ホーカー ハート軽爆撃機シリーズ

Hawker Hart/Audax/Hartebees/Demon/Hardy/Hind/Hector/Osprey

英国空軍 他

Hart series
(上段左)英国空軍のヘクター(1号機)/(上段右)英国空軍博物館所蔵のハインド(復元機)
(下段左)英国空軍のオーダクスMk./(下段右)スウェーデン海軍のオスプリ(S9)

 1926年に英航空省が新型軽爆撃機を求める仕様書12/26により、H・G・ホーカー・エンジ ニアリング社([H.G. Hawker Engineering]。1933年にホーカー航空機有限会社[Hawker Aircraft Limited]と 改称)が開発した機体は、当時としてはオーソドックスな金属構造布張りの複葉機だったが、ホーカー社 が特許を得た翼桁断面形により、軽量かつ強固な機体として完成した。
 1928年末から他社機(アブロ社およびフェアリ社の機体)との比較試験が行われたが、当機の優秀 さは目立っており、航空省は当機の生産前機発注のため新たに仕様書9/29を作成、ハート(雄鹿の意) の公式名称が与えられた。
 ハートは1930年から部隊配備が開始されたが、当時の英空軍戦闘機であるブリストル・ブルドック よりも優速であったため、変形型として複座戦闘機タイプが製作されることになり、ディーモンの名で3 1年に部隊配備が開始された。このほかにも海軍艦艇上から運用する双フロート(車輪降着装置と交換可 能)を装備した水上偵察機タイプのオスプリ、前線敵地の偵察を行う陸軍直接協同偵察機タイプのオーダ クスなどの変形型も同時期に生産されている。
 また植民地警備任務に使用するため、オーダクスを改良したハーディや、南アフリカ空軍の要望により オーダクスの装甲を強化したハートビー、ハートの出力強化型となるハインド、オーダクスの出力強化型 となるヘクターなど多種多様な変形型も1930年代半ばに生産された。この大ヒット作のおかげでホー カー社は英国一の航空機メーカーとなり、ホーカー・シドリグループの中核となる成功を収めることとな った。
 第二次大戦が始まる頃には英国空軍に所属していた機体の大半は第一線を退き、訓練任務などに従事し ていたが、多数輸出された兄弟機たちは、第二次大戦終結まで第一線で飛行を続けている。

機体詳細データ(ハート
全長 8.94m全高 3.17m
全幅11.35m翼面積32.33m2
自重1,150kg最大重量2,070kg
最高速度296km/h(高度1,530m)上昇限度6,500m
航続距離 690km巡航速度不明
発動機ロールスロイス「ケストレル」IB 液冷V型12気筒 525馬力×1基
乗員数 2名総生産機数約3,000機(全タイプ計)
武装7.7mm機銃×2(前方固定、後方旋回各1)、240kgまでの爆弾
主要タイプ Hart(12/26):仕様書12/26による原型機。民間登録記号J9052(1機)
Hart(9/29):仕様書9/29による生産前機。ケストレルIBまたはISエンジン搭載(15機)
Hart I:最初の軽爆撃機生産型。ホーカー社以外にビッカース社やアームストロング・ホイットワース社製もある
Hart(two-seat fighter):ケストレルIISエンジン搭載の複座戦闘機型生産前機(6機)
Hart(India):インド向けに改良されたハート軽爆撃機(57機)
Hart(trainer):複操縦装置付きの練習機型(2機+34機)
Hart(communications):通信筒投下装置を持つ連絡機型(2機)
Hart(trainer II):練習機型第二グループ。ケストレルXDRエンジン(20機)
Hart(trainer IIA):熱帯仕様の練習機型。Hart(special)とも呼称(417機)
Demon(15/30):仕様書15/30による複座戦闘機原型(2機)
Demon(6/32):複座戦闘機生産型。ホーカー社製。Demon Iとも呼称(79機)
Demon(8/34):複座戦闘機生産型。ボールトンポール社製。Turret Demonとも呼称(49機)
Demon II:豪州空軍向けの標的曳航機型(10機)
Hart(19/30):当初は仕様書O.22/26に基づく機体。ハート原型機に双フロートを付けた水上偵察機原型
Osprey(19/30):新規に生産された双フロート式水上偵察機原型(2機)
Osprey I:水偵タイプ初期生産型。ケストレルIIMSエンジン(37機)
Osprey II:フロート取り付け位置を改修した水上偵察機(14機)
Osprey III:救難ボート搭載型の水上偵察機。1機は単フロート実験機に改修(6機)
Osprey III(10/33):艦隊用着弾観測機仕様の水上偵察機。一部ステンレス鋼製(46機)
Osprey IV:ケストレルVエンジン搭載の艦隊用着弾観測機(26機)
S9:スウェーデン海軍向けのオスプリの現地呼称。マーキュリーエンジン搭載(4機)
Audax(7/31):ハートを改修した直接協同偵察機原型(1機)
Audax I:直接協同偵察機生産型。ケストレルIB搭載(171機)
Audax(India):インド向け直接協同偵察機。熱帯仕様。グロスター社製(50機)
Audax(Singapore):シンガポール(海峡植民地義勇軍)向け。熱帯仕様(2機)
Audax(34/34):ケストレルX搭載の直接協同偵察機主要生産型(403機)
Audax(export):輸出型オーダクス。空冷エンジンのペルシャ向け(56機)やイラク向け(34機)等
Hardy(G.23/33):ハート軽爆撃機を改修した警備(警察任務)機原型
Hardy I:警備機生産型。熱帯仕様。中東方面へ配備(47機)
Hartebees:南ア向け警備機。防弾装備強化(一部の機体)(4機+現地生産65機)
Hind(G.7/34):ハートの出力強化型原型(1機)
Hind I:出力強化型の初期生産型。ケストレルV搭載(20機)
Hind(11/35):ハインドの主要生産型(437機)
Hind(13/37):ハインド生産第二グループ(70機)
Hind(export):輸出型ハインド。スウェーデン、ユーゴスラビア、ポルトガル、アフガニスタン、ペルシャ、ラトビア等
Hector(14/35):オーダクスの出力強化型となる直接協同偵察機原型(1機)
Hector I:直接協同偵察機生産型。ネイピア・ダガーIIIMSエンジン搭載(178機)
PV4(G.4/31):仕様書G.4/31に基づいた急降下爆撃機原型。ハート派生型。原型のみ