ユンカース Ju52/3m輸送機

Junkers Ju52/3m

ドイツ空軍 他

Ju52/3m
ドイツ空軍のJu52/3mg7e

 ユンカース社が製作した単発輸送機であるJu52のエンジンを3基に増やし、搭載能力と飛行速度が向上 できるかを評価するため、生産ライン上にあったJu52の生産7号機にプラット&ホイットニー社製のエン ジン3基を搭載して製作されたのがJu52/3m(3mはDrei Motorenの略で3発機の意)原型機である。 Ju52/3m原型機(Ju52/3mce)の性能試験を1931年4月に行った結果、単発型よりも格段 の性能向上が認められたため、それ以降単発型の生産は打ち切られた。
 第二次大戦前は民間航空会社によって幅広く使われた機体であったが、再軍備を進めるドイツ空軍でも当機 の優秀性に目を付け軍用モデルであるJu52/3mgeを製作させた。古いユンカース機の特徴とも言える 鋼管構造にジュラルミン製の波板を貼った機体は、旧式ながら軍の要望に応えるだけの能力を持っていた。
 Ju52/3mge(とその改良型3mg3e)はスペイン内戦にて初の実戦参加を果たし、内戦終了まで に累積作戦飛行時間は13,000時間を超えている。その間も民間航空型の生産は続けられており、ルフト ハンザ航空には230機以上が納入されている。また諸外国(アルゼンチン、ブルガリア、コロンビア、ペルー、 スウェーデン、スイス等)への輸出も行われている。
 第二次大戦でもドイツ空軍は多数のJu52/3mを輸送任務などに使用したが、どうしても不足する機数 をまかなうためルフトハンザ航空などから機体を徴発したり、占領したフランスのアミオ航空機工場で機体を 生産するなどしている。
 なお、このフランス工場では終戦後もエール・フランスやフランス空軍のためにJu52/3m(フランス ではAAC1トゥカンと名付けられた)の生産を続けかなりの数を納入しており、またスペインのCASA社 もスペイン空軍用に170機(スペインでの名称はCASA352)を製造した。
 ドイツ軍兵士からは『タンテ(Tante:おばさん)』と敬愛を込めて呼ばれた当機は戦前戦後を通して活躍し、現在 でも観光飛行用として数機のオリジナル機体が現役にあることは驚きである。

機体詳細データ(Ju52/3mg3e【軍用輸送型】)
全長18.90m全高 5.55m
全幅29.25m翼面積110.50m2
自重5,720kg最大重量10,500kg
最高速度275km/h(高度900m)上昇限度5,900m
航続距離1,300km巡航速度211km/h
発動機BMW 132A-3 空冷星形9気筒 725馬力×3基
乗員数3名+兵員18名(または負傷兵担架12)総生産機数5,000機以上(独生産4,845機)
武装7.92mm機銃×2〜4(上部銃座1、機内銃座1〜3。上部銃座は13mm機銃×1の場合もある)、
爆弾最大500kg(50kg×10もしくは250kg×2)または兵員や貨物
主要タイプ Ju52/3mce:3発輸送機型原型。P&W社製エンジン搭載
Ju52/3m:民間向け生産型の呼称
Ju52/3mge:最初の軍用向けモデル。兵員輸送、爆撃等に従事
Ju52/3mg3e:改良型。BMW 132A-3エンジン搭載。爆弾投下装備を改良
Ju52/3mg4e:3mg3eの尾ソリを尾輪式に改めた機体。装備品に若干の変更
Ju52/3mg5e:BMW 132Tエンジン(830hp)搭載。改良型無線機採用
Ju52/3mg6e:3mg5eに似るが、無線装備を簡略化した機体
Ju52/3mg7e:3mg6eに似るが、自動操縦装置を採用した機体。貨物ドア拡大
Ju52/3mg8e:3mg7eに似るが、乗員室天井に脱出口を設置した機体
Ju52/3mg9e:3mg8e後期型(BMW 132Zエンジン搭載)に似る、降着装置強化型
Ju52/3mg10e:3mg9eの降着装置をフロート・ソリなどに変更可能とした機体
Ju52/3mg11e:詳細不明の改良型
Ju52/3mg12e:3mg10eに似るが、BMW 132Lエンジンを装備した機体
Ju52/3mg13e:詳細不明の改良型
Ju52/3mg14e:最終生産型。3mg9eの防御装甲や武装を強化した機体
Ju252:なめらかな応力外皮構造を採用した改良型。原型のみ
Ju352:機体を完全再設計した改良型。原型のみ。別項参照
AAC1 Toucan:戦後、フランス空軍で使用された機体の呼称
CASA 352:戦後、スペイン空軍で使用された機体の呼称