イリューシン Il−2シュトルモビク地上攻撃機

Ilyushin Il-2 "Shturmovik"
Ильюшин Ил-2 "штурмовик"


ソビエト赤軍

Il-2
Il−2M
 1938年にソビエト中央設計局(TsKB)の設計主任セルゲイ・イリューシン [Сергей Владимирович Ильюшин]と彼のチームが開 発したTsKB−55は頑丈な胴体構造と風呂桶型の装甲によりエンジンと乗員及び燃料タンクを地上砲 火から保護し、低空地上攻撃任務に適した機体であったが、その時点ではより軽量な単座型TsKB−5 7が採用され、原型機が1940年10月に初飛行した。
 原型機TsKB−57を用いた各種審査で飛び抜けた性能を示したため、1941年6月の公試終了と 同時に量産が開始され(そのころにはIl−2と名称が変わっていた)、同年9月に開始されたドイツ軍 による侵攻までに多数の機体が配備された。当初は単座の機体が主であったが戦闘機による掩護が利用で きない場合が多々あり、敵機の迎撃による損失が多くなったため後部座席に旋回機銃座を設けた複座型( Il−2M)の導入も決定され、順次戦線へ送り込まれた。
 膨大な規模により行われたドイツの輸送車両や戦車に対しての攻撃はかなり有効で、ドイツ機甲部隊が 「黒い死」("Der Schwarze Tod")と呼び最も恐れた航空機となったのである。
 なお、主な生産タイプでは材料欠乏のためやむなく外翼の一部を木製とするなどの改設計が施された が、当機は第二次大戦中に生産された単一機種としては世界最高数の3万6千機以上が生産されている。 (第二位はドイツのBf−109戦 闘機の3万機以上(正確な数字は不明)である)
 ちなみに当機の愛称として親しまれている「シュトルモビク」[штурмовик]は ロシア語で「襲撃者」という意味だが、当機の公式名称ではなく攻撃機的な性格を持つ機体全般に使用さ れる呼称で、当機のことを指す時に「シュトルモビク」だけで通じるのは単に『ソビエト(ロシア)で最 も有名な攻撃機』であるからにすぎない。

機体詳細データ(Il−2タイプ3)
全長11.65m全高 4.17m
全幅14.60m翼面積38.50m2
自重4,530kg最大重量6,360kg
最高速度410km/h(高度1,500m)上昇限度5,500m
航続距離 800km巡航速度不明
発動機ミクーリン AM-38F 液冷V型12気筒 1,720馬力×1基
乗員数 2名総生産機数36,163機
武装23mm機関砲×2(前方固定)、12.7mm旋回機銃×1(後方旋回)、7.62mm機銃×2(前方固定)、
爆弾最大600kgまたは無誘導ロケット弾×4
主要タイプ TsKB-55:最初の原型機。複座型。重量過多のため不採用
TsKB-57:単座軽量型原型。AM-38エンジン(1,575hp)搭載
Il-2:最初の生産型。TsKB-57に若干の設計変更を施した
Il-2M:後部銃手席を加えた複座型。AM-38Fエンジン(1,720hp)搭載
Il-2 type 3:Il-2M3とも呼ばれる主翼改良型。20mm機関砲を23mm機関砲に変更
Il-2 type 3M:翼下に37mm口径のNS-37機関砲を搭載した機体。Il-2 NS-37とも呼ばれる
Il-2 ShFK-37:翼下に37mm口径のShFK-37機関砲を搭載した機体
Il-2 NS-45:翼下に45mm口径のNS-45機関砲を搭載した機体
Il-2T:航空魚雷を搭載する専用雷撃型。海軍航空隊で使用
Il-2U:複座練習機型。U-Il-2とも呼ばれる
Il-2I:単座重装甲戦闘機型。試作のみ
Il-2 KSS:形状を空力学的に洗練した機体[крыло со стрелкой]。ごく少数製作
Il-2 M-82:エンジンをM-82星形空冷エンジン(1,675hp)に換装した機体。ごく少数