ハインケル He111爆撃機

Heinkel He111

ドイツ空軍

He111H
He111H爆撃機
He111Z
He111Z−1双子機

 1935年に初飛行したHe111は見かけ上民間輸送機として設計が開始された機体であったが、軍用機としての 能力も重視され、民間機型(He111C)がルフトハンザ航空に就役した後も軍用機型の開発が進められた。しかし 完成した機体は装備を搭載しすぎて重量過多になり巡航速度が低下して期待はずれの結果となり、エンジンをDB60 0Aに変更した機体でようやく性能改善され1937年から実戦部隊への配備が開始された。
 1939年のポーランド侵攻、1940年のノルウェー・デンマーク、フランス・ベルギー、バトルオブブリテンな ど第二次世界大戦初期の作戦でドイツ空軍爆撃部隊の先頭に立って使用されたが、敵戦闘機に対して防御力が弱く損害 が大きかったため ユンカースJu88爆撃機が配備され始め ると、He111は夜間爆撃やミサイル母機、雷撃、航路誘導、グライダー曳航、輸送などの各種任務へ割り当てられ ることになった。また1942年にはスターリングラードで包囲されたドイツ陸軍への補給任務などに従事し、さらに 大戦末期には実質的に輸送任務だけに従事することになった。
 エンジンや機体形状の差からA〜H、J、L、P、Z型などの派生型があるが、一風変わったものが Me321ギガント輸送グライダーを曳 航するために設計されたZ型で、2機のH型を新しい中央翼で連結しエンジンを1基追加した双子機という変わった形 をしている(上写真参照)。

機体詳細データ(He111H−16)
全長16.40m全高 4.00m
全幅22.60m翼面積86.50m2
自重8,680kg最大重量14,000kg
最高速度440km/h(高度600m)上昇限度8,500m
航続距離1,950km巡航速度360km/h
発動機ユンカース「ユモ」211F-2 液冷倒立V型12気筒 1,350馬力×2基
乗員数4〜5名総生産機数7,300機以上(7,536機説あり)
武装7.92mm機銃×3〜7、13mm機銃×1、20mm機関砲×1、
爆弾最大2,500kg(翼下2,000kg+爆弾倉500kgまたは爆弾倉2,000kg)
機体詳細データ(He111Z−1双子機)
全長16.40m全高 4.00m
全幅35.40m翼面積147.60m2
自重21,500kg最大重量28,600kg
最高速度440km/h上昇限度10,000m
航続距離不明巡航速度360km/h
グライダー曳航時220km/h
発動機ユンカース「ユモ」211F-2 液冷倒立V型12気筒 1,350馬力×5基
乗員数4〜5名総生産機数上記参照
武装7.92mm機銃×6、13mm機銃×2、20mm機関砲×2(ベースとなる機体により異なる)
主要タイプ He111a:原型1号機。He111V1とも呼称。BMW VI6エンジン(600hp)搭載
He111V:原型機。正式にはHe111V2のように製造(計画)順に番号が付与された
He111A-1:原型He111V3をベースにした機体。ドイツでは不採用。中国へ売却
He111B-0:ドイツ空軍に採用された爆撃機型生産前機。DB600Aエンジン(1,000hp)搭載
He111B-1:最初の爆撃機生産型。DB600AaまたはDB600Cエンジン搭載。爆弾1,500kg
He111B-2:過給器付きDB600CGエンジン(950hp)搭載。全備重量を引き上げた機体
He111C-0:民間向け機体の呼称。うち2機は秘密偵察任務に従事した
He111D-0:DB600Gaエンジン(950hp)搭載の生産前機
He111D-1:D型の生産型。DBエンジンの不足により生産数はごく少数
He111E-0:ユモ211A-1エンジン(1,000hp)搭載の生産前機。爆弾1,700kg
He111E-1:E-0型同様の生産前機。構造強化により爆弾搭載量を2,000kgに引き上げ
He111E-3:生産型。機体内部に小変更あり。爆弾は内部搭載のみ
He111E-4:生産型。爆弾の一部を外部搭載可能とした機体
He111E-5:E-4型に似るが、追加燃料タンクを装備した機体
He111F-0:直線先細主翼装備の生産前機。エンジン、装備はE型とほぼ同じ
He111F-1:生産型。製作された24機はトルコへ売却された
He111F-4:生産型。E-4型と同じ爆弾搭載配置を持つ
He111G-01:直線先細主翼装備の民間向け機体。BMW VI6 OZuエンジン搭載
He111G-3:G-01型同様の民間向け機体。BMW132Dcまたは132H-1エンジン搭載
He111G-4:G型の機体にDB600Gエンジンを搭載したもの。軍幹部専用輸送機として使用
He111G-5:G型の機体にDB600Gaエンジンを搭載したもの。トルコへ売却
He111H-0:段付き形状の操縦席、ユモ211エンジン搭載の生産前機
He111H-1:段付き形状の操縦席、ユモ210Gaエンジン搭載。P-0型の生産型
He111H-2:H-1型に似るが、ユモ211A-3エンジン搭載の機体
He111H-3:腹部に20mm機関砲を搭載した対艦攻撃任務機。ユモ211Dエンジン搭載
He111H-4:H-3型に似るが、ユモ211D-1または211F-1エンジン搭載の機体
He111H-5:爆弾搭載量を2,500kgに増加させた機体
He111H-6:魚雷搭載能力を付与。ユモ211F-1エンジン搭載。H-7、H-9も同様の機体
He111H-8:H-3型またはH-5型に対防空気球用ワイヤーカッターを装備した機体
He111H-10:20mm機関砲を機首部に移動させたH-6改良型。ユモ211F-2エンジン搭載
He111H-11:武装・装甲強化型。背面に密閉型銃座を搭載している
He111H-12:Hs293Aミサイル搭載のため腹部張り出しを撤去した機体
He111H-14:H-10型を爆撃先導機に改修した機体。グライダー曳航機H-14/R2もある
He111H-16:標準の爆撃機型。グライダー曳航機H-16/R2や爆撃先導機H-16/R3もある
He111H-18:H-16/R3型に似た爆撃先導機。排気炎減衰管を採用
He111H-20:グライダー曳航機。貨物機H-20/R2、爆撃機改修型H-20/R3、R4もある
He111H-21:ユモ213エンジン搭載。爆弾3,000kg搭載可能な能力強化型
He111H-23:H-20型に似るが、ユモ213エンジンを搭載の機体
He111J-0:DB600CGエンジン搭載。外部への爆弾搭載のみの生産前機
He111J-1:当初は雷撃機として開発されたJ-0型生産機。爆撃専用機として完成
He111P-0:段付き形状の操縦席。ユモ210Gaエンジン搭載の生産前機
He111P-1:生産型。DB601A-1エンジン搭載
He111P-2:P-1型に似るが、搭載無線装備が異なる機体
He111P-3:P-1型またはP-2型を複操縦装置付き練習機に改修した機体
He111P-4:防御武装・搭載燃料追加、爆弾搭載量増加(外部搭載)したP型改良型
He111P-6:DB601Nエンジン搭載。爆弾は内部搭載。グライダー曳航機P-6/R2もある
He111Z-1:グライダー曳航用双子機。エンジンを5発とし、2機の機体を中央翼で接続
He111Z-2:Z-1型に似る長距離爆撃機。Hs293Aミサイル4発搭載。計画のみ
He111Z-3:Z-1型変型の長距離偵察機型