アブロ アンスン練習/偵察/哨戒機

Avro Anson

英国空軍 他

Anson Mk.I
英国沿岸防備隊第48飛行隊所属のアンスンMk.I

 英国インペリアル航空社の要求によるチャーター便用高速単葉軽輸送機原型アブロ652をベー スに、英国航空省仕様書G18/35に応えた機体アブロ652Aが当機の原型である。1935 年4月から開始された評価試験では好意的に迎えられ、同年7月にアンスン(英国の歴史的提督 George Anson(1697-1762)の名)と名付けられ制式採用となった。
 溶接鋼管構造の胴体に羽布張りの低翼単葉機で、主脚はエンジン室に引き込まれるようになってい る(ただし完全には引き込まれない半引き込み式だった)。また胴体背部には突出した旋回銃座が あり、沿岸哨戒モデルには機首固定の機銃も搭載可能となっていた。主脚の操作には手動の油圧ポ ンプや巻き上げ機を使用していたため操作には慣れと手間がかかったが、強固で信頼できる機体と して操縦士達には人気があった。
 英国および英連邦諸国では当機を爆撃・航法練習機や沿岸哨戒機、軽輸送機などに使用しており、 カナダではライセンス生産も行われている。戦後も民間の貨物輸送機(旅客機としては耐空証明が 取れなかった)として活躍し、1968年のビアフラ内戦に際しては赤十字の救援機としても使用 されているほか、エジプト空軍やアフガニスタン空軍などもVIP輸送機として当機を使用してい る(アフガンの機体は1972年頃まで現役だった)。

機体詳細データ(アンスンMk.
全長12.88m全高 3.99m
全幅17.20m翼面積38.09m2
自重2,400kg最大重量3,600kg
最高速度300km/h(高度2,100m)上昇限度5,800m
航続距離1,270km巡航速度250km/h
発動機アームストロング・シドリ「チータ」IX 空冷星形7気筒 350馬力×2基
乗員数3〜5名総生産機数11,020機
武装7.7mm機銃×2(機首固定1、後方旋回1)、160kgまでの爆弾(爆雷)
主要タイプ Avro652:民間向け6座高速輸送機の原型。チータVエンジン(280hp)搭載
Avro652Mk.II:民間向けモデル。客室窓などが洗練された
Avro652A:軍用モデル原型。旋回銃座を搭載した。チータVIエンジン(300hp)搭載
Anson Mk.I:最初の量産型。652Aをベースに窓を拡大。チータIXエンジン搭載
Anson Mk.II:フェデラル社製の機体。ジェイコブスL6MBエンジン(330hp)搭載
Anson Mk.III:カナダでL6MBエンジンに換装したMk.Iの呼称
Anson Mk.IV:ライトR-975-E-3エンジンに換装したMk.Iの呼称
Anson Mk.V:合板成形胴体モデル。P&W R-985-AN12Bエンジン(450hp)搭載。銃座無し
Anson Mk.VI:Mk.Vに背面旋回銃座を搭載した爆撃・射撃練習機型
Anson Mk.VII〜IX:カナダ向けモデルの提案。製作されず
Anson Mk.X:重量貨物用に内部を補強したMk.I。なめらかなエンジン覆いが特徴
Anson Mk.XI:Mk.Xの客室天井を高くしたモデル。チータXIXエンジン搭載
Anson Mk.XII:Mk.XIにチータXVエンジン搭載。定回転プロペラ採用
Anson Nineteen:長円形窓、客室防音などの装備改善モデル。軍用はAnson C.Mk19
Anson 19 srs2:金属製主翼・尾翼を持つモデル。アフガニスタン向けのMk18もある
Anson T.Mk20:透明機首を持つ爆撃練習機。C.Mk19がベース
Anson T.Mk21:航法練習機。南ローデシア向け。C.Mk19がベース
Anson T.Mk22:最終生産型。無線練習機。C.Mk19がベース
AT-20:カナダ製機体を戦後米空軍が練習機として調達した際の呼称