フォッケ・アハゲリス Fa330バッハシュテルツェ回転翼機

Focke-Achgelis Fa330 "Bachstelze"

ドイツ海軍

Fa330
Fa330バッハシュテルツェ

 対水上レーダーが発達する前の時代、艦艇から行う周辺警戒・索敵は乗員の目視に頼らざるをえな かった。ところが地球は球体であるため、距離が離れると相手は視界の影になり見えなくなってしま うので、より高い位置からの観測が必要であった。そのため艦艇の見張り台は艦の最も高い位置に設 置されていた。しかし潜水艦は水中航行の邪魔になる艦橋(司令塔)や艦の吃水を高くすることがで きず、索敵距離は数キロメートルがせいぜいだったため、敵水上艦艇より先に相手を発見するのは困 難であった。
 20世紀初頭ごろから観測気球を戦艦等に搭載して、ワイヤーで曳航しながらの観測が行われてい たが、潜水艦はスペースの問題から観測気球の搭載・運用は無理であったため、ドイツ海軍では19 40年代初頭に、凧による観測を計画した。この凧は通常想像されるようなものではなく、無動力の 回転翼を持つもので、風を受けて回転するこの回転翼が揚力を生み出すしくみとなっていた。
 42年にフォッケ・アハゲリス社へ対して機体開発の指示が出された。二人の要員(搭乗員)によ り潜水艦甲板へ配備でき、容易に組み立て・解体が可能で、150メートルの曳航ワイヤーにより牽 引されることで約120メートルの高度にまで上昇できる機体として開発された。高度120メート ルからの観測は、潜水艦に従前の5倍程度の視程を与えることになった。同機はFa330の名称( 愛称は「バッハシュテルツェ」(鶺鴒(セキレイ)の意))で海軍に採用となった。
 43年から少数のUボートに搭載されており、何度か使用されたものの、制空権が連合軍側にあっ たため悠長に凧を飛ばしている状況に無く(組み立てには20分程度の時間がかかった)、目立った 戦果を挙げることはできていない。ちなみにFa330を運用中に敵艦や敵機に発見された場合、潜 水艦長は同機(とその搭乗員2名)を見捨て、ワイヤーを切り離して急速潜航で逃げることとされて いたため、水温が低い海上への不時着水がそのまま搭乗員の死を意味した北海や南大西洋において、 当機の使用は敬遠されていた。
 ほとんど戦況に寄与しなかった機体であるが、終戦までにヴェーザー航空機[Weser Flugzeugbau]社 の手により約200機が製造されており、ある程度の数が終戦後も生き残っていたため、世界各地の 博物館等で現在もその姿を見ることができる。

機体詳細データ(Fa330)
全長4.42m(ローター直径7.32m)全高不明
全幅不明翼面積42.0m2(ローター軌道円面積)
自重 68kg最大重量不明
最高速度−−−−−(航行する潜水艦による曳航)上昇限度120m
航続距離−−−−−巡航速度−−−−−
発動機無動力
乗員数2名総生産機数約200機
武装武装なし
主要タイプ Fa330:無動力の回転翼凧(autogyro kite、独語ではmotorloser kleintragschrauber(無動力オートジャイロの意))