ハインケル He277爆撃機

Heinkel He277

ドイツ空軍

He277
He277V1原型機(He177A−3/R2からの改修型)

 軍の無理な要求に従って開発されたHe177爆撃機 は、機体納入が始まった後も結合エンジンの冷却問題を解決できずにいた。ハインケル社では He177は失敗作であると早めに見切りをつけており、最も難題であるエンジンを普通の4 発に換装した機体の製作を軍部へ要求した。ところが軍では一度採用したHe177を捨てる ことができず、He177の生産を遅滞させる新4発機の開発を認めなかった。
 ハインケル社では秘密裏に(表向きはHe177の改良型となるB型として)4発機の開発 を独自に進めていたが、43年にヒトラーが出したイギリス本土爆撃を行う新型爆撃機開発命 令に乗じ、同年9月に新4発機の試作発注を受けることに成功した。
 すでに基本設計は完成していたのでHe177の機体を流用した原型1号機は43年末に完 成し、試験飛行の結果も非常に優秀だったため即量産の命令が出されることになった(ただし 飛行安定性が低かったため量産型では双垂直尾翼にされることになった)。
 ところが量産に着手する頃には既にドイツがイギリス本土を爆撃できるだけの制空権を確保 しておらず、また連合軍による昼夜を問わない爆撃攻勢に立ち向かうため爆撃機よりも迎撃戦 闘機の生産が優先される状況となっており、44年7月に当機の量産は無期限延期(実質上の 生産中止)となってしまった。

機体詳細データ(He277B−5/R2)
全長22.15m全高 6.67m
全幅31.44m翼面積100.00m2
自重21,800kg最大重量44,500kg
最高速度560km/h上昇限度15,000m
航続距離6,000km巡航速度460km/h
発動機ダイムラーベンツ DB603A 液冷V型12気筒 1,750馬力×4基
乗員数 7名総生産機数15機(11機説あり)
武装7.92mm機銃×8(胴体銃座)、13mm機銃×2(背部銃座)、20mm機関砲×1(機首)、
爆弾3,000kg搭載可能
主要タイプ He277V1:原型1号機。He177A-3/R2の機体を流用
He277V2:原型2号機。He177A-5/R8の機体を流用
He277V3:原型3号機。双垂直尾翼となった
He277B-5/R2:生産前機。ごく少数(10機程度)が完成した。兵装の異なるR1型も計画された
He277B-3:BMW801Eエンジン(2,000hp)搭載型。計画のみ
He277B-6:ユモ213Eエンジン(2,060hp)搭載型。主翼長増大。未完成
He277B-7:B-6と同様の主翼延長型だが、こちらはHe177A-7に準じる機体(1機)
He277B-7/6:エンジンをBMW801E×6基に増やした運搬能力拡大型。計画のみ