ハインケル He162ザラマンダー戦闘機

Heinkel He162 "Salamander"

ドイツ空軍

He162
ドイツ空軍第1戦闘航空団所属のHe162A−2

 第2次大戦末期、連合軍に追いつめられたドイツは全国民動員態勢による抵抗を考えており、国民の士気を 高めるため各種の『国民』兵器が開発されていた。物資不足から簡易化された『国民小銃』や『国民ガスマス ク』などもあったが、動員された兵にも扱え製造が容易である『国民戦闘機』は無かったため、ドイツ軍需省 の提案と航空省技術部の計画により国民戦闘機(フォルクス・イェーガー)開発が1944年秋から始まった。
 すでにメッサーシュミットMe262などで ジェット機の実用化に近づいていたドイツであったため、国民戦闘機もジェット機とすることが決定、無謀と も思える要求書が指示された。この「製造が容易で費用のかかる保守も不要、未熟な操縦士にも簡単に扱え、 しかも連合国戦闘機よりも優速・強力であること」という要求に、メッサーシュミットやフォッケ・ウルフを 初めとする戦闘機メーカーは一様に首を横に振り、空軍戦闘機隊総監のアドルフ・ガーランド将軍でさえ非現 実的な要求であると認めていた。
 しかしブローム・ウント・フォス社とハインケル社が提出した計画は、その無謀とも思える要求をほぼ満た しており、この2機の計画が承認された。承認を受けたハインケル社は驚異的なスピードで作業を開始、なん と9日間という超短期間で生産計画を作成したため、ハインケル社案が制式採用されることになった。
 最初の試験機は同年12月に初飛行し、幾つかの不安要素(最も重大な欠陥としては劣悪な機体安定性があ り、未熟な操縦士どころか熟練のパイロットでも手に余る機体だったと評価されている)もあったが逼迫した 戦況から改善は先送りされ、1945年2月末には当機による実戦部隊(I./JG1)創設となった。しかし連合 軍の爆撃により機体量産は進まず、燃料不足もあって効果的な活動はほとんど行えていない。

機体詳細データ(He162A−2)
全長 9.05m全高 2.60m
全幅 7.20m翼面積11.20m2
自重2,050kg最大重量2,700kg
最高速度840km/h(高度6,000m)上昇限度12,000m
航続距離 600km巡航速度不明
発動機BMW 003E-1 ターボジェット 静止推力800kg×1基
乗員数 1名総生産機数約270機(275機説が有力)
武装20mm機関砲×2
主要タイプ He162A-0:原型機および生産前機。BMW003A-1エンジン搭載
He162A-1:最初の生産型。20mm機関砲×2
He162A-2:空力学的に洗練された機体。BMW003E-1エンジン搭載
He162A-3:30mm機関砲を搭載するモデル。製作されず
He162A-6:胴体を補強した機体。30mm機関砲搭載。製作されず
He162A-8:胴体を延長し燃料搭載量を増加させた機体。製作されず
He162S:縦列複座操縦席を持つ練習用グライダー。固定降着装置を採用