ヴァルティ A−31/ヴェンジャンス急降下爆撃機

Vultee A-31/Vengeance

英国空軍(合衆国陸軍航空隊) 他

Vengeance
オーストラリア空軍のヴェンジャンス

 1930年代末、アメリカの航空機メーカーヴァルティ社が輸出用として自社費用で開発したモデル72 (V−72)は1940年にフランスから発注を受けた。しかし、すぐにフランスはドイツ軍の侵攻を受け 降伏してしまったため、これらの機体はすべて英軍が引き取ることにし、ヴェンジャンスの名で部隊配備が行われた。
 アメリカは戦争中のイギリスを支援するためレンドリース法により、当機を陸軍の発注により追加注文し、 イギリスへ送り続けた。機体のバランスが悪いため、後部座席の銃手が搭乗しておらず、さらに後部座席の 風防が開いている状態で飛行すると深刻な操縦不能に陥ることがあり、また直径の大きなエンジンのため前 方視界が悪いという欠点を持っていたが、英連邦軍は東南アジア戦線でこの機体を活用し、対日戦でそれな りの戦果を挙げている。当機はエンジンの冷却問題にも悩まされたが、英連邦軍は自身の手により解決した。 しかし同機を供与された自由フランス軍や、発注元であるアメリカ陸軍では評判が悪く、当機の生産は「金 と労力の無駄」とまで酷評された。
 アメリカ陸軍では最初から後方任務にしか使用されておらず、英連邦軍でも大戦後期になると第一線から 引き上げられ、訓練任務などに使用されるようになっている。なお、V−72は輸出用ということもあって、 英連邦(イギリス、オーストラリア、インド)以外にもブラジルや中国、トルコ、ソビエトなどへ販売されている。

機体詳細データ(A−31A)
全長12.12m全高 4.67m
全幅14.63m翼面積30.84m2
自重4,672kg最大重量7,439kg
最高速度443km/h上昇限度6,797m
航続距離2,2530km巡航速度378km/h
発動機ライト R-2600-A5B-5「サイクロン」空冷星形複列14気筒 1,600馬力×1基
乗員数 2名総生産機数1,931機
武装7.7mm機銃×6(前方固定4、後方旋回2)、
爆弾最大1,500lb(680kg)搭載(胴体内爆弾倉に500lb×2、主翼下に250lb×2)
主要タイプ Model 72(V-72):当機のモデル名呼称
Vengeance Mk.I:フランス向けにノースロップ社工場で生産した機体の英軍呼称(200機)
Vengeance Mk.IA:Mk.Iと同じ機体だが、レンドリース法により一度米陸軍が購入し、英国へ引き渡した機体(200機)
A-31:Mk.IAを米陸軍が購入した際の機体呼称。全機レンドリースされた
Vengeance Mk.II:Mk.Iと同様の機体だが、ヴァルティ社の工場で生産された機体(501機)
A-31A:Mk.IIAを米陸軍が購入した際の機体呼称
RA-31A:Mk.IIの一部を米陸軍用として就役させた機体の呼称(501機中243機)
Vengeance Mk.III:小規模な改修を施した改修型の英軍呼称(100機)
A-31C:Mk.IIIを米陸軍が購入した際の機体呼称。全機レンドリースされた
Vengeance Mk.IV-I:火器を12.7mm×5(前方4、旋回1)に変更した機体の英軍呼称(99機)
A-35A:Mk.IV-Iを米陸軍が購入した際の機体呼称
Vengeance Mk.IV-II:武装強化(12.7mm機銃×7、爆弾2,000lb)した機体の英軍呼称(831機)
A-35B:Mk.IV-IIを米陸軍が購入した際の機体呼称
A27:英国から再供与された機体のオーストラリア空軍呼称
Vengeance TT.MkIV:標的曳航機として使用された機体(Mk.II改修)の英艦隊航空隊呼称