樺(初代)型 駆逐艦

"Kaba(1)" Class Destroyers


梅
全力公試中の駆逐艦「梅」(1915年)
スペックデータ
排水量:(常)665t ボイラー:ロ号艦本式罐・重油専焼×2基
   ロ号艦本式罐・石炭重油混焼×2基
燃料搭載量:石炭 100t
        重油 137t
全長:79.25m
全幅:7.32m 主機:直立型往復動蒸気機関(4気筒3段膨張式)×3基、3軸推進
吃水:2.36m
出力:9,500hp
武装:
40口径12cm単装砲1基、40口径7.6cm単装砲4基、
45cm魚雷連装発射管2基4門
最大速力:30.0kt
航続距離:15ktで1600浬
乗員定数:94名

同型艦名(10隻)
樺(初代)"Kaba(1)"榊(初代)"Sakaki(1)"楓(初代)"Kaede(1)"
桂(初代)"Katura(1)"梅(初代)"Ume(1)"楠(初代)"Kusunoki(1)"
柏"Kasiwa"松(初代)"Matu(1)"杉(初代)"Sugi(1)"
桐(初代)"Kiri(1)" 

樺(初代)型駆逐艦について
 大型駆逐艦「海風」型を建造した日本海軍であったが、予算の都合で建造する駆逐艦をすべて大型(一等)とするのは不可能であった。そこで性能は劣るものの低予算で建造できる中型(二等)駆逐艦を主力として建造することにした。まずは「櫻」型二隻を建造した日本海軍であったが、第一次世界大戦が勃発し外洋で活動できる駆逐艦が多数必要となったため、「櫻」型に準 じた設計の戦時急造艦として建造されたのがこの「樺」型である。
 建造が計画されてからたった4ヶ月で十隻もの艦を竣工させたことは日本の造船技術が当時世界最高水準に並んだことの証でもあった。「樺」型の大半は第一次世界大戦で地中海に派遣され、マルタ島を基地に船団護衛任務に従事している。
 第一次大戦中、本国が戦場になったフランスは陸戦兵器の製造で手一杯であったために、この「樺」型と同じ艦を日本に発注し、これも一年間のあいだに十二隻が竣工しフランス海軍に引き渡されている(フランス海軍では「アラブ」[Arabe]型と呼ばれ、1936年まで現役であった)。そのため当クラスは日本以外の海軍にも設計が同じ艦が多数存在する珍しい艦となっている。
 余談であるが、同型艦が多かった日本海軍駆逐艦は大正時代から太平洋戦争開戦直後まで、舷側にカタカナ(大正初期の一時期のみひらがな。艦尾の艦名表記は最後までひらがな)で艦名を表記していた。ただし旧仮名遣いの書き方だったため現代のように左から右へ書くのではなく、右から左へ向かっての表記となる。このためネームシップである「樺」の舷側には『バカ』の艦名表記があり、左から右へ書くのが当たり前な戦後世代の目には非常に違和感を感じるものとなっている。

樺(初代)型駆逐艦の歴史
「樺」(初代)「樺」=シラカバの別称。木材は脂を多く含むので薪として最適である
1914年12月 1日横須賀工廠にて起工
1915年 2月 6日進水
       3月 5日竣工
1918年〜馬公にて警備活動に従事
1923年12月 1日旅順防備隊に編入
1932年 4月 1日除籍
「榊」(初代)「榊」=ツバキ科の常緑樹。古来より神木として枝木を神前に供える
1915年 3月26日佐世保工廠で竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第11駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
       4月26日イタリア沖で敵潜に雷撃され沈没した英汽船「トランスシルバニア」の乗員乗客を救助
       6月11日護衛任務からの帰投中、クレタ島沖にてオーストリア・ハンガリー帝国の潜水艦
「U−27」の雷撃を受け大破。艦長以下59名が戦死
1918年マルタにて損傷を修復し戦列へ復帰
1932年 4月 1日除籍
「楓」(初代)「楓」=カエデ科の落葉樹の総称。紅葉するため、もみじの別称もある
1914年10月25日舞鶴工廠にて起工
1915年 2月20日進水
1915年 3月25日竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第10駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「桂」(初代)「桂」=カツラ科の落葉樹。木材は腐食しにくく建材や船材として使用される
1915年 3月31日呉工廠にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第10駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「梅」(初代)「梅」=中国原産の樹木で、古来から菊・蘭・竹とともに
四君子と呼ばれ、その美しさが讃えられている
1915年 3月31日川崎造船所にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第10駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「楠」(初代)「楠」=クスノキ科の常緑樹。木材は建材として使用でき、また樟脳が取れる
1915年 3月31日川崎造船所にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第10駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「柏」「柏」=ブナ科の落葉高木。葉が大きく昔は食物を包むのに使われた
柏餅を包む葉もこの柏の葉である
1915年 4月 4日三菱長崎造船所にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第11駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「松」(初代)「松」=マツ科の常緑樹。古来からめでたい木として尊ばれている
1915年 4月 6日三菱長崎造船所にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第11駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
       4月26日イタリア沖で敵潜に雷撃され沈没した英汽船「トランスシルバニア」の乗員乗客を救助
       6月11日大破した駆逐艦「榊」の曳航・護衛にあたる
1932年 4月 1日除籍
「杉」(初代)「杉」=スギ科の常緑針葉樹。木材は健在などに用いられる
1915年 4月 7日大阪鉄工所にて竣工
1917年 3月11日〜第二特務艦隊(第11駆逐隊)に所属し、地中海に派遣
1932年 4月 1日除籍
「桐」(初代)「桐」=落葉高木で、木材は家具材などに用いられる
1915年 4月22日浦賀船渠にて竣工
1923年12月〜旅順にて警備任務に従事
1932年 4月 1日除籍


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