アントノフ An−2”コルト”

An-2 "COLT" , Antonov

An-2
ポーランドで生産されたAn−2P

 第二次大戦中にヤコブレフ設計局の一員として航空機の設計に携わったオレグ・アントノフが 設計した小型輸送機。頑丈さと扱いやすさを第一に設計されているため、時代錯誤的な複葉(一 葉半)機であるが、現在もかなりの機体が現役で使用されている息の長い輸送機である。
 胴体はモノコック製の全金属構造であるが、主翼後半部と水平尾翼は布張りで作られている。 これは操舵面の操作抵抗を低減するためである。上下翼の間は1本の翼間支柱で連結されてい るが、この支柱は空気抵抗を減らすため断面が流線型になるよう成型されている。初期の生産機 にはASh−21星形エンジン(760hp)が搭載されていたが、これは後にASh−621に変更 されている。
 ソビエト本国では1960年代末に生産が終了しているが、1960年からはポーランドのWS K−PZL社においてライセンス生産が開始されており、長い間生産が続けられた。また中国でも 当機のライセンス生産が行われており、中国製の機体は中国人民軍や北朝鮮(朝鮮民主主義人民共 和国)軍に多数配備され現在も現役である。ちなみに全製造機数は15,000機を超えると伝え られており、そのうち約6割がポーランド製であると言われる。当機のNATOコードは"コルト" (仔馬)と名付けられた。

機体詳細データ(An−2P:民間旅客用)
寸法(L×W×H/翼面積)12.74×18.18×4.0m / (上翼)43.6+(下翼)28.0m2
(全幅は上翼の長さ。下翼部の全幅は14.24m)
機体重量(自重/全備)3,450kg / 5,500kg
飛行速度(最大/巡航)258km/h(1,750m) / 185km/h
上昇率(海面上)不明
上昇限度(実用)4,400m
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離900km(有償荷重500kg時)
エンジンシュウェストフ ASh−621R星形ピストンエンジン×1基
出力 1,000hp
武装武装なし。最大貨物搭載量 1,240kg
乗員数/機体初飛行乗員2+乗客12名 / 1947年8月31日
備考(各タイプ詳細) 【旧ソビエト・アントノフ設計局製機体】
SKh-1:アントノフ設計局成立以前の当機の呼称。「農業経済1号」の略
An-2F:着弾観測機の試作型。胴体中央部がガラス張りで、自衛用機銃を搭載する
An-2L:消防用機。翼下および胴体下に消火用薬品を搭載する
An-2P:旅客用機。同じ呼称で1,240リットルの水を搭載できる消防用機も存在する
An-2S:農業用機。薬剤散布装置を搭載、主脚がP型よりも長い
An-2V:主脚を双フロートに変更した水上機型。プロペラ直径を短縮。設計局呼称An-6
An-2ZA:高々度気象研究機。垂直尾翼前に観測員席を追加している
【ポーランド・WSK−PZL製機体】
An-2T:基本モデル。貨物用機。多数が旧東側諸国などに配備された
An-2 Geofiz:地球物理調査機。任務に合わせたワンオフ製作機である
An-2S:担架6台と医療要員を搭載できる病院機
An-2M:T型ベースの水上機型。アントノフ製のV型と同等の機体である
An-2P:旅客用機。アントノフ製のP型と同等であるが、改良型プロペラを装備
An-2PK:要人用輸送機。乗客5名を搭載する
An-2 Photo:航空写真測量用機。胴体にカメラを装備
An-2PR:テレビ放送用電波の中継用機
An-2R:農業用機。薬剤もしくは肥料散布が可能。気密操縦席を持つ
An-2TD:折り畳み式座席(12座席)を持つ落下傘降下部隊用機
An-2TP:TD型をベースにした民間用旅客/貨物兼用機
Lala-1:ターボファンエンジン搭載実験機。胴体後尾を双胴(ブーム)式に変更
【中国・ハルビン航空機製造工廠製機体】
Y-5:中国での当機の呼称。運輸5型。主に旅客/貨物輸送用
LAST UPDATE 2001,07,03