八九式中戦車

Type89 Medium Tank

日本陸軍 1929年

八九式中戦車乙型
八九式中戦車乙型

 日本陸軍初の国産制式戦車。昭和4年(1929年)に大坂工廠にて試作車が完成したため皇紀2589年を 取って八九式と名付けられた。最初は約9トンの重量しか無かったため、日本陸軍の分類法に従い八九式軽戦車 となっていたが、実用部隊の試験結果などによる数次の改良を加えた車体は約12トンまで重量が増加しており、 名称も八九式中戦車と変更されている。
 スタイル的には第一次大戦で活躍したフランスの ルノーFT戦車などに近いものがあるが、当時とし ては世界レベルの車両であった。しかし改修による重量増加のため機動性は今ひとつだった。
 ダイムラー製のガソリンエンジンを搭載していたが貴重なガソリン燃料を節約するため昭和10年にディーゼ ルエンジン搭載型が製作され、これ以降日本の戦車はディーゼル搭載型が主流となっていった。八九式中戦車で はガソリンエンジン搭載型を甲型、ディーゼルエンジン搭載型を乙型と呼び区別している(甲型と乙型の見分け 方としては操縦席の位置がある。甲型は車体左側に、乙型は右側に操縦席ハッチがある。また車体前面装甲が甲 型後期生産型から改良され垂直面が無くなっている他、砲塔上部のキューポラ形状も変更されている)。
 昭和6年の満州事変にて初陣を踏んだ当戦車は日中戦争や太平洋戦争初期の南方戦線でも使用されたが、九七 式中戦車が配備されるようになると、次第に実戦部隊から退いて行った。

スペックデータ(八九式中戦車乙型)
全長5.75m全高2.56m
全幅2.18m重量12.7トン
最高速度25km/h行動距離170km
発動機三菱水冷直列6気筒ディーゼルエンジン 120馬力×1基
乗員数4名総生産数不明
武装九〇式57mm戦車砲×1、九一式6.5mm車載軽機×2
最大装甲厚(上面)10mm〜(前面)17mm
派生改良型 甲型(初期型):ガソリンエンジン搭載車。砲塔直下の装甲板は垂直面で構成
甲型(後期型):前面装甲の垂直部分を斜めに変更、乙型と同様の砲塔を搭載した型
乙型:ディーゼルエンジン搭載車。操縦席位置変更。尾部に超壕橇を装備した車両もある