アドミラルティ 改”W”型 駆逐艦

Admiralty Modified"W" Class Destroyers

英国海軍 イギリス海軍 


HMS Wanderer
「ワンダラー」(1940年頃)
スペックデータ(竣工時)
排水量:(常)1,140t ボイラー:Yarrow罐・重油専焼×3基 燃料搭載量:重油370t
全長:(全)95.1m
全幅:9.1m 主機:Brown-Curtis式ギヤードタービン×2基、2軸推進
吃水:3.33m
出力:27,000hp
武装:
45口径12cm(4.7inch)単装砲4基、45口径3inch単装高角砲1基
もしくは40mm単装ポンポン砲2基、53cm魚雷3連装発射管2基
(第二次大戦時の主要武装については下記本文中を参照のこと)
最大速力:34.0kt
航続距離:15ktで3,500浬
乗員定数:134名

同型艦名(14隻:竣工艦のみ掲載)
ヴァンシッタート[Vansittart]ヴァランティーア[Volunteer]ヴェナマス[Venomous]
ヴェラティ[Verity]ヴェテラン[Veteran]ワンダラー[Wanderer]
ホワイトホール[Whitehall]ホイトシェッド[Whitshed]ワイルド・スワン[Wild Swan]
レン(初代)[Wren(1)]ウィザリントン[Witherington]ウルヴァリン[Wolverine]
ウースター[Worcester]ワイヴァーン[Wivern] 

アドミラルティ改”W”型駆逐艦について

 1918年次に大量建造が計画された駆逐艦。基本的にアドミラリティ”W”型の小改修型であるが、搭載砲は”W”型よりも強力な12センチ砲が搭載されており、最大射程が約二千メートルほど延伸し砲戦距離が広がったため、艦橋上部に3メートル測距儀が追加されている。設計上の最大速力は”W”型と同等の34ノットとされているが、兵装の重量が増加しているのに機関出力は変わっていないため、実際には32〜3ノット程度であったと言われている。なお、姉妹艦のうち「ヴェナマス」は当初の計画時には「ヴェノム」[Venom]という艦名であったが、水雷学校が使用する係留練習船(退役した旧式艦艇の流用)へ伝統的に引き継がれる艦名「ヴァーノン」[Vernon]と混同しやすいとの意見があり、変更されている。
 第一次大戦中であったため、当初の計画では52隻(1918年1月発注14隻、同年4月発注38隻)の大量建造が予定されたが、第一次大戦終結により14隻(1月発注および4月発注それぞれ7隻)が大戦終結後に竣工したのみで、他はキャンセルとなった。竣工した14隻は第二次大戦にも参加したが、うち3隻が戦没し、生き残った艦も終戦後に解体処分されている。

■■ 第二次大戦時に改装された各タイプの艦名およびその主兵装 ■■
【短距離護衛艦型】「ヴェテラン」「ホイトシェッド」「ワイルド・スワン」「ウィザリントン」「ワイヴァーン」「ウルヴァリン」
 12センチ単装砲3基(当初より1基減)、45口径3インチ単装高角砲1基、40ミリ単装ポンポン砲2基、魚雷3連装発射管1基(当初より1基減)

【長距離護衛艦型】「ヴァンシッタート」「ヴァランティーア」「ヴェナマス」「ヴェラティ」「ワンダラー」「ホワイトホール」
 12センチ単装砲2基(当初より2基減)、45口径3インチ単装高角砲1基、40ミリ単装ポンポン砲2基、ヘッジホッグ投射機1基

「レン」は1940年に戦没したため、各タイプへの改装・分類はされていない。また「ウースター」は大戦時に改装・再分類が行われていない。


注意!「このページは同型艦が多いため年表を2ページに分けております。
このページの一番下に2ページ目へのリンクを貼ってあります。」
アドミラリティ改”W”型駆逐艦の歴史
ヴァンシッタート[Vansittart] (D64 → I64)
1918年 7月 1日ビアドモア造船にて起工
1919年 4月17日進水
      11月 5日竣工
1920年代〜大西洋艦隊や地中海艦隊などに所属
1930年頃?予備役艦となる
1939年 8月再就役。予備役艦隊に所属
       9月〜第二次大戦勃発。本国周辺や欧州南西部にて船団護衛などに従事
1940年 4月〜本国艦隊へ転属。ノルウェーへの輸送船団護衛やオランダからの連合軍
脱出を支援する
       6月〜本国周辺や欧州南西部にて船団護衛や哨戒任務に従事
       7月 1日アイルランド沖にて独潜「U-102」を攻撃・撃沈
1943年 2月〜長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は同年5月)
       9月〜大西洋にて船団護衛に従事
1945年 5月欧州戦線の戦闘終結後、退役
1946年 2月25日スクラップとして売却。同年解体処分
ヴァランティーア[Volunteer] (D71 → I71)
1918年 4月16日ウィリアム・デニー兄弟社にて起工
1919年 4月17日進水
      11月 7日竣工
1920年代〜大西洋艦隊や地中海艦隊などに所属
1930年頃?予備役艦となる
1939年 8月再就役。予備役艦隊に所属
       9月〜第二次大戦勃発。本国周辺や欧州南西部にて船団護衛などに従事
1940年 4月〜本国艦隊へ転属。ノルウェーへの輸送船団護衛に従事
       6月〜本国周辺や欧州南西部にて船団護衛や哨戒任務に従事
1941年 4月10日デヴォンポート沖にて英駆「ニューアーク」(旧米海駆「リングゴールド」)と
衝突事故を起こし、損傷を負う
      10月〜修理完了後、大西洋や北海にて船団護衛などに従事
1942年 3月27日北大西洋にて独潜「U-587」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
       8月〜長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は同年末)
1943年 2月〜大西洋にて船団護衛に従事
1944年 4月〜南仏上陸作戦のため、上陸船団護衛に転属
       6月ノルマンディ上陸(ネプチューン作戦)を支援
       7月〜英仏海峡にて船団護衛や対潜哨戒に従事
1945年 1月〜ノア管区へ転属。北海にて哨戒任務などに従事
       5月欧州戦線の戦闘終結後、退役
1947年 3月 4日スクラップとして売却。翌年解体処分
ヴェナマス[Venomous] (D75 → I75)
1918年 5月31日ジョン・ブラウン造船にて起工。当初の予定艦名は「ヴェノム」[Venom]
      12月21日進水
1919年 8月24日竣工
1920年代〜大西洋艦隊などに所属
1931年予備役艦となる
1939年 9月〜第二次大戦勃発。再就役し、本国周辺などで船団護衛に従事
1940年 4月〜オランダからの連合軍脱出を支援する
       7月〜北海や大西洋にて哨戒任務や船団護衛に従事
      12月大西洋にて船団護衛中に触雷、損傷を負う(修理完了は翌年2月)
1941年 4月英旧式潜「H31」と衝突、損傷を負う(約2週間の修理)
      11月船団護衛中に英旧式駆「ケッペル」と衝突、損傷を負う
      12月〜修理および長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は翌年3月)
1942年 4月〜北海や大西洋にて船団護衛に従事
1943年 2月〜地中海艦隊へ転属。地中海にて船団護衛に従事
      10月〜本国へ帰還し、オーバーホールを実施
続いて、翌年7月に標的艦への改装工事を実施
1944年 9月〜航空機の爆撃訓練用標的艦として任務に従事
1945年 5月欧州での戦闘終了。再占領の支援を実施後、予備役艦となる
1947年 3月 4日スクラップとして売却。同年解体処分
ヴェラティ[Verity] (D63)
1918年 5月17日ジョン・ブラウン造船にて起工
1919年 3月19日進水
       9月17日竣工
1920年代〜大西洋艦隊や地中海艦隊などに所属
1938年本国艦隊へ転属
1939年 9月〜第二次大戦勃発。本国周辺や欧州南西部にて船団護衛に従事
       9月 9日アイルランド南方沖にて独潜「U-34」の雷撃を受け船体切断した英タンカー
「ケネベック」[Kennebec]を自沈処分のため砲撃する
1940年 4月〜フランス・ベルギーからの連合軍脱出を支援する
       5月27日カレー(フランス)沖にて敵沿岸砲台の砲撃を受ける
損傷は軽微だが、乗員に死傷者が出る
       7月〜北海や大西洋にて哨戒任務や船団護衛に従事
1942年 9月〜北アフリカ上陸(トーチ作戦)参加のためジブラルタルへ転戦
翌年1月頃までジブラルタル〜アルジェリア間の船団護衛に従事
1943年 3月長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は同年10月)
      11月〜大西洋にて船団護衛に従事
1945年 5月欧州での戦闘終了。予備役艦となる
1946年 3月 4日スクラップとして売却。翌年解体処分
ヴェテラン[Veteran] (D72 → I72)
1918年 8月30日ジョン・ブラウン造船にて起工
1919年 8月26日進水
      11月13日竣工
1920年代〜大西洋艦隊や地中海艦隊などに所属
1936年?〜英海軍中国ステーションに配備
39年本国へ帰還しオーバーホールを実施(完了は39年11月)
1939年12月〜大西洋にて船団護衛や哨戒任務に従事
1940年 4月〜ノルウェーの戦いを支援
       7月〜北海や大西洋にて哨戒任務や船団護衛に従事
1941年 9月11日デンマーク海峡南東にて独潜「U-207」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
1942年 1月〜兵装の部分撤去工事を実施(完了は同年2月)
(本艦は長距離護衛艦への改装は行われず、短距離護衛艦と分類された)
       3月〜大西洋にて船団護衛に従事
       7月 3日ボストン(アメリカ)沖にて独潜「U-215」の攻撃に協力
(撃沈スコアの付与は当艦に認められなかった)
       9月26日北大西洋(アイルランド西方)にて独潜「U-404」の雷撃を受け沈没
ワンダラー[Wanderer] (D74 → I74)
1918年 8月 7日フェアフィールド造船にて起工
1919年 5月 1日進水
       9月18日竣工
1920年代〜大西洋艦隊や地中海艦隊などに所属
1930年代〜チャタムにて訓練任務に従事
1939年 9月〜第二次大戦勃発。大西洋などで船団護衛に従事
1940年 4月〜ノルウェーの戦いを支援
       6月〜フランスからの連合軍脱出を支援する
       7月〜本国周辺や欧州南西部にて哨戒任務や船団護衛に従事
1941年 8月 3日北大西洋にて独潜「U-401」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
1943年 1月〜長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は同年5月)
       6月〜シチリア上陸(ハスキー作戦)を支援
       8月25日ビゴ(スペイン)沖にて独潜「U-523」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
      12月〜大西洋にて船団護衛に従事
1944年 1月17日アイルランド南西沖にて独潜「U-377」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
(前日の独潜「U-305」沈没も当艦の戦果としている資料も見受けられる)
       6月ノルマンディ上陸(ネプチューン作戦)を支援
       7月〜本国周辺にて船団護衛や対潜哨戒に従事
       7月 5日イギリス海峡にて独潜「U-390」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
1945年 5月欧州での戦闘終了。再占領の支援を実施後、予備役艦となる
1946年 1月31日スクラップとして売却。同年解体処分
ホワイトホール[Whitehall] (D94 → I94)
1918年 6月スワン・ハンター&ウィガム・リチャードソン社にて起工
1919年 8月11日進水。チャタム工廠へ曳航され一時期放置となる
その後、艤装工事が行われる
1924年 7月 9日竣工するも予備役艦とされる
1939年 8月再就役。予備役艦隊に配属
       9月〜第二次大戦勃発。北海や欧州南西部にて船団護衛に従事
1940年 5月〜ダンケルク撤退(ダイナモ作戦)を支援
       6月 1日ダンケルク沖にて独軍機の攻撃を受け損傷を負う
       9月〜修理完了後、北海や大西洋にて船団護衛に従事
1941年 6月〜ソーニクロフト社の試作対潜迫撃砲の実験艦に使用される(同年7月まで)
       8月〜大西洋や地中海にて船団護衛に従事
1942年 5月〜長距離護衛艦への改装工事を実施(完了は同年8月)
       9月〜大西洋にて船団護衛に従事
1943年10月31日アゾレス諸島北東沖にて独潜「U-306」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
      11月〜北海・バレンツ海にて船団護衛に従事
1944年 1月30日ビエルン島(ノルウェー)南東沖にて独潜「U-314」を撃沈(他艦と共同)
       5月〜北大西洋にて船団護衛に従事
       9月 2日ノルウェー海にて独潜「U-394」を攻撃・撃沈(他艦と共同)
1945年 4月機関不調のため予備役艦となる
       8月第二次大戦終結。スクラップとして売却。同年解体処分

年表の2ページ目を見る

検索画面に戻るときはブラウザの「戻る」等の機能を使用してください。 LAST UPDATE 2016,04,09