ステン短機関銃

STEN Sub Machine Gun (STEN Gun)

英国陸軍 1941年

STEN Mk.2
ステンMk.2短機関銃

 第一次大戦中に実用化された短機関銃(拳銃弾を使用する半/全自動式の銃。小銃よりも寸法は小さい) だったが、大戦後は軍用よりも民間(警察やギャング団)向けとして発展していった。英軍では短機関銃 の利点が掴めず、短機関銃はギャングの武器であると採用を見送っていたのだが第二次大戦が勃発して、 ダンケルク撤退の余波から歩兵用武器が不足するとなりふり構っていられなくなり、急遽短機関銃を調達 することにしたのである。
 最初は米国から完成品の短機関銃を輸入する予定だったのだが、1939年にフランスが大量発注を行 っており、米軍への供給もあったため製造能力に余裕がないとして輸入を断念、自国で新規に開発を行う こととした。王立造兵廠のR・シェパード技師とH・ツルピン技師は当時すぐに入手できる材料を使い、 町工場でも簡単に大量生産できる短機関銃を設計、完成した銃は両技師の頭文字と王立造兵廠の所在地で あるエンフィールドから文字を取ってSTEN(ステン)と名付けられた。
 極力生産工程を簡略化するため、水道パイプに弾倉や機関部を取って付けたようなスタイルをした当銃 は質実剛健をモットーとする英軍将官達を驚かせたが、初期に製造された製品は仕上げや材質が悪く動作 不良を多発したため兵器としての評価は低かった。特に弾倉の構造問題による装弾不良は最終型まで解決 せず、この銃を使用した兵士達は『ステンチ・ガン(臭い銃)』や『鉛管工のお気に入り』などといった あだ名を付け嫌っていた。
 しかし大量生産に向いた構造は重宝し、英軍兵士だけでなくドイツ占領下でレジスタンス活動を行う現 地住民にも大量にばらまかれた当銃は、第二次大戦で最も活躍した銃の一つと言って良いだろう。
 余談だが当銃が開発された当時、英国では9ミリ・パラベラム弾を使用する銃器は1つも製造されてい なかった。しかし当銃が9ミリ・パラベラム弾を使用するよう設計されたのは、ちょうどその頃北アフリ カ戦線で敗走したイタリア軍陣地から多量の弾薬を捕獲した結果、この弾薬を使用することができたから であった。ドイツ軍もパラベラム弾を制式弾薬として使用していたためレジスタンス達も弾薬の確保に苦 労することは無かったので、この点も当銃が幅広く使われた要因であると言えよう。

スペックデータ(ステンMk.2)
全長 76.2cm銃身長 19.7cm
装弾数 32発(箱形弾倉)重量 3,000g
使用弾 9ミリ口径 パラベラム弾(9mm×19) 弾頭重量約7g
作動方式 ストレートブローバック式(オープンボルト式)
初速 365m/sec最大射程不明
派生型等 STEN Mk.1:初期生産型。工作や材質に問題が多かったため動作不良が多発した
STEN Mk.2:Mk.1の欠点を改良したモデル。最多生産型だが装弾不良は改善しなかった
STEN Mk.2(S):Mk.2に消音器(サイレンサー)を装着した特殊部隊向けモデル
STEN Mk.3:Mk.1の機構を更に簡易化したモデル。レジスタンスなどに供給された
STEN Mk.4:空挺部隊向けに改良されたモデル。銃床を回転させることで全長を短くできた
STEN Mk.5:最終モデル。木製グリップや銃床を採用。着剣も可能だった
STEN Mk.6:Mk.5に消音器(サイレンサー)を装着したモデル。配備数は少ない
Maschinenpistole 749(e):ドイツ軍が捕獲した当銃の鹵獲兵器名称
MP 3008:大戦末期にドイツでコピーされた銃。国民兵向け