複列14気筒 1,970馬力×4基
乗員数 9名総生産機数(上記参照)
武装13mm機銃×4、20mm機関砲×8、爆弾最大1,000kgまたは誘導滑空爆弾×1〜2
機体詳細データ(Ju390A−1:一部計画値)
全長34.20m全高 6.90m
全幅50.35m翼面積253.70m2
自重37,000kg最大重量75,600kg
最高速度500km/h上昇限度不明(巡航高度6,000m)
航続距離9,200km巡航速度不明
発動機BMW 801E 空冷星形複列14気筒 1,970馬力×6基
乗員数9〜10名総生産機数2機(原型のみ)
武装13mm機銃×4、20mm機関砲×6、爆弾最大1,800kgまたは誘導滑空爆弾×1〜2
主要タイプ Ju90V:原型機。正式にはJu90V1のように製造(計画)順に番号が付与された
Ju90B-1:民間向け輸送機型の生産前機。BMW132エンジン(660hp)搭載
Ju90Z-2:P&W社製エンジン搭載の南アフリカ向け機体。完成せず
Ju90S:改良型。BMW139エンジン搭載予定だったが、エンジンが完成せず計画変更
Ju290V:改良型原型。Ju90Sの計画をBMW801エンジン搭載に修正したもの
Ju290A-0:輸送機型の生産前機。非武装
Ju290A-1:輸送機型の生産モデル。自衛用武装を搭載した
Ju290A-2:FuG200レーダーを搭載した海上哨戒機型。機体はA-1型に似る
Ju290A-3:尾部に流線型の銃座を設置した海上哨戒機型
Ju290A-4:胴体前部に機関砲座を追加設置したモデル
Ju290A-5:操縦席装甲、漏れ止め燃料タンク採用。胴体の13mm機銃を20mmへ変更
Ju290A-6:乗客50名を搭載可能な人員輸送機型
Ju290A-7:A型中最多生産モデル。機首銃座追加、誘導爆弾搭載可能
Ju290A-8:銃座の数を増やした火力増強型
Ju290A-9:胴体内燃料タンクを拡大した長距離型。航続距離8,900km
Ju290B-1:長距離重爆撃機型の原型。与圧操縦席、外部爆弾架の追加。量産されず
Ju290B-2:B-1型から与圧装備を除いた簡易型
Ju290BMS:電気誘導電線輪を装備した磁気機雷掃海機型
Ju290C:輸送・偵察用の計画。新設計の積み込み用傾斜板装備
Ju290D:Hs293誘導爆弾搭載用の重爆撃機型計画。胴体内爆弾倉を装備
Ju390V:拡大型原型。BMW801Dエンジン(1,700hp)を6発搭載
Ju390A-1:BMW801Eエンジン搭載の輸送型機体。日本へライセンス供与されたが生産されず
Ju390B:長距離海上哨戒機型。計画のみ
Ju390C:長距離重爆撃機型。計画のみ
Letov L.290 Orel:終戦後に残存部品で組み上げられた民間旅客機