ダグラス DB−7ボストン/A−20ハボック軽爆撃機

Douglas DB-7 "Boston" / A-20 "Havoc"

合衆国陸軍航空隊 他

A-20
初期生産型A−20の編隊

 1938年に初飛行したこの機体の原型機モデル7Bは製作者も前途有望な機体とは考えていなかった。 しかし1940年にフランス軍がDB(ダグラス爆撃機(Douglas Bomber)の略)−7の名で採用し、モロ ッコ上空において使用し始めると、その卓越した性能や能力にまず英国空軍が、つづいて米国陸軍も興味 を持ち多数の機体が発注されることになった。
 英国仕様の機体はボストン(地名)と命名されヨーロッパ戦線で活躍したが、爆撃機としての任務より は攻撃機や夜間戦闘機としての任務に重点が置かれていた。米国陸軍が運用したA−20はハボック(惨 害の意)と命名されヨーロッパから太平洋まで幅広く活躍した(少数の機体がジャワ島のオランダ軍にも 送られ、後に日本軍が捕獲している)。だが最も多数のA−20を運用したのはソビエト軍で、武器供与 により送られた3,000機以上の機体を使用し、一部は戦後まで生き残り朝鮮戦争でも使用された。
 英国へ供与された機体の一部は機首にサーチライトを搭載した夜戦モデルへ改造されており、タービン ライトの愛称がついた。まだ機上レーダーが未発達の時代だったため、このサーチライトで敵機を照射し、 ハリケーンなどの迎撃戦闘機を誘導 する任務に従事した(機上レーダーや地上からの迎撃管制が発達すると、以降は夜間洋上哨戒で独潜水艦 を捜索するための任務に従事した)。
 なお1945年8月に日本が降伏した際に、最初に日本(の板付基地)へ着陸した連合軍の機体も、こ のA−20(偵察機型のF−3A)であった。

機体詳細データ(DB−7B”ボストンMk.III”)
全長14.48m全高 5.36m
全幅18.69m翼面積43.20m2
自重6,827kg最大重量9,215kg
最高速度544km/h(高度3,800m)上昇限度8,400m
航続距離1,690km巡航速度不明
発動機ライト R-2600-A5B「サイクロン」空冷星形複列14気筒 1,600馬力×2基
乗員数2〜3名総生産機数下記参照
武装7.7mm機銃×7、爆弾最大2,000lb(907kg)
機体詳細データ(A−20G)
全長14.63m全高 5.36m
全幅18.69m翼面積43.20m2
自重7,250kg最大重量12,340kg
最高速度550km/h(高度3,800m)上昇限度7,900m
航続距離1,800km巡航速度370km/h
発動機ライト R-2600-23「サイクロン」空冷星形複列14気筒 1,600馬力×2基
乗員数 3名総生産機数7,385機(7,478機説あり)
武装12.7mm機銃×10、爆弾最大4,000lb(1,814kg)
主要タイプ Model 7A:R-985エンジン(425hp)搭載の原型機案。製作されず
Model 7B:R-1830-S3C3-Gエンジン(1,100hp)搭載の原型機
DB-7:Model 7Bを改設計したフランス向け生産型。R-1830-S3C4-Gエンジン搭載
DB-7A:フランス向け生産型。R-2600-A5Bエンジン(1,600hp)搭載
DB-7B:最初の英国発注モデル。フランス向けDB-7より若干機首部の窓が広い
DB-73:DB-7B準拠のフランス向け生産型。フランス降伏のためDB-7Bとして英国へ納入
DB-7C:オランダ向け生産型。R-2600-A5Bエンジン搭載。A-20C基準の機首を持つ
A-20:米陸軍向けの初期生産型。装備はDB-73に準拠
A-20A:A-20改良型。R-2600-1エンジン(1,600hp)搭載
XA-20B:遠隔操作動力銃座3基を搭載した試作機。A-20A改造
A-20B:後部爆弾倉への爆弾搭載方法を変更したA-20A改良型。機首部も若干変更
A-20C:DB-7Bに似るが、排気集合管に変えて個別排気管へ改めた機体。供与用
A-20D:R-2600-7エンジン搭載の軽量型提案。計画のみ
A-20E:A-20のうちA-20B基準に改装された機体の呼称
XA-20F:機首に37mm機関砲と胴体下に遠隔操作動力銃座を持つ試作機。A-20A改造
A-20G:R-2600-23エンジン(1,600hp)搭載の米陸軍向け主要生産型
CA-20G:航空輸送軍で使用するため貨物機に改造されたA-20Gの呼称
A-20H:R-2600-29エンジン(1,700hp)搭載。装備はA-20Gに準ずる
TA-20H:A-20Hを改造した練習機型。複操縦装置搭載
A-20J:編隊先導機。枠無し風防の機首を持つA-20G変型機
A-20K:編隊先導機。A-20J同様の風防を持つA-20H変型機
TA-20K:A-20Kを改造した練習機型。複操縦装置搭載
BD-2:米海軍に譲渡されたA-20Bの呼称。汎用機兼標的曳航機として使用
XP-70:夜間戦闘機原型。R-2600-11エンジン、機上レーダー搭載。A-20改造
P-70:XP-70を元にした夜間戦闘機型。20mm機関砲×4搭載
P-70A-1:12.7mm機銃×6〜8搭載の夜間戦闘機型。A-20C改造
P-70A-2:旋回銃座を撤去したA-20G夜間戦闘機改造型
P-70B-1:SCR-720レーダーを装備した夜間戦闘機原型。A-20G改造
P-70B-2:A-20GまたはA-20JをP-70B-1基準に改造した夜間戦闘機型
XF-3:A-20改造の偵察機原型。審査後、米海軍にてBD-1の名で標的曳航機として使用
YF-3:A-20改造の偵察機原型。有人尾部銃座を持つ
F-3A:写真偵察機型。A-20JまたはA-20Kを改造
O-53:重観測機型。A-20Bベースの計画案。製作されず
Boston Mk.I:フランス降伏後、英国に渡ったDB-7初期型(S3C3エンジン搭載)の呼称
Boston Mk.II:フランス降伏後、英国に渡ったDB-7の呼称。後にHavocへ改修
Boston Mk.III:DB-7Bの英国空軍における呼称
Boston Mk.III(Turbinelite):Boston Mk.IIIにサーチライトを搭載した機体
Boston Mk.IIIA:A-20Cの英国空軍における呼称
Boston Mk.IV:A-20Jの英国空軍における呼称
Boston Mk.V:A-20Kの英国空軍における呼称
Havoc Mk.I(Intruder):Boston Mk.IIを改造した機体。前部胴体下に機銃4丁を増設
Havoc Mk.I(NightFighter):Boston Mk.IIを改造した機体。機体前部に機銃12丁増設
Havoc Mk.I(Pandora):Boston Mk.IIを改造した機体。機首部に曳航型空中機雷を装備
Havoc Mk.I(Turbinelite):Boston Mk.IIを改造した機体。機首にサーチライトを搭載
Havoc Mk.II:DB-7A改造の夜間戦闘機。機体前部に機銃12丁増設
Havoc Mk.II(Turbinelite):Havoc Mk.IIにサーチライトを搭載した機体
Havoc Mk.III:Havoc Mk.I(Pandora)の旧呼称
Havoc Mk.IV:Havoc Mk.I(Intruder)の旧呼称