エアスピード AS.6エンボイ輸送機

Airspeed AS.6 Envoy

英国空軍 他

AS.6
背部に銃座を持つ軍用エンボイAS.6JM(II)(南ア空軍所属)

 1933年後半から開発が始まり、1934年半ばに初飛行した双発木製構造布張りの 民間向け旅客輸送機。当時の英国製民間機としては大量とも言える50機が生産され、英 国だけでなく中国、チェコスロバキア、フランス、インド、日本などにも輸出された。
 機体は原型機に準ずる初期シリーズと後縁フラップを装備した第二シリーズ、細かな改 修を加えた最終シリーズの三種類しか無いが、搭載エンジンは複数のメーカーのものが使 用されており、軍のモデル名も搭載エンジンの種類で分類されている。
 純然たる軍用機としては英国空軍及び海軍と南アフリカ空軍に導入された機体があり、 英軍は第二次大戦中には民間機も徴発して輸送任務などに使用している。英国空軍に導入 された最初の機体(機体識別G−AEXX、後にL7270と改番)は国王専用飛行小隊 (Kings Flight)に配属され、初代王室専用機となった。
 なお日本では三菱が当機の製造ライセンスを取得しており、1936年から37年にか けて10機が生産(別に6機が輸入)され、民間(日本航空輸送社および満州航空社)の 旅客貨物機として使用されていたが、その後海軍へ徴発されている。

機体詳細データ(AS.6JM)
全長10.52m全高 2.90m
全幅15.95m翼面積31.49m2
自重1,840kg最大重量2,858kg
最高速度338km/h(高度2,225m)上昇限度6,860m
航続距離1,046km巡航速度290km/h(高度3,050m)
発動機アームストロング・シドリ「チーター」IX 空冷星形7気筒 350馬力×2基
乗員数1〜2名+乗客7〜8名(9座)総生産機数82機
武装基本的に武装なし(銃座搭載型は7.7mm機銃1〜2)
主要タイプ AS.6 Envoy:原型を含む最初のモデル。ウォルズレーAR.9エンジン(200hp)搭載型
AS.6A Envoy:アームストロング・シドリ「リンクス」IVCエンジン(240hp)搭載型
AS.6D Envoy:ライトR-760-E2「ホワールウィンド」エンジン(350hp)搭載型
AS.6E Envoy:ワルター「カストル」IIエンジン(340hp)搭載型
AS.6G Envoy:ウォルズレー「スコーピオ」エンジン(250hp)搭載型
AS.6H Envoy:ウォルズレー「アリエーズ」IIIエンジン(225hp)搭載型
AS.6J Envoy:アームストロング・シドリ「チータ」IXエンジン(350hp)搭載型
AS.6JM/JC:AS.6Jの軍用転換モデル。人員輸送型JMと貨物輸送型JCの二種類がある
ひなづる旅客輸送機:三菱商事が輸入・ライセンス生産した機体の呼称
エンボイ輸送機:日本海軍が上記ひなづる旅客輸送機を徴発した後の呼称。輸送機として使用