ロッキード QT−2/YO−3

QT-2 / YO-3 , Lockheed

QT-2
YO-3A
(上)QT−2の2号機 / (下)YO−3Aの2号機

 1960年代半ば、米陸軍はベトナムにおけるゲリラ戦に手を焼くようになってきており、密林の 中を行動する北ベトナム軍小部隊を追跡する感知装置(夜間暗視装置)の開発に成功した。ところが、 この装置は静粛性に優れた航空機が低空で使用してこそ効果を発揮するもの(飛行機の音が敵に聞こ えれば、敵は深い密林の下に隠れ息を潜めてしまう)であったため、そのような用途に向く機体を保 有していなかった米陸軍は、ロッキード・ミサイル&スペース社に対して『高度1,200フィート (約400メートル)を飛行した際に、地上から音を察知されない』機体の開発を指示、同社は米海 軍がテストパイロット養成用・飛行特性試験用として利用していたSGS2−32グライダー(軍呼 称X−26A)に消音エンジンを装備する機体を試作した。
 QT−2と名付けられた試作機は、X−26Aグライダーの背部に特殊な防音装置を追加したコン チネンタル社製エンジンを搭載し、延長軸で4翅の亜音速プロペラ(プロペラ羽根の先端速度が回転 時に音速を超えないもの)を駆動させる機体だった。1968年からこの試作機2機を使って、実際 に南ベトナムで陸海軍共同による実地運用試験(オペレーション「プライズ・クルー」)が行われた。 この運用試験は成功裏のうちに終了し、この機体(および感知装置)の有効性は確信されることにな った。その後ロッキード社ではQT−2の機体設計を徹底的に改修した3号機を完成させ、Qスター [Q-Star]の名称で各種プロペラの性能試験に使用している。
 試作機QT−2は元がグライダーであったため、簡便な降着装置しか無いことや取って付けたよう な動力部から実戦向きではないとされ、YO−3Aと名付けられた実用試作機が製作されることになっ た。この機体はオーソドックスな低翼単葉の複座単発機のスタイルをしていたが、ベルト駆動式の特殊 なプロペラや消音排気装置を持ち、赤外線照射式の夜間暗視装置を(一部の機体にはレーザー式目標 照射器も)搭載しており、1970年から2年間ほどベトナムにて作戦活動に従事した。

機体詳細データ(YO−3A)
寸法(L×W×H/翼面積)8.94×17.37×不明m / 17.0m2
機体重量(全備)1,465kg / 1,724kg
飛行速度(巡航/最大)129km/h / 221km/h
上昇率(海面上)不明
上昇限度(実用)3,048m
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離643km
エンジンコンチネンタル社製 IO-360レシプロエンジン×1基(210hp×1)
武装武装なし
乗員数/機体初飛行2名 / 1966年(QT−2)、1969年(YO−3A)
備考(各タイプ詳細) QT-1:単座原型機(製作されず?)。資料によってはQT-2の1号機をQT-1とするものもある
QT-2:複座型原型機。南ベトナムにて運用試験を実施。作戦名からQT-2PCとも呼ばれる(2機)
Q-Star:QT-2を改設計した原型3号機。プロペラ試験機として使用(1機)
YO-3A:機体設計を大幅に改めた実用試験機(14機(11機説あり))
LAST UPDATE 2010,10,23