潜水母艦 大鯨について
1933年度の補充計画で建造が決定された潜水母艦であるが、戦時には航空母艦へ改装が可能なよう設計されており、非常に特徴的なシルエットをした艦である。ディーゼル機関を搭載しているため大きな煙突は必要ないのだが、船体中央に目立つ煙突が搭載されている。この煙突はダミーで、空母改装のためのブロック(格納庫などに使用できるスペース)を艦内に持っていることを隠蔽する目的があった。
また電気溶接を多用し起工から7ヶ月という短期間で進水しているが、この電気溶接は失敗であり進水後に再度ドックへ引き揚げられ補修されている。当時軍艦の進水式は天皇に日程を報告され、軍の御歴々が出席するため進水式の日程を遅らせることは出来なかったので、スクリューシャフトを通さずに進水させていたのである。
機関として採用されたディーゼルエンジンも不調であり、就役後もたびたび修理を受けている。また第四艦隊事件を受けての調査では船体強度不足も指摘されたため性能改善と機関換装工事が行われたが、途中で日中間の武力衝突が起こり工事が中断するなど遅々として進まず、ようやく本来の潜水母艦(戦隊旗艦)として艦隊へ編入されたのは昭和13年(1938年)のことであった。
しかし潜水母艦としての現役期間は短く艦隊編入から3年ほどで太平洋戦争が開戦、その直後には航空母艦への改装工事が行われて1942年に航空母艦
「龍鳳」として完成した。