ロッキード P2V(P−2)ネプチューン

P2V(P-2) Neptune , Lockheed

P2V-7
P-2J
(上段)米海軍のP2V−7/(下段)海上自衛隊のP−2J

 第二次大戦中の1943年、米海軍は陸上機型の哨戒機の開発要求を行った。この要求を受けて ベガ航空機(1937年設立のロッキード社子会社)では、41年頃から研究を行っていた機体案 を提出、翌44年に2機の試作機XP2V−1と14機の生産前機P2V−1が発注された。
 原型1号機は45年5月17日に初飛行した。ライト社製R-3350エンジンを搭載する大型の双発 機で、7名の乗員と2発の魚雷(または爆雷12発)、防御用機銃を装備した。その後完成した生 産型では主翼下にロケット弾を搭載できる武装搭載点が追加されている。生産型の就役は第二次大 戦終戦には間に合わなかったが、1950年代以降のアジア地域での争乱(朝鮮戦争やベトナム戦 争)では当機の能力を存分に発揮し、米海軍だけでなく西側諸国の対潜哨戒機として多数が配備さ れることになった。
 日本では1956年から16機の米国製P2V−7が順次アメリカから海上自衛隊に供与され、 その後川崎航空機(後に川崎重工業へ吸収合併、現川崎重工業航空宇宙カンパニー)がノックダウ ン生産からライセンス生産に移行して国産化を行い、48機を生産している。
 1966年にP2V−7のエンジンをターボプロップ化、レーダーの小型化などを行った改良型 が川崎航空機で開発された。この機体は胴体が延長され搭載武装も強化されており、当時の最新型 対潜哨戒機であるP−3Bに匹 敵する能力を持っていた。海上自衛隊ではP−X(後にP−3Cを選定)導入までの繋ぎとした少 数生産と考えていたが、P−3C導入の遅れから82機が生産され、最終機は1994年まで現役 として使用された。
 P2Vは1980年代には各国軍から退役しているが、払い下げられた機体の一部は山林消火用 として現在も少数機が使用されている。

機体詳細データ(P2V−7:【 】内はP−2Jの数値)
寸法(L×W×H/翼面積)27.94×31.65×8.94m / 92.90m2
【29.30×30.90×8.93m / 92.90m2
機体重量(自重/全備)22,700kg / 36,200kg 【19,400kg / 36,288kg】
飛行速度(最大/巡航)586km/h / 333km/h 【594km/h / 360km/h】 
上昇率(海面上)不明
上昇限度(実用)6,827m【9,144m】
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離4,070km 【5,000km】
エンジンライト社製 R−3350−32Wレシプロエンジン×2基(出力3,500hp×2)および
ウエスチングハウス社製J34−WE−36ターボジェットエンジン×2基(補助用:推力1,540kg×2)
【ジェネラルエレクトリック社製T64−IHI−10ターボプロップエンジン×2基(出力3,060hp×2)および
石川島播磨重工業社製J3−IHI−7Dターボジェットエンジン×2基(補助用:推力1,550kg×2)】
武装背面銃座に12.7mm機銃×2、胴体爆弾倉に航空対潜魚雷×2または対潜爆雷×12
(爆弾倉への最大搭載能力は3,600kg)、主翼下に無誘導ロケット弾×8
【爆弾倉にMk.44ホーミング魚雷×4または対潜爆雷×16、主翼下に127mm無誘導ロケット弾×8】
乗員数/機体初飛行7〜9名/1945年5月17日(XP2V−1)
【12名/1966年7月21日(P2V−7改)】
備考(各タイプ詳細) XP2V-1:原型機。ライトR3350-8エンジン(2,300hp)搭載(2機)
P2V-1:生産前機(最初の量産型)。XP2V-1に翼下武装搭載点を追加(14機)
XP2V-2:改良型原型機。ライトR3350-24Wエンジン(2,800hp)搭載(1機)
P2V-2:改良量産型。XP2V-2に準ずるがソノブイの搭載能力を付与された(80機)
P2V-2N:極地探検用に特殊な降着装置を搭載したP2V-2。愛称は”ポーラーベアー”(2機改造)
P2V-2S:捜索レーダーを搭載した空中早期警戒機原型(1機改造)
P2V-3:P2V-2に似るが、ライトR3350-26Wエンジン(3,200hp)搭載の量産型(53機)
P2V-3B:近接支援評価用に対地爆撃レーダーを装備した改造型(5機改造)
P2V-3C:航空母艦搭載用に改造された機体。核兵器搭載能力あり(12機改造)
P2V-3W:APS-20捜索レーダーを搭載した空中早期警戒機型(30機)
P2V-3Z:VIP輸送用に改修されたP2V-3の呼称(2機改造)
P2V-4:空中早期警戒機改良型。エンジン改良、翼端燃料タンク追加。後にP-2Dと改称(52機)
P2V-5:R3350-30Wエンジン(3,250hp)搭載。翼端タンク、機首捜索員席、MAD装備(424機)
P2V-5F:P2V-5の翼下に補助ターボジェットエンジンを搭載したモデル。後にP-2Eと改称
P2V-5FD:P2V-5Fを改造した無人標的機管制機。武装撤去。後にDP-2Eと改称
P2V-5FE:P2V-5Fを改造した電子偵察機。後にEP-2Fと改称
P2V-5FS:P2V-5Fに音響捜索装置を搭載したモデル。後にSP-2Eと改称
P2V-6:R3350-32Wエンジン(3,500hp)搭載。爆弾倉拡大、翼端タンク装備。後にP-2Fと改称(67機)
P2V-6F:P2V-6の翼下に補助ターボジェットエンジンを搭載したモデル。後にP-2Gと改称
P2V-6T:機上作業練習用に改修したP2V-6。後にTP-2Fと改称
P2V-7:P2V-6Fの改良型となる最終モデル。後にP-2Hと改称(287機)
P2V-7B:機首捜索員席を撤去し20ミリ機関砲×4を装備したオランダ向け機体(15機)
P2V-7LP:特殊な降着装置を搭載した極地探検用機。後にLP-2Jと改称(4機改修)
P2V-7S:P2V-7に音響捜索装置を搭載したモデル。後にSP-2Hと改称
P2V-7U:米空軍向けの電子偵察機型。後にRB-69Aと改称(5機+2機改修)
AP-2H:P2V-7を改造した対地攻撃型。対地レーダー装備(4機改修)
DP-2H:P2V-7を改造した無人標的機管制機
EP-2H:P2V-7を改造した特殊偵察機型(1機改修)
NP-2H:P2V-7を改造した特殊試験機(1機改修)
Neptune MR.1:P2V-5に準ずる英国向け機体の英軍呼称(52機)
C-122:P2V-7に準ずるカナダ向け機体のカナダ軍呼称
P2V-7改:川崎航空機が改修したP2V-7。ターボプロップ化、胴体延長(1機改修)
P-2J:P2V-7改に準ずる海上自衛隊向け量産型
EP-2J:電子偵察機に改修されたP-2Jの呼称
UP-2J:無人標的機管制機に改修されたP-2Jの呼称
LAST UPDATE 2010,10,02