アブロ ランカスター爆撃機

Avro Lancaster

英国空軍 他

ランカスター
英空軍のアブロ・ランカスター

 1939年に初飛行をした双発爆撃機 アブロ・マンチェスターはエンジン 性能が悪く、信頼性もすこぶる不良であったため、エンジン製作者であるロールスロイス社の提案によりエン ジンを「マーリン」へ変更し4基に増やしたマンチェスターの改良型を開発することになった。
 このマンチェスターIII(後にランカスター)と名付けられた改良型は41年1月(マンチェスターの量産が開 始される前)に初飛行に成功した。ランカスターが制式採用されると工場にあった未完成のマンチェスターもラ ンカスターに転換されて完成している。
 大きな爆弾搭載量が本機の最大の特徴(機体が二回りほど大きい B−29よりたくさん積めた)で、通 常の爆弾の他にも「トール・ボーイ」深部貫通爆弾(5,443kg(12,000ポンド))や「グランド・スラム」ダム破壊爆弾 (9,979kg(22,000ポンド))なども搭載可能だったため特殊な作戦にも大活躍した。特に有名なのが水面を 水切りのように跳躍する特殊爆弾(重量約4.2トン)を使用したルールダム破壊作戦で、この作戦は戦後に映画 (邦題「暁の出撃」)化 されたほど劇的なものであった。
 第二次大戦末期には太平洋戦線の日本本土爆撃への参加も予定されていたが、これは終戦のため実現していない。 戦争終結後も軍務の第一線で活躍したが、英国空軍では56年、またカナダ空軍でも64年には全機退役した。

機体詳細データ(ランカスターIII)
全長20.98m全高 6.19m
全幅31.09m翼面積120.80m2
自重16,753kg最大重量32,688kg
最高速度462km/h(高度3,505m)上昇限度7,468m
航続距離4,312km巡航速度338km/h(高度6,100m)
発動機ロールスロイス「マーリン」XXIV 液冷V型12気筒 1,640馬力×4基
乗員数 7名総生産機数7,377機
武装7.7mm機銃×8、爆弾最大22,000lb(9,980kg)搭載
主要タイプ AvroType683:原型機。アブロ・マンチェスター爆撃機改造。マーリンXエンジン搭載
Lancaster I:Type683の生産型。マーリンXXまたはマーリンXXII、マーリンXXIVなど搭載
Lancaster I Special:12,000ポンド(5,443kg)以上の爆弾搭載可能に改造された機体
Lancaster I(FE):極東での任務用に改造された機体の呼称
Lancaster PR.I:空中調査任務用に改造された機体(戦後改造型のみ)
Lancaster II:ハーキュリーVIまたはハーキュリーXVIエンジンを搭載した型。小改良あり
Lancaster III:マーリン24エンジン搭載の改良型。マーリン28、38、224エンジンなども搭載
Lancaster III Special:「グランド・スラム」搭載用に改造された機体の呼称
Lancaster ASR.3:海難救助型に改造された機体の呼称。マーリン224エンジン搭載
Lancaster GR.3:ASR.3の海上偵察用改造型の呼称。後にMR.3と改称
Lancaster IV:仕様書B14/43に基づくアブロ・リンカーン原型機の別称
Lancaster V:アブロ・リンカーンII原型機の別称
Lancaster VI:エンジンをマーリン85に変更した機体。すべて既存機(Mk.III)改造
Lancaster VII:オースチン・モーターズ社での製造機。パッカードエンジン搭載
Lancaster VII(FE):極東での任務用に改造された機体の呼称
Lancaster X:カナダ・ビクトリーエアクラフト社での製造機。パッカードエンジン搭載
Lancaster 10.AR:空中偵察任務型。極地用装備搭載。既存機(10.P)改造
Lancaster 10.BR:爆撃・偵察任務型。既存機(X)改造
Lancaster 10.DR:ドローン携行任務型。既存機(X)改造
Lancaster 10.MR:海上偵察任務型。既存機(X)改造。後に10.MPと改称
Lancaster 10.P:写真偵察任務型。既存機(X)改造
Lancaster 10.SR:海難救助任務型。既存機(X)改造