ハインケル He70ブリッツ爆撃/偵察機

Heinkel He70 "Blitz"

ドイツ空軍 他

He70C
ルフトハンザ航空の記章を付けたHe70原型3号機(He70B原型)

 第一次大戦の敗戦により一時は航空機開発の中断を余儀なくされたドイツ航空機業界であったが 1930年代になって世界レベルへの復興が目ざましくなった。当機は1932年にルフトハンザ 航空がハインケル社とユンカース社の両社に対して依頼した高速旅客機の競争試作から生み出され た機体である。
 ハインケル社の伝説的設計者ギュンター兄弟の手による当機は片持ち低翼単葉の洗練された機体 に液冷エンジンを搭載しており、設計開始から半年という驚異的スピードで原型機完成に至ってい る。原型機や初期生産機はすばらしい性能を示し周回飛行時の最高速度などで世界記録を樹立、当 時第一線級だった戦闘機よりも速い最高速度をたたき出した。
 極秘裏に再建中だったドイツ空軍はこの高性能機に目を付け、輸送機として開発されていた原型 4号機を軍用に改造させたほか、爆撃機型(E型)・偵察機型(F型)の採用も行った。また民間 機の接収も行っており、接収した機体は幕僚輸送機などに使用されている。偵察型はコンドル軍団 の一部としてスペイン内乱に参加しており、内乱を生き残った機体は1950年代まで現役として スペインの空を飛び続けていた。
 またHe170の名でハンガリーにも輸出され(グノームローヌ社製の星形エンジンを搭載した ため、洗練されたイメージからは遠くなった。また少数がハンガリーにてライセンス生産された)、 第二次大戦では対ソ戦にて作戦に従事したが、この頃には当機の性能では優位に立てなくなってお り、その貧弱な防御武装と相まって間もなく前線から退く事になったのである。

機体詳細データ(He70F−2)
全長11.70m全高 3.10m
全幅14.78m翼面積36.50m2
自重2,300kg最大重量3,420kg
最高速度360km/h上昇限度6,000m
航続距離1,400km巡航速度310km/h
発動機BMW VI 7.3Z 水冷V型12気筒 750馬力×1基
乗員数2名+偵察員1〜2名総生産機数324機(ハンガリー製除く)
武装7.92mm機銃×1(後方旋回)、爆弾最大300kg(50kg×6または10kg×24)
主要タイプ He70a:原型1号機
He70b:原型2号機。高速旅客機型として客席を4座装備
He70c:原型3号機。軽武装を施した軽爆撃機/偵察機型
He70d:原型4号機。BMW VI 7.3エンジン搭載。ルフトハンザ航空発注の高速旅客機/郵便機型
He70e:原型5号機。BMW VI 7.3エンジン搭載。独空軍発注の軽爆撃機型
He70A:初期の民間向け生産型。似たようなモデルにD型がある
He70E-1:軍用軽爆撃機型。後方旋回銃座と爆弾架を装備。後に全機F型準拠へ改修された
He70F-1:軍用偵察機型。武装はE型と変わりない
He70F-2:コンドル軍団の偵察機型。F-1との相違は少ない
He70G:最終生産モデル。民間旅客/輸送機だが軍に接収されF型準拠に改修された
He170:ハンガリー向け機体。グノームローヌ14Kエンジン(910hp)搭載。別名He70K
He270:DB601Aエンジン(1,175hp)搭載の軍用モデル。原型のみ製作