ハインケル He178ジェット推進実験機

Heinkel He178

ドイツ空軍

He178
He178実験機(引込脚への改修後)

 航空機の推進機関として使用されてきたレシプロエンジンとプロペラの組み合わせは、近い将来に発展が 頭打ちになるであろうと考えられ始めた1930年代になって、ドイツのエルンスト・ハインケル(Ernst Heinkel)は ジェットエンジン研究者であるハンス・フォン・オハイン(Hans Joachim Pabst von Ohain)を招聘し、 援助を与えジェットエンジンの開発を開始した。
 同時期、イギリスでもジェットエンジンの開発が行われていた(開発着手はイギリスの方が早かった)が、 ハインケルとオハインは1939年初頭にHeS3エンジンを完成させ、このエンジンの空中実験用とし ての機体を製作することとなった。これがHe178と呼ばれる世界初のターボジェット推進実験機である。
 He178は金属製胴体に木製主翼を持つ高翼単葉機で、当初は尾輪式固定脚だったが後に引込脚へ 改修された。エンジンテスト用ということで機体構造自体に目新しい部分は無かったが、機首に空気吸 入口があり、プロペラの無い機体は当時の航空関係者にとって奇異に写ったであろう。
 39年8月27日に初飛行を成功させたHe178は、同年11月1日にドイツ空軍首脳陣の前で展 示飛行を行い、ウーデット(Ernst Udet:空軍航空機総監)、ミルヒ(Erhard Milch:空軍省次官)ら 高官達は当機の飛行を絶賛した。しかし、性能的には当時の最新鋭戦闘機よりも低く、また旧態依然とし た機体設計もあって、空軍の興味を引くことはできずに終わり、ハインケルは当機の改良を行わず、よ り進化したジェット機の開発へ移行することとした(He280を参照)。
 実験機はその後、世界初のターボジェットエンジン機としてドイツ技術博物館(Deutsches Technikmuseum)へ 収蔵されたが、連合軍のベルリン爆撃により博物館もろとも1943年に破壊されてしまった。

機体詳細データ(He178:性能は一部計画値)
全長 7.48m全高 2.10m
全幅 7.20m翼面積 9.10m2
自重1,620kg最大重量1,998kg
最高速度700km/h(実際には400km/h弱)上昇限度不明
航続距離200km(実飛行時間8分)巡航速度不明
発動機ハインケル HeS3b ターボジェット 推力450kg×1基
乗員数 1名総生産機数 1機
武装武装なし
主要タイプ He178:世界初の飛行に成功したターボジェット推進実験機