ノースアメリカン AT−6テキサン練習機

North American AT-6 "Texan"

合衆国陸軍航空隊 他

AT-6
AT−6練習機(機体番号から米海軍(または海兵隊)向けのSNJ機と思われる)

 1934年に米国陸軍が出した新型基本練習機要求書に基づき、ゼネラル航空機製造(ゼネラル・モー タース社の航空機部門)ダンターク工場が短期間で開発した機体。試作機が完成した時点には、社名がノー スアメリカンに変わっていたので、この新型機には社名を取ってNA−16という名前が付けられた。
 1935年中頃には米国陸軍がBT−9の名前で正式採用し、その練習機としての扱いやすさに好評をよ んだ。米陸軍での呼称は後にAT−6(T−6テキサン)に改称されている。
 米国海軍もNJ−1(SNJ)練習機として愛用したほか、海外へも中国・フランス・カナダ・オランダ ・スゥエーデン・オーストラリア・日本、戦後にはタイ・チリ・ブラジルなどにも輸出され、いくつかの国 ではライセンス生産も行われている。フランスに輸出された機体はフランス占領後に接収をおこなったドイ ツ軍にも使用されている。
 各国で練習機以外にも急降下爆撃機・戦闘機・標的曳航機・競速機・前進空中管制機(FAC)・VIP 輸送機・農業用機などの派生型も使用され、戦後映画撮影のため零戦モドキに改造された機体等を除いても 派生型は290種類以上にも上っている。
 余談であるが、日本でもAT−6(NA−37と47)を2機輸入し、これを基礎に渡辺鉄工所(九州飛 行機)と日本飛行機で練習機(二式陸上中間練習機)を 開発・製造している。

機体詳細データ(ノースアメリカンSNJ−5(米海軍仕様機))
全長 8.99m全高 3.58m
全幅12.81m翼面積23.57m2
自重1,890kg最大重量2,400kg
最高速度330km/h(高度1,500m)上昇限度6,600m
航続距離1,200km巡航速度233km/h
発動機プラット&ホイットニー R-1340-AN1「ワスプ」空冷星形9気筒 550馬力×1基
乗員数 2名総生産機数21,342機(ライセンス機含む)
(T-6系列のみは15,495機)
武装練習機型には武装なし
主要タイプ NA-16:最初の原型機。R-975エンジン(400hp)搭載
NA-18:密閉型風防とR-1340エンジン(600hp)を装備した原型機
BT-9:米国陸軍向け機体。R-975エンジン搭載。固定脚
BT-9A:機首と背面に7.62mm機銃およびガンカメラを搭載したモデル
BT-9B:細部を改善、装備品の変更を施したモデル
BT-9C:機首と背部に機銃を搭載したモデル
BT-9D:R-1340エンジン(600hp)搭載。引き込み脚採用モデルの米陸軍審査時呼称
BT-14:米陸軍向け。R-985エンジン(450hp)搭載のモデル。固定脚
BT-14A:BT-14のエンジンをR-985-11エンジン(400hp)に換装した改修型
BC-1:米陸軍向け。R-1340-7エンジン(600hp)搭載モデル。武装搭載
BC-1I:BC-1改修の計器練習機
BC-1A:BC-1改良型。新設計主翼と尾翼、つくり付けタンクを採用
AT-6:BC-1Aと同様の機体に付けられた新呼称
AT-6A:R-1340-9エンジン、取り外し可能な外部タンク装備のモデル
AST-6B:R-1340-AN-1エンジン、背面機銃装備。射撃練習機
AT-6C:広範囲にアルミ代用材を使用した機体
AT-6D:AT-6Cに似た機体だが、電気系統を24V基準に変更したモデル
XAT-6E:V-770-9エンジンを搭載した試作機
AT-6F:高機動対応のため外翼・後部胴体再設計。風防改良モデル
T-6F:FAC(前線航空管制)任務用に改修されたAT-6Fの呼称
T-6G:操縦席・電子機器近代化、燃料容量増加、主翼改修などを施したモデル
LT-6G:FAC(前線航空管制)任務に使用されたT-6Gの呼称
T-6J:相互防衛援助計画の一環として米陸軍が購入したHarvard Mk.IVの呼称
NJ-1:米海軍向け。R-1340-6エンジン(500hp)搭載モデル
NJ-2:NJ-1にXV-770-4エンジン(490hp)を搭載した試作機
SNJ-1:米海軍向け。BC-1に似るが応力外皮胴体と外部タンクを持つ
SNJ-2:SNJ-1にR-1340-56エンジンを搭載したモデル
SNJ-3:米海軍向け。AT-6Aと同様の機体
SNJ-3C:空母着艦装備を追加したSNJ-3。同様にSNJ-4C、-5Cもある
SNJ-4:米海軍向け。AT-6Cと同様の機体
SNJ-5:米海軍向け。AT-6Dと同様の機体
SNJ-6:米海軍向け。AT-6Fと同様の機体
SNJ-7:T-6G基準に改修した海軍使用機(主にSNJ-4)の呼称。武装付きSNJ-7Bもある
SNJ-8:米海軍向け。T-6G基準の新造機。契約取り消しのため製造されず
Harvard Mk.I:英空軍向け。BC-1に似るが英国製計器を搭載した機体
Harvard Mk.II:英空軍向け。R-1340-49エンジン、英国製計器を搭載したAT-6相当機
Harvard Mk.IIA:英空軍向け。AT-6Cと同様の機体
Harvard Mk.III:英空軍向け。AT-6Dと同様の機体
Sk16:戦後、米軍の余剰機体をスウェーデンが購入した後の呼称
A-27:米陸軍が調達しタイへ供与した機体。R-1820エンジン(700hp)搭載の軽攻撃機型
【外国でのライセンス(もしくはコピー)生産機】
Sk14:スウェーデン生産機。R-975-E3エンジン搭載。BT-9相当
Sk14A:スウェーデン生産機。ピアッジョP.VIIRC35エンジン(500hp)搭載
Wirraway:オーストラリア生産機。10種類のモデルが存在する。BC-1相当
Harvard Mk.IIB:カナダ生産機。米国製計器搭載。AT-6A相当
Harvard Mk.IV:カナダ生産機。T-6G相当
K10W:日本生産機。二式陸上中間練習機
【海外輸出機の社内モデル名】
NA-20:ホンジュラス向け。R-1340エンジン搭載。NA-18相当
NA-27:ヨーロッパ向け見本機。後にフォッカー社が購入した
NA-31:スウェーデン向け。R-975-E3エンジン(450hp)搭載。ライセンス見本
NA-32:オーストラリア向け。R-1340エンジン搭載。固定脚。ライセンス見本
NA-33:オーストラリア向け。引き込み脚。ライセンス見本
NA-34:アルゼンチン向け。7.62mm機銃×3、爆弾架装備
NA-37:日本向け。R-985-9CGエンジン(450hp)搭載。見本機
NA-38:スウェーデン向け。キットの形で供給されたライセンス見本機
NA-41:中国向け。R-975エンジン搭載。BT-9Cに似る
NA-42:ホンジュラス向け。NA-20に似るが機首・背面機銃を追加装備
NA-45:ベネズエラ向け。BC-1に似る
NA-46:ブラジル向け。機銃・爆弾架装備。機体はBT-9Cに似る
NA-47:日本向け。キットの形で供給された見本機
NA-48:中国向け。BC-1に似る
NA-56:中国向け。R-1340エンジン搭載。BC-1Aに似るが固定脚
NA-57:フランス向け。BT-9Bに似る。大半はドイツ軍・ビシーフランス軍に接収された
NA-61:カナダ向け。Harvard Mk.Iに似る
NA-64:フランス向け。BC-1Aに似る。半数は仏降伏のためカナダへ供給された
NA-71:ベネズエラ向け。AT-6に似る
NA-72:ブラジル向け。軽攻撃機型
NA-74:チリ向け。軽攻撃機型
NA-76:フランス向け。仏降伏のため全機英国へ供給(Harvard Mk.II)
NA-119:ブラジル向け。AT-6Dに似る。大半はキットにて供給