ビッカース重機関銃(中機関銃)

Vickers .303 Machine Gun
(Vickers Medium Machine Gun)


英国陸軍 1912年

Vickers MG
ビッカース重機関銃(銃身下に見えるのが冷却水補給タンクに繋がるホースである)

 長きに渡って英陸軍歩兵大隊の支援火器として君臨してきた機関銃。第一次・二次の両大戦を通じて 使用され、1960年代に退役(制式を外されたのは1961年であるが、最期の銃が部隊から無くな ったのは1968年のことであった)するまでの半世紀を第一線で活躍した。
 原型は実用機関銃の始祖とも言えるマキシム機関銃で、砲架に載せて運用しなければならなかったほ ど重いマキシムを軽量化したものとして開発された。第一次大戦前の1912年に制式採用となった当 機銃は他国では重機関銃というカテゴリーだが、英国では中機関銃(ミディアム・マシンガン)と呼ば れている。
 布製ベルトに挟み込んだ銃弾を送り込む給弾方式を採用しマキシムと同じガス圧動作式である。また、 銃身冷却方式は旧態依然とした水冷式であったため、射撃可能時間こそ長かったものの運用に余計な手 間がかかり、所用人員も多く必要となるなどの欠点もあった。両大戦では12時間近い長時間に渡って 敵陣に銃弾を送り込むなどの活躍(WW2では10丁の機関銃によりのべ100万発もの銃弾を敵拠点 に向けて発射している)を示したこともあったが、旧式な構造ゆえ機関動作と同時に動くコッ キングレバー(初弾を機関部へ送るときに引くレバー)や強い振動により射撃を行う兵の疲労は激し く、寒い地域では冷却水から立ち上る水蒸気により銃座の位置が敵にばれてしまうなどの欠陥もあった。
 英国のほか、オランダ軍やソビエト軍も輸入(または供与)された当機関銃を使用しており、第一次 大戦では米軍もこの機関銃を使用している。

スペックデータ(ビッカース.303Mk.I)
全長 115.6cm銃身長 72.1cm
装弾数 250発(ベルト給弾)重量 18,100g(冷却水込み)
使用弾 .303ブリティッシュ(7.7mm×56R) 弾頭重量約11.3グラム
作動方式 ガス圧動作ピストンオペレーテッド(発射速度は450-500発/分)
初速 744m/sec最大射程 3,300m
派生型等 Vickers.303 Mk.I:英軍の主力重機。若干の相違により細かいモデル分けがある
Vickers Mk.7z:ニトロセルロースを発射薬とした弾薬を使用できるよう改造されたモデル
7.7mm sMG 230(e):ドイツ軍が捕獲した当銃の鹵獲兵器名称
M1915:WW1で米軍が使用した当機関銃の米陸軍名称。Mk.Iを7.62mm口径に改造している