ボーイング C−75ストラトライナー輸送機

Boeing C-75 Stratoliner

合衆国陸軍航空隊

C-75
米陸軍航空隊のC−75輸送機

 ボーイング社は1930年代半ばに爆撃機原型となるモデル299(後に B−17として採用)と同時に 民間向けとなるモデル300原型の開発を進めていた。民間の旅客輸送機として計画されたこの機 体は爆撃機型よりも広い胴体を持っていたが、設計が進んでいくにつれ客室内の与圧などの改良が 盛り込まれ、最終的にモデル307と名付けられる機体へと変化を遂げていた。
 1930年代末から米国内の航空会社へ就航を始めた当機は「ストラトライナー(Stratoliner: 成層圏定期便)」の愛称を付けられることになった(実際の運航高度は約6,000メートルなの で”成層圏”というのは多少誇大表現のような気もする)。10機が製造されたが、うちトランス コンチネンタル&ウエスタン航空(Transcontinental and Western Air :TWA/現トランスワー ルド航空の前身)に納入される予定だった5機は1942年に米陸軍航空隊に徴用され、C−75 の名称を与えられてVIP輸送機として使用されることになった。なお残り5機のうち1機は大富 豪ハワード・ヒューズが買い取り、豪奢な内装を施した自家用機として使用している。
 C−75は軍務から退くまでの2年半の間に、のべ3,000回の大西洋横断飛行により欧州戦 線へ軍人や民間人の輸送を行い、退役後はボーイング社で再調整(民間基準への再改装だったがエ ンジンや主翼・尾翼を新型に換装するなど、ほとんど新造に近い改修を受けた)の後にTWA社へ 返還されている。

機体詳細データ(C−75(SA−307B))
全長22.66m全高 6.34m
全幅32.61m翼面積138.05m2
自重13,608kg最大重量19,050kg
最高速度396km/h上昇限度7,985m
航続距離3,846km巡航速度354km/h
発動機ライトGR-1820「サイクロン」空冷星形9気筒 900馬力×4基
乗員数乗員8〜10名+客席12〜16名総生産機数10機(うち軍事転用5機)
武装武装なし
主要タイプ Model 300:最初の設計案。客室の与圧は無かった
Model 307:最終設計案。当機の社内呼称でもある
S-307:生産機のうちパン・アメリカン航空向け機体の呼称。1機は引き渡し前に墜落(4機)
SA-307B:生産機のうちTWA向け機体の呼称。全機米陸軍に徴用された(5機)
C-75:徴用したSA-307Bの陸軍呼称。退役後は民間へ返還された
SB-307B:ハワード・ヒューズ向けに納入された機体。1949年石油王グレン・マッカーシーへ転売(1機)