ブレダ Ba.88リンチェ攻撃機

Breda Ba.88 "Lince"

イタリア王立空軍

Ba.88
イタリア空軍の記章をつけたBa.88(量産型)

 1930年代に各国空軍(および航空機メーカー)は双発重戦闘機の開発にしのぎを削っていた。イタ リアも例外でなく、空軍はブレダ社に対して高速戦闘機の開発を行わせた。ブレダ社は空気抵抗を抑える ため胴体を砲弾型に整形した機体を設計、1936年10月に原型1号機を初飛行させた。
 全金属製のいかにも速そうな流線型胴体に高翼式主翼、イゾッタ・フラスキーニエンジンを搭載した原 型機は速度試験で500km/hを超える速度性能を発揮した。さらに当時のイタリアで入手可能な量産 エンジンのうち強力な部類に入るピアッジョエンジンへ換装した機体で挑戦した速度記録は100km周 回で554km/h(有償荷重1,000kg)を達成、世界記録を塗り替えるに至った(他にも1,0 00km超飛行での平均速度524km/hも世界記録だった)。
 この記録樹立に気をよくしたイタリア空軍は1939年に当機の量産を発注、原型機では単垂直尾翼だ ったものを双垂直尾翼に改めた量産型は1940年から部隊配備が開始された。
 イタリアが第二次大戦に参戦した緒戦は全世界に向けて当機の活躍が喧伝されていたが、実際には武装 を施すと重量過多と飛行安定性の低下をひきおこし、重戦闘機としての使用に耐えられなかったため、攻 撃機として利用されるようになっている。
 しかし北アフリカ戦線へ送られた機体は攻撃機としても全く役に立たず、デリケートな機体だったため 不調が続出し稼働率は極端に落ち込み、早々にイタリア本国へ引き揚げている。軍は当機の生産をキャン セルし、それまでに150機ほど生産された機体は使用に耐えられないとされ、武装を撤去された後に、 敵の目を欺くダミーとして地上に置かれるのみの存在に成り下がってしまった。

機体詳細データ(Ba.88)
全長10.80m全高 3.12m
全幅15.60m翼面積33.34m2
自重4,650kg最大重量6,750kg
最高速度490km/h上昇限度8,000m
航続距離1,640km巡航速度385km/h
発動機ピアッジョ P.XIRC40 空冷星形複列14気筒 1,000馬力×2基
乗員数 2名総生産機数149機
武装12.7mm機銃×2〜3(前方固定)、7.7mm機銃×1(後方旋回)、爆弾1,000kg搭載
主要タイプ Ba.88(原型):単尾翼の機体。イゾッタ・フラスキーニK14エンジン(900hp)搭載
Ba.88(量産型):双尾翼の機体。P.XIRC40エンジン搭載
Ba.88M:胴体延長、ダイブブレーキ装備、フィアットA74エンジン(1,000hp)の急降下爆撃機型。量産型を3機改修