S&W ビクトリー・モデル

Smith and Wesson Victory Model (S&W Military&Police)

英国陸軍 1939年

Victory Model
S&Wビクトリー・モデル

 英国陸軍は制式拳銃としてエンフィールド拳銃を 使用していたが、第二次大戦開戦による兵力増強に生産数が追いつかない状態だった。そこで英国陸軍 は米国から拳銃を購入して兵士へ供給することにしたのである。
 購入されたのは米スミス&ウェッソン社の代表的軍用リボルバーである『ミリタリー&ポリス』モデ ルそのままの製品であるが、ドイツ軍に追いつめられていた英国へは勝利を祈願してビクトリー・モデ ルの名で納入が行われた。なお英軍内では.38インチピストルMk.1の名称で呼ばれた。
 緊急輸入のため英軍の標準弾種への改造は施されておらず、米国の警察用としてスタンダードな.3 8インチ口径の弾薬をそのまま使用しているため、エンフィールド拳銃の.455口径弾薬と互換性は 無かったが、後にエンフィールド拳銃の方が.38口径弾薬に合わせる改良を施したため補給上の問題 は解決した。
 この銃を配備された兵士達は英国製拳銃よりも洗練されたデザインや扱いやすい機構に満足していた が、当銃はハンマー(撃鉄)を動作させるスプリングが弱く、戦時中に製造された粗製弾薬の中には発 火不良(不発)を起こすものもあったと言う(逆にスプリングの弱さからトリガープル(引き金を引く 力)は軽かったので一長一短があると言って良いだろう)。また質実剛健をそのまま姿にしたエンフィ ールド拳銃に比べ耐久性が低く、酷使すると部品間にガタつきが出やすかったと言われている。
 戦時中の拳銃不足を解消するための一時的な採用モデルであったため、戦後すぐに部隊配備品からは 姿を消していったが、現在でも海外のガンマニアには人気があり実戦を経験した保存状態の悪い実銃で も数百ドルの値で取り引きされている。

スペックデータ(S&Wビクトリー・モデル)
全長 25.8cm銃身長 12.7cm
装弾数 6発重量 680g
使用弾 .38インチ口径 Mk.1/Mk.2拳銃弾(.38 British) または
 .38インチ口径 S&W拳銃弾(.38 Special) 弾頭重量約10g
作動方式 振り出し(スイングアウト)輪胴(リボルバー)式 シングル/ダブルアクション
初速 182m/sec最大射程不明
派生型等 S&W Victory Model:米国から輸入した拳銃。英軍制式名は.38in Pistol Mk.1