ボーイング C−97/KC−97

C-97/KC-97 , Boeing

KC-97
米空軍で博物館展示用として保存されているKC−97L

 第二次大戦中は各国軍とも前線で戦う機体の開発に重点を置いていたため、後方支援で使用される輸送機開発の 遅れは避けられなかった。米国も例外ではなく1941年から42年にかけて B−29爆撃機の機体を利 用した大型輸送機の設計を行い原型機3機の製作契約を締結したものの、1号機の完成は1944年になってから であった。
 ボーイング社が米国陸軍航空隊から発注を受けた原型機XC−97(社内名称モデル367)はB−29が 円形断面を持つ胴体だったのに対して円を二つ組み合わせたダルマ型断面を持っており、この断面設計はその 後設計される輸送機・旅客機の常識となった(現代の旅客機なども客室断面はダルマ型であるが、空気抵抗軽 減のため外観は円形となるように整形されている)。
 生産前型YC−97は第二次大戦終結に間に合わなかったが、終戦後MATS(軍事輸送部隊)に就役した 機体は本土−ハワイ間の路線に新時代を築き、また1948年から始まったベルリン大空輸でもその能力を 遺憾なく発揮している。
 1950年に朝鮮戦争が勃発するとボーイング社はC−97(KC−97)の大量発注を受けたが、同時に B−47爆撃機の生産や B−52爆撃機の開発も受注してい たためボーイング社の生産ラインは殺人的な業務量に忙殺されることとなった。また1950年代になって「フ ライングブーム」式の空中給油実験が開始されKC−97空中給油機も大量に製作されることとなった。
 軍用C−97(KC−97含む)は総数888機が生産され、1956年に生産終了している。また、ボーイ ング社は当機の民間向け型としてモデル377を開発、1950〜60年代には世界各国の航空会社で国際路線 に就役させた。余談ではあるが大型貨物輸送機として、またその特異なスタイルが有名な「グッピー」輸送機も モデル377がベースとなった機体である。

機体詳細データ(民間向けモデル377−10−28)
寸法(L×W×H/翼面積)33.63×43.05×11.68m / 164.3m2
機体重量(自重/全備)38,000kg / 67,100kg
飛行速度(最大/巡航)604km/h / 547km/h
上昇率(海面上)不明
上昇限度(実用/限界)9,520m
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離7,400km
エンジンプラット&ホイットニー社製 R−4360−TBS−6レシプロエンジン×4基
出力 3,500hp×4
武装武装なし
乗員数/機体初飛行乗員5名+乗客81名 / 1944年11月15日
備考(各タイプ詳細) XC-97:原型機。ライトR3350エンジン搭載(3機)
YC-97:生産前機。新型の電気システムや袋型燃料タンクを持つ(6機)
YC-97A:P&W R4360エンジン搭載の生産前機(3機)
C-97A:最初の生産型。搭載燃料増大、天候レーダー搭載(50機)
KC-97A:C−97Aに空中給油装備を搭載した改修型試験機(3機改修)
YC-97B:後部傾斜路扉を無くし、乗客搭乗設備を搭載した試作型(1機)
C-97C:貨物室の床を補強し、搭載量を増大させた機体(14機)
MC-97C:C−97Cを改修した患者輸送機の呼称
VC-97D:C−97Cを改修した空中指揮機の呼称(3機改修)
KC-97E:最初の生産型空中給油機(60機)
KC-97F:エンジン出力強化型の空中給油機(159機)
KC-97G:空中給油機兼貨物輸送機型。最多生産モデル(592機)
C-97G:KC−97Gを改修、空中給油装備を外した機体の呼称(135機改修)
EC-97G:特殊電子任務用に改修されたKC−97G(3機改修)
HC-97G:捜索救難機に改修されたKC−97G(30機前後?改修)
KC-97H:吹き流し(ドローグ)式空中給油装備も搭載したモデル。既存機改修
C-97K:兵員輸送用に改修した機体。空中給油装備は残されている
KC-97L:翼下に増力用ジェットエンジンを搭載したモデル。既存機改修(82機改修)
Model 377:同機体の民間向けモデルの呼称。BOAC、PANAMなどが採用
LAST UPDATE 2001,03,17