パイパー J−3(L−4)カブ

Piper J-3(L-4) Cub

合衆国陸軍航空隊 他

L4H
第二次大戦でフランスに展開した米陸軍のL−4H観測機

 1930年代初頭にテイラー兄弟社(Taylor Brothers Aircraft Manufacturing Company)が開発した 複座軽飛行機『カブ』(子犬の意)は扱いやすい機体であったが財政状況悪化により会社は人手に渡って しまう事となった。しかし当機の製造権を引き継いだパイパー社(テイラー兄弟社の社長兼財政部長だっ たW.T.パイパーがテイラー兄弟社の設備を買い取り設立したテイラー航空機(Taylor Aircraft Company) から1937年に改称)により製造は継続された。
 木金混合の骨格構造に高翼単葉配置の羽布張り主翼、縦列複座の密閉式操縦席を持つ当機は民間の軽航 空貨物会社などに売れたほか、ヨーロッパの戦況を受けて米国で実施されたCPTP(Civilian Pilot Training Program: 民間操縦士訓練計画)にも便乗した練習機として多数の機体を売りさばいた。そこに米陸軍が当機を着弾観測機として着目、 YO−59の名称で在庫機(パイパーJ−3C−65)を発注したが、このジャンルの機体に莫大な潜在 的需要があると見抜いたパイパー社は全周視界を改善した軍用モデルを開発、L−4Bの名で大量発注を 受ける事に成功した(軍での当機の愛称はグラスホッパーだった)。
 米国が参戦すると着弾観測機や軽連絡機としての需要はさらに高まり、生産が追いつかない分は民間機 の徴発までして補った米軍だったが、戦争が終結すると余剰軍用型も民間市場に流れ、一時期はパイパー 社も赤字となったが、当機の後継機スーパー・カブ(1949年初飛行)の開発により持ち直している。
 スーパー・カブシリーズは世界各国の民間・軍用へ販売され、現在も現役で活躍しているが、戦後機な ので当ページでは触れないことにする。

機体詳細データ(J−3C−65(米陸軍名称L−4))
全長 6.78m全高 2.03m
全幅10.73m翼面積16.54m2
自重 290kg最大重量 500kg
最高速度148km/h(海面高度)上昇限度3,660m
航続距離400km巡航速度122km/h
発動機コンチネンタル社製 A-65 空冷水平対向4気筒 65馬力×1基
乗員数2名総生産機数5,703機(軍用カブのみ)
(J-3全モデルで19,073機)
武装通常は非武装
主要タイプ J-3C-65:米陸軍がYO-59として発注した機体の社内モデル名
O-59:米陸軍向け観測機。A-65エンジン(65hp)搭載。後にL-4と改称
O-59A:O-59の改良型。O-170-3エンジン(65hp)搭載。後にL-4Aと改称
L-4B:L-4A(O-59A)から無線装備を撤去したモデル
L-4C〜G:徴用した民間モデルの米陸軍呼称。搭載エンジンにより分類された
L-4H:L-4Bの細部を変更したモデル
L-4J:可変ピッチプロペラを搭載したモデル。基本はL-4Hと変化無し
TG-8:動力装置を外し、前部設計を改めた操縦練習用グライダー。米陸軍向け
XLNP-1:TG-8を米海軍が審査したときの呼称
NE-1:米海軍向けの操縦練習機。O-176-2エンジン(65hp)搭載。機体はL-4に準ずる
NE-2:NE-1の装備品を多少変更した機体。米海軍向け