M4シャーマン中戦車

Medium Tank M4 "Sherman"

米国陸軍 1942年

M4
シリーズ中最多生産数を誇り米陸軍の主力であったM4A3中戦車

下記写真はデアゴスティーニ社発行「隔週刊 コンバット・タンク・コレクション」付属の模型です(クリックで拡大(要Javascript))
M4
第7号(2012.09.11)
「M4A3シャーマン」1945年
(105ミリ砲搭載型)
M4A3
第86号(2015.09.29)
「M4A3シャーマン」1945年
(76ミリ砲搭載型)


 本格的中戦車登場までの繋ぎとして開発された M3中戦車は1941年4月から量産体制に入った。そこで開発作業の終わったロックアイランド陸軍兵器工廠は米陸軍機甲委員会に対して本格的中戦車の開発案を幾つか示し、新たな開発作業に乗り出すこととした。
 示された案のうちもっとも単純な『車体下部はM3中戦車と共通のものとし、車体上部に新規開発した75ミリ砲装備の全周旋回砲塔を搭載する』という開発案が選定され、T6という試作車両の名称が付与された。最優先事項として直ちに開発が開始され5月にはモックアップ(実物大模型)が完成、多少の修正事項はあったものの9月には試作1号車が完成するというスピード開発であった。
 同年10月にM4中戦車として制式採用された車両の量産は翌年2月から開始されたが、10社11工場に分散しての製造であり、搭載エンジンや実戦部隊からの要求による武装変更などもあったため大きく5タイプの車両が並行して生産されている(もちろん武装の組み合わせなどによるバリエーションはもっと豊富となる)。
 1942年10月に北アフリカ戦線の英軍へ送られた車両が初陣を飾り、米軍も11月のチュニジア戦から主力として使用を開始している。ドイツ軍の重戦車に対抗するには攻撃力や防御力が不足していたものの、広い車内スペースや精密射撃を可能としたメカニズム、動力系や駆動系の高信頼性はずば抜けており、アメリカ以外にも英国やソ連にも多数が供与され、第二次大戦中最も多く製造された当車両は連合軍の主力戦車と言っても差し支えないであろう。

スペックデータ(M4A3)
全長 5.91m全高 2.74m
全幅 2.62m重量28.3トン
最高速度42km/h行動距離160km
発動機フォードGAA水冷V8ガソリンエンジン 450馬力×1基
乗員数5名総生産数49,234両
武装M3-75mm戦車砲×1、M1919A4-7.62mm機銃×2、M2-12.7mm機銃×1
最大装甲厚(上面)12mm〜(前面:M34防楯含む)108mm
派生改良型 T6:試作車の呼称
M4:溶接構造車体にコンチネンタル星形エンジンを搭載したモデル
M4 Hybrid:車体の一部に鋳造構造を用いたモデル。主に英国へ供与
M4A1:車体を鋳造構造としたモデル。武装や機構はM4と同様である
M4A2:溶接車体に鋳造砲塔を搭載。GM製ディーゼルエンジン×2を搭載
M4A3:溶接車体に鋳造砲塔を搭載。フォードV8エンジンを搭載
M4A4:溶接車体に鋳造砲塔を搭載。クライスラー製エンジン×5を搭載
M4A6:溶接・鋳造のハイブリッド構造。兵器廠の星形ディーゼルを搭載。生産数は少ない
M4A1(76mm):主砲をM1A1-76mm戦車砲に変更したM4A1。砲塔はT23試作中戦車と同型
M4A2(76mm):主砲をM1A2またはM1A1C-76mm戦車砲に変更したM4A2。砲塔は後期型のもの
M4A3(76mm):主砲および砲塔はM4A1(76mm)と同様だが、車体はM4A3ベースのモデル
M4(105mm):主砲を105mm榴弾砲へ変更したモデル。試作車はM4A4E1と呼称された
M4A3(105mm):主砲を105mm榴弾砲へ変更したモデル。試作車はM4A4E1の改良型であるM4E5
M4A3E2:突撃戦車”ジャンボ”。177.8mm厚の防楯を装備、重量増加のため履帯幅拡大
M4A3E8:”イージーエイト”と呼ばれる最終モデル。朝鮮戦争などにも使用された
Sherman I:M4の英軍呼称。混合構造車はI Hybrid、105mm砲搭載車はIBと呼称
Sherman II:M4A1の英軍呼称。76mm砲搭載車はIIAと呼称
Sherman III:M4A2の英軍呼称。76mm砲搭載車はIIIA、新型サスの後期型はIIIAYと呼称
Sherman IV:M4A3の英軍呼称。76mm砲搭載車はIVA、105mm砲搭載車はIVBと呼称
※代表的な追加装備を幾つか列挙してみると
T34 Calliope:46inch長ロケット弾60発を装填した発射機を砲塔上部に搭載したもの
T40(M17):72inch長ロケット弾を装填した箱形ランチャーを砲塔上部に搭載したもの
T76:主砲の替わりに75inch長ロケット弾発射装置を搭載したもの
T99:45inch長ロケット弾22発を装填した箱形ランチャーを砲塔側面に搭載したもの
T31 Demolition Tank:榴弾砲とT94ロケットランチャーを装備した試作車両。陣地破壊用
T1E3(M1)Aunt Jemima:大型ローラー2基を車体前部に装着した地雷原処理車
T3:英国のScorpion地雷処理装置をベースにした地雷原処理車
M4 Doozit:T40ロケットランチャーとドーザーブレード(排土板)を装備した障害物除去車
POA-CWS 75-HI:主砲に火炎放射装置を組み込んだ火炎放射戦車
T33:75mm砲の脇にE20火炎放射装置を並列配置した火炎放射戦車
Sherman Prong:別名Cullin hedgerow。車体前面に灌木切除装置を装備したモデル