ヴォート F4Uコルセア戦闘機

Vought F4U "Corsair"

合衆国海軍航空隊 他

F4U
南太平洋戦線で米海兵隊に使用されるF4Uコルセア

 米海軍のブリュースターF2A戦闘機などの後継 機として、1938年2月に設計を開始したコルセア(海賊の意)は、軍の予定していた1,000馬力級のエ ンジンを搭載せず設計当初から2,000馬力級のエンジンを搭載した大胆な設計計画の提案で関係者の度胆を 抜いた。当機の最も目立つ特徴である逆ガル翼は、大直径プロペラ装備ながら主脚を短くするために採用された ものである。
 1940年に完成した機体はそれまでの米国海軍艦載戦闘機で一番重く、一番大きなプロペラをつけた怪物の ような大きさのものとなったが、最新のダブルワスプエンジンを搭載した最も強力な戦闘機でもあった。しかし 当初の目論見と異なり艦上戦闘機として大急ぎで配備されたのは、F4Uより完成の遅かった グラマンF6Fヘルキャットであっ た。これはF4Uの失速挙動が危険であったことや前方視界が不十分のため、艦上機としての運用に不安があっ たためである(このため『艦載機なのに空母に搭載するための設計を施されていない欠陥機』という意見もある)。 したがって最初の生産機体はすべて海兵隊の部隊に引き渡され、太平洋上の島々の基地から運用されている。太 平洋戦争中期以降は日本軍飛行士達に最も手強い戦闘機として認識され、実際に太平洋上から日本機を駆逐して いった。
 なお戦争末期になって艦上運用が許可されると米国海軍も艦上機としての運用を開始しているほか、英国海軍 に供与された機体も日本近海の航空母艦から作戦行動を行っている。
 太平洋戦争終戦後もF4Uの生産は続けられ、1950年に始まった朝鮮戦争では海兵隊所属機として開戦当 初から活躍し、米軍最初の ミグ15戦闘機撃 墜記録も挙げている。
 第二次大戦後はフランス海軍も当機を採用している。また中古機体を使用していたホンジュラスとエルサルバ ドル両国は1969年の戦争(俗に言うサッカー戦争)において、当機同士の空戦を行っており、この戦争がレ シプロ機同士の空戦(撃墜含む)が行われた最後の戦争であるとの説がある。

機体詳細データ(F4U−4)
全長10.26m全高 4.5m
全幅12.50m翼面積29.17m2
自重4,175kg最大重量6,650kg
最高速度717km/h上昇限度12,650m
航続距離1,000km巡航速度595km/h
発動機プラット&ホイットニー R-2800-18W「ダブルワスプ」空冷星形複列18気筒 2,100馬力×1基
乗員数 1名総生産機数12,571機
武装12.7mm機銃×6、454kg爆弾×2もしくは127mmロケット弾×8
主要タイプ V-166:当機の社内呼称
XF4U-1:原型機呼称。XR-2800エンジン搭載
F4U-1:R-2800-8エンジン搭載の初期生産型。海軍では使用されず
F4U-1A:前方視界向上のための操縦席位置上昇と降着装置改良を施した機体
F3A-1:ブリュースター社で製造されたF4U-1の呼称
FG-1:グッドイヤー社で製造されたF4U-1の呼称。主翼折りたたみ装置廃止
F4U-1B:英国に供与された機体の米国内呼称(総称)
F4U-1C:搭載機銃を20mm機関砲×4に変更したモデル
F4U-1D:水噴射装置付きR-2800-8Wエンジンを装備した機体。戦闘爆撃機型
F3A-1D:ブリュースター社で製造されたF4U-1Dの呼称
FG-1D:グッドイヤー社で製造されたF4U-1Dの呼称
F4U-1P:F4U-1を改修した写真偵察機型
F4U-2:機上迎撃レーダーポッドを装備した夜間戦闘機型。搭載武装減少
F4U-3:超高々度戦闘機型。原型機は戦後初飛行した
FG-3:グッドイヤー社製機体を改造した超高々度飛行研究機の呼称
F4U-4:R-2800-18Wまたは47Wエンジンを装備した第二期生産型
F4U-4C:搭載機銃を20mm機関砲×4に変更したF4U-4
F4U-4E:機上迎撃レーダーポッド(APS-4)を装備した夜間戦闘機型F4U-4
F4U-4N:機上迎撃レーダーポッド(APS-5、6)を装備した夜間戦闘機型F4U-4
F4U-4P:F4U-4を改修した写真偵察機型
F4U-5:R-2800-32Wエンジンを装備した戦闘爆撃機型。第二次大戦中の最終生産型
F4U-5N:機上迎撃レーダーポッドを装備した夜間戦闘機型F4U-5
XF4U-6:R-2800-83Wエンジンを装備した低空攻撃機型原型
AU-1:R-2800-18Wエンジンを装備した攻撃機型。XF4U-6準拠、武装搭載量増加
F4U-7:最終生産型。軍事援助計画によりフランス海軍へ供与
F2G:R-4360エンジン(3,000hp)を搭載した迎撃機型原型。グッドイヤー社製。試作のみ
Corsair Mk.I:F4U-1の英国海軍における呼称
Corsair Mk.II:F4U-1Aの英国海軍における呼称
Corsair Mk.III:F3A-1Dの英国海軍における呼称
Corsair Mk.IV:FG-1Dの英国海軍における呼称