ダグラス C−47スカイトレイン輸送機

Douglas C-47 "Skytrain"

合衆国陸軍航空隊 他

C-47
C−47DL輸送機(後方に薄く見える白い線はグライダーを曳航する他機のワイヤーである)

 第二次大戦前に米国の民間航空会社であるアメリカン航空はライバル会社との競争に一歩先んずるため ダグラス社へDC−2輸送機の大型化した変形機を発注した。これにより完成したのがベストセラー機と なったDC−3(DCは「ダグラス・コマーシャル」の略でダグラスが製造した3番目の商用機という意 味)である。
 1936年11月に原型機がアメリカン航空に就役して以来、1939年末までにアメリカを始め欧州、 南米などの航空会社に就役し、日本やソビエトではライセンス生産も行われており、日本では中島と昭和 が生産を行い海軍に零式輸送機と して採用され、ソビエトではボリス・P・リスノフ(Б.П.Лисунов)が率いる 工場にてLi−2の名称で生産された。ソビエトでの当機は輸送機としてだけでなく、爆弾を搭載しての 爆撃任務にも使用されることがあった。
 第二次大戦が勃発すると民間航空路線の縮小に伴い民間航空会社への販売数は激減したが、米国では軍 用航空輸送が発達していたため、民間機のDC−3を借り上げて大規模な輸送任務に従事することとなっ た。また軍用としてC−47スカイトレインの名称を与えられたDC−3も大量発注されたのである。
 大戦当初から終戦まで連合軍の行くところには必ずC−47が輸送任務で飛び回っており、連合軍司令 官アイゼンハワー元帥(Dwight D.Eisenhower)は大戦における連合軍勝利の重要な道具のひとつとして C−47をあげている。
 戦後余剰となったC−47は世界各国の軍隊に譲渡もしくは転売され、いまなお多数の機体が準軍事的 任務に従事しているといわれている。また民間型DC−3も世界各国でいまだ活躍している。

機体詳細データ(C−47)
全長19.43m全高 5.18m
全幅29.11m翼面積91.69m2
自重8,256kg最大重量11,794kg
最高速度365km/h(高度2,285m)上昇限度7,315m
航続距離2,575km巡航速度274km/h
発動機プラット&ホイットニー R-1830-92 空冷星形複列14気筒 1,200馬力×2基
乗員数2〜3名総生産機数13,000機以上(民間型含む)
武装武装なし、3〜4トン程度の物資または完全装備落下傘兵28名を搭載可能
主要タイプ DC-3:民間向け基本モデル。サイクロンエンジン搭載。乗客21〜28名
Super DC-3:戦後の改良型民間向けモデル。当初の社内呼称はDC-35
C-41A:最初の軍用モデル。DC-3に軍基準の計器を装備。R-1830-21エンジン
C-47:最初の軍用生産型。胴体幅増加、搭載燃料増加、天測窓を追加
C-47A:電気系統を12Vから24Vに変更したC-47改良型
RC-47A:戦術支援任務としての照明弾投下用に改造されたC-47Aの呼称
SC-47A:捜索救難機改造型。後にHC-47Aと改称
VC-47A:通常の客席を持つ幹部輸送機改造型
C-47B:ヒマラヤ山脈越え用改装型。2段過給器付きR-1830-90Cエンジン搭載
TC-47B:特殊航法練習機型。機体はC-47Bベース
VC-47B:VC-47Aと同様の幹部輸送機改造型。C-47Bベース
XV-47C:水陸両用フロートを装備した試作機
C-47D:C-47Bから高圧送風機を撤去したモデル
AC-47D:航路点検用機。後に(地上掃射型採用のため)EC-47Dと改称
AC-47D:胴体左舷に7.62mmミニガン×3を装備した地上掃射型
RC-47D:C-47Dベースの偵察機改造型
SC-47D:C-47Dベースの捜索救難機改造型。後にHC-47Dと改称
TC-47D:C-47Dベースの練習機改造型
C-47E:R-2000-4エンジン(1,200hp)搭載の航路点検機
YC-47F:Super DC-3を米空軍が審査したときの呼称。当初はYC-129と呼ばれた
C-47H:特殊電子機器を搭載した機体の呼称。後にC-47Mと改称
C-47J:特殊電子機器を搭載した機体の呼称。後にC-47Mと改称
EC-47N:特殊電子偵察用機器を搭載した機体。C-47Aベース
EC-47P:特殊電子偵察用機器を搭載した機体。C-47Dベース
EC-47Q:特殊電子偵察用機器を搭載した機体。R-2000-4エンジン搭載
C-48:民間航空会社から徴用した機体の米陸軍呼称。C-49〜C-52も同様の徴用機体
C-53:R-1830-92エンジン搭載の改良型兵員輸送機。グライダー曳航も可能
XC-53A:隙間付フラップと翼縁防氷装置を装備した改修機原型
C-53B:極地作戦用として耐寒装備を追加した機体。搭載燃料増
C-53D:横向きベンチ型座席を持つ以外はC-53と同等の機体
C-68:民間航空会社から徴用した機体の米陸軍呼称。C-53C、C-84も同様の徴用機体
C-117A:幹部輸送機。21座席の客席を持つ。C-47Bに準拠
C-117B:C-117Aから高圧送風機を撤去したモデル
C-117C:C-117B準拠に改装したVC-47モデルの呼称
XCG-17:動力部分を撤去した輸送グライダー原型。生産には至らず
R4D-1:米海軍向け輸送機型。C-47に準拠
R4D-2:民間航空会社から徴用した機体の米海軍呼称。R4D-4も同様の徴用機体
R4D-3:米陸軍から米海軍へ譲渡されたC-53の米海軍呼称
R4D-5:米陸軍から米海軍へ譲渡されたC-47Aの米海軍呼称。後にC-47Hと改称
R4D-5E:特殊電子作戦用に改修したR4D-5の呼称
R4D-5L:極地作戦用に改修したR4D-5の呼称。後にLC-47Hと改称
R4D-5Q:電子妨害用に改修したR4D-5の呼称。後にEC-47Hと改称
R4D-5R:人員輸送用に改修したR4D-5の呼称。後にTC-47Hと改称
R4D-5S:対海上作戦用に改修したR4D-5の呼称。後にSC-47Hと改称
R4D-5T:航法訓練用に改修したR4D-5の呼称
R4D-5Z:幹部輸送用に改造したR4D-5の呼称。後にVC-47Hと改称
R4D-6:米陸軍から米海軍へ譲渡されたC-47Bの米海軍呼称。後にC-47Jと改称
R4D-6E:R4D-5E同様の改修機。他にL、Q、R、S、T、Z型も同様に存在する
R4D-7:米陸軍から米海軍に譲渡されたTC-47Bの米海軍呼称。後にTC-47Kと改称
R4D-8:米海軍保有機をSuper DC-3基準に改修した後の呼称
Dakota Mk.I:英軍へ供与された機体の呼称。C-47相当
Dakota Mk.II:英軍へ供与された機体の呼称。C-53相当
Dakota Mk.III:英軍へ供与された機体の呼称。C-47A相当
Dakota Mk.IV:英軍へ供与された機体の呼称。C-47B相当
Li-2(Ли-2):ソ連でのライセンス生産機。シュベツォフM-62(後にASh-62)エンジン搭載
Li-2G:Li-2の貨物輸送機型
Li-2P:Li-2の人員輸送機型
Li-2PG:Li-2の貨物/人員輸送転換機型
Li-2V:Li-2の高々度モデル。過給器付きエンジン装備
L2D:日本でのライセンス生産機。詳細は零式輸送機の項を参照