ドルニエ Do335プファイル戦闘爆撃機

Dornier Do335 "Pfeil"

ドイツ空軍

Do335A
Do335A−0(生産前試作7号機)

 第二次世界大戦中のドイツ航空産業界は色々と奇抜なアイデアを盛り込んだ航空機を試作した。世界初の実用ジェッ ト機(Me262Ar234等)や ロケット機(Me163等)など他国の技術より数年は 先行した機体もあったが、なかには空想小説から抜け出してきたとも思える奇想天外な機体もあった。
 このDo335もそういった奇抜な飛行機の1機として有名であるが、当機の開発コンセプトであった高速高性能戦 闘爆撃機としては成功作であっただろう。しかし前後にエンジンを装備した重戦闘機の開発は容易ではなく、ようやく 生産のめどが付いた頃にはドイツ工業界の状況は連合軍の爆撃で悪化しており、急速な生産には入れなかった。この機 体が大量に配備されていれば、連合軍はかなりの苦戦をしいられたであろうことは想像に難くない(ただし、一つの新 兵器が戦略的状況を変えることなど滅多にありえないことなので最終的な勝敗が逆になる可能性は低い)。
 機体後方にもプロペラのある特異な形状のため操縦士の脱出装置には射出座席が用いられ、脱出の際には爆薬で垂直尾 翼と後部プロペラを吹き飛ばす方式がとられている。なお後部エンジンを停止しての飛行も可能で、その場合でも56 0km/h程度の速度を出せたという。
 終戦までに37機が完成したが実戦に参加することはなかったようだ(連合軍パイロットの中にはベルリン上空で当機 と遭遇したと話した者もあるらしいが、真偽のほどは定かではない)。ちなみにDo335はプファイル(Pfeil:矢)と愛 称が付けられていたが、機首の長い形状から操縦士達はこの機体をアマイゼンベア(Ameisenbär:オオアリクイ)と呼んでいた。

機体詳細データ(Do335A−1)
全長13.85m全高 5.00m
全幅13.80m翼面積38.50m2
自重7,400kg最大重量9,600kg
最高速度770km/h(高度6,400m)上昇限度11,400m
航続距離1,380km巡航速度685km/h(高度7,100m)
発動機ダイムラーベンツ DB603E 液冷倒立V型12気筒 2,000馬力×2基
(出力はMW-50水/エタノール噴射装置を使用した緊急出力)
乗員数 1名総生産機数 37機(諸説あり)
武装15mm機銃×2、30mm機関砲×1、爆弾最大1,000kg(胴体内500kg、主翼下250kg×2)
主要タイプ Do335V:原型機。正式にはDo335V1のように製造(計画)順に番号が付与された(3機?)
Do335A-0:戦闘爆撃機型の生産前機。胴体内に500kgまでの爆弾搭載。DB603A-2(1,750hp)搭載(10機?)
Do335A-1:戦闘爆撃機型の量産型。主翼下に爆弾架を追加装備(11機?)
Do335A-12:A-1を複座型に改修した機種転換練習機(2機?)
Do335B:駆逐機(夜間戦闘機)型。主翼に30mm機関砲×2を追加装備
Do435:複座夜間戦闘機型。機上レーダー搭載。「ユモ」213Eエンジン(2,050hp)搭載。計画のみ
Do535:後部エンジンをターボジェットに置き換えた駆逐機型。計画のみ
Do635:2機のDo335を中央翼で連結した双胴機。長距離偵察機。計画のみ