ベル AH−1コブラ

AH-1 COBRA , Bell

AH-1
米陸軍所属のAH−1Fヒューイコブラ

 世界初の本格的攻撃ヘリコプターとして登場した機体。ケネディ政権の国防長官であったマクナマラの 覚え書きにより地上戦闘の変革を開始した米陸軍により開発された。この覚え書きは空中機動による戦闘 速度の向上を骨子としており近接火力支援を重視した物であったが、固定翼機による近接支援は空軍の所 管であったため陸軍はヘリコプターによるAAFSS(新型航空火力支援システム)構想を打ちだしたの である。
 この構想により提示された仕様を受けて全アメリカのヘリコプター製造会社は一斉に名乗りを上げた が、1965年に採用となったのはロッキード社の AH−56シャイアンであった。しかしこのAH−5 6は価格の問題や回転翼ブレードの問題に悩まされていたため結局計画はキャンセルされている。
 当時激化していたベトナム戦争ではUH−1に武装 を施したガンシップが活躍していたが、元が輸送ヘリだったため能力不足は否めず前線からは早急な攻撃 型ヘリの開発要求が高まっていた。そこでベル社はUH−1をベースにした攻撃ヘリとしてモデル209 の自社開発を開始した。また、米陸軍もAAFSSまでの暫定機種として シコルスキーS−61カマンSH−2ボーイングCH−47、 パイアセッキ・モデル16、そしてベル・モデル209の中から武装攻撃ヘリコプターを選定することと し、2ヶ月という短期間の実用試験を経てベル・モデル209をAH−1として採用することにしたので ある(AH−56がキャンセルされた後は暫定という呼称は外され、正式な採用機種となった)。
 正面面積を減らし被弾率や被発見率を抑えるためタンデム(縦列複座)操縦席配置とし、前席に銃手、 一段高くなった後席に操縦士を搭乗させるこのスタイルは以降の攻撃ヘリのスタイルを確立したと言って も過言ではないだろう。
 ベトナムに投入された米陸軍のAH−1Gは期待どおりに遺憾なくその能力を発揮したため、米海兵隊 もシーコブラとして採用を決定、1970年から引き渡しが開始されている(陸軍向けはヒューイコブラ 、海兵隊向けはシーコブラと呼称される)。米陸軍では後継として採用された AH−64へ主流が移行しているが、米海 兵隊は後継機の導入計画も無く現在も能力向上させた当機を使用している。また、その能力の高さから海外 顧客も多く、日本やイスラエルをはじめ韓国、帝政イラン、パキスタン、ギリシア、ヨルダン、トルコ、タ イなどにも輸出され現在も第一線で活躍中である。

機体詳細データ(AH−1W)
寸法(L×W×H/ロータ径)17.68×3.23×4.12m / 14.63m
(全長はロータ含む。全幅は短翼幅。胴体のみの全長は13.59m)
機体重量(自重/全備)4,634kg / 6,690kg
飛行速度(最大/巡航)352km/h / 278km/h
上昇率(海面上)244m/min
上昇限度(実用/限界)4,270m / 地面効果内ホバリング限界 4,495m
離着陸距離(離陸/着陸)−−−−−−−
航続距離587km(最大燃料)
エンジンジェネラルエレクトリック社製 T700−GE−401ターボシャフト×2基
出力 1,723hp×2  機体内燃料搭載量 約770kg
武装20mmM179多銃身機関砲×1(弾数750)、短翼パイロンにロケット弾ポッド×2〜4、TOW対戦車ミサイル×8、AIM−9L対空ミサイル×2、GPU−2機関砲パック×2などを搭載可能
乗員数/機体初飛行2名 / 1965年9月7日
備考(各タイプ詳細) Model 209:ベル社自社開発の原型。T53エンジン1基搭載(2機)
AH-1G:米陸軍向けの生産型。機首に7.62mm機銃と手榴弾投下装置を装備
TH-1G:操縦士訓練用に複操縦装置を搭載したG型
AH-1J:米海兵隊向け生産型。T400エンジン1基、20mm機関砲搭載
AH-1Q:AH−1Gを改装した能力向上型。S型導入前の中間機
AH-1R:G型のエンジン出力向上型。S型のテストベッド機
(改修型)AH-1S:G型を改修したS型準拠の機体
(生産型)AH-1S:米軍呼称AH−1P。出力強化。平面ガラス風防装備
(増強型)AH-1S:米軍呼称AH−1E。20mm(または30mm)機関砲搭載
(近代化)AH-1S:米軍呼称AH−1F。レーザー測距器、新火器管制装置搭載
TH-1S:AH−64の操縦士訓練用に改修されたS型
AH-1T:J型の近代化改修型。出力強化、TOW搭載能力付加
AH-1W:米海兵隊向けの現行生産型。T700エンジン2基搭載により性能向上
AH-1Z:S型を元にした次世代型。統合コクピットや4枚羽根ローターを採用予定
LAST UPDATE 2001,01,28