ポリカルポフ I−180/I−185試作戦闘機

Polikarpov Istrebitel-180 / Istrebitel-185
Поликарпов И-180/И-185


ソビエト赤軍

I-180

I-185M82A
(上段)−180 / (下段)−185M−82

 ポリカルポフ設計局が−16の 強化改良型として星形複列エンジンを搭載する機体を設計、1938年に試作機−180が完成した。 グノーム・ローヌ社製ミストラルメジャーをライセンス生産したツマンスキーM−88を搭載した原型1号機は 時速570キロ以上を発揮し、さらに燃料噴射装置を追加した原型5号機では時速650キロまで高速性能を高め られていた。しかし開発は難航し、1938年末にはテストパイロットとして原型1号機に搭乗していたヴァレリー ・チカロフ(Валерий Павлович Чкалов:ソ連邦英雄の称号を持つ操縦士)が墜落死亡し たことでスターリンの不興をかったことや、軍部内における空冷エンジンへの偏見(機体を空力的に洗練できる液 冷式と異なり、空冷星形エンジンは空気抵抗が大きいため高速発揮は不可能であるといった考え方)のため194 0年になって開発計画は中止となった。
 ドイツ軍のソビエト侵攻が始まり、空冷エンジンを搭載した独軍のFw190の 性能を見たポリカルポフは、やはり空冷星形複列エンジンの搭載が性能を高めることに確信を持ち、ツマンスキー M−90エンジンを搭載する機体−185の設計を行ったが、エンジンの開発が遅れたため幾つかの エンジンを代替として設計の試行錯誤が行われ、最終的に1941年1月シュベツォフM−81を搭載した原型機 が初飛行を行った。しかしM−81エンジンは振動が大きく失敗作だったため、再度試行錯誤が行われているうち に、ドイツ軍の侵攻により機体を製造する工場が確保できなくなり、開発は中断してしまった。
 そしてソビエトの反撃後、工場が確保できるようになった時には既に当機よりも高性能の機体が出現しており、 当機が量産されることは無かったのである。

機体詳細データ(−180S)
全長 7.01m全高 2.44m
全幅10.08m翼面積16.10m2
自重1,811kg最大重量2,424kg
最高速度585km/h上昇限度11,000m
航続距離900km巡航速度不明
発動機ツマンスキー M-88R 空冷星形複列14気筒 1,100馬力×1
乗員数1名総生産機数13機
武装12.7mm機銃×2、7.62mm機銃×2、200kgまでの爆弾搭載可能
機体詳細データ(−185M−71)
全長 7.77m全高 2.49m
全幅 9.80m翼面積15.52m2
自重2,649kg最大重量3,492kg
最高速度630km/h上昇限度11,000m
航続距離835km巡航速度不明
発動機シュベツォフ M-71 空冷星形複列18気筒 2,000馬力×1
乗員数1名総生産機数5機
武装20mm機関砲×3、主翼下に500kgまでの爆弾もしくはロケット弾を搭載可能
主要タイプ I-180:原型1号機。M-88エンジン(1,100hp)搭載
I-180-2:原型2号機。M-87Aエンジン搭載。主翼幅延長
I-180-3:原型3号機。M-88エンジン搭載。兵装を搭載した
I-180Sh:主脚を改修した原型3号機の呼称
I-180S:生産前機。I-180Shに準ずる(3機)
I-180-5:原型5号機。M-88Aエンジン搭載、後にM-89エンジン(1,350hp)へ換装
I-185:原型1号機。M-81エンジン(1,600hp)搭載のためI-185M-81とも呼ばれる
I-185M-71:生産前機。M-71エンジン(2,000hp)搭載(2機)
I-185M-82:生産前機。M-82エンジン(1,700hp)搭載(2機)
I-187:M-71Fエンジン(2,200hp)搭載、水滴型風防の改良型。計画のみ
I-188:M-90エンジン(2,080hp)搭載の計画機