マクダネル FH−1ファントム

FH-1 PHANTOM , McDonnell

FH-1
米海軍のFH−1ファントム戦闘機

 第二次大戦の最中である1942年、米国海軍は新技術であるジェットエンジンを搭載する艦上戦闘機の 開発を計画した。しかし、戦時中ということもあって大手の航空機メーカーは全て現在の戦いに必要な機体 の生産に忙殺されていたため、このようなモノになるか判らない開発事業に割ける余力を持っていなかった。 そこで海軍航空局は、新興の弱小メーカーであったマクダネル社に対して試作機の開発研究を行わせること にし、翌43年8月に同社に対して発注を行った。
 当機原型機の発注当初の機体名称はXFD−1とされた。”D”の名称は米海軍の機体命名法[1922 United States Navy aircraft designation system]に よるとダグラス社に与えられていたものであるが、発注当時にダグラス社は米海軍(および海兵隊)に対し て戦闘機(”F”)を供給していなかったため、今回の機体でマクダネル社に再割当てされたものであった。 しかし、結局はダグラス社との混同が紛らわしいとして、1947年にマクダネル社には”H”の名称が 与えられ、当機の名称もFH−1と変更されている。
 開発着手当初は充分な能力を持つターボジェットエンジンが無かったため、試作案として小型のエンジン を多数(6〜8基)搭載することも検討されたようだが、ウエスチングハウス社が開発に成功したX19A エンジンだと2基で必要な推力をまかなえることが判ったため、このエンジンを主翼付け根の胴体両側面に 搭載する機体とすることに決定した。
 低翼単葉3車輪式の直線翼を持つ原型1号機は1945年1月に完成したが、搭載するエンジンは1基し か完成していなかったため、同月26日の初飛行ではエンジンを1基だけ搭載して飛行に成功している。戦 時中だったため米海軍は飛行試験の完了を待たず、45年3月に100機の量産型を発注した(その後、終 戦により60機に契約変更)。
 量産型の受注後も原型機による飛行試験は継続され、ようやく完成したエンジンを2基搭載した原型機は それなりの能力を示している。1946年7月21日には就役したばかりの大型空母 フランクリン・D・ルーズベルトから の発着試験に成功し、世界初の航空母艦から運用されたジェット戦闘機となっている。
 量産型は1947年1月から納入が開始され、同年7月に米海軍最初のジェット戦闘機による飛行隊VF −17Aへの配備が行われた。その後米海兵隊のVMF−122およびVMF−311両飛行隊にも配備が 行われたが、すぐに後継機となるF2Hが 配備され始めたため、1950年代半ばまでに全機が退役した。

機体詳細データ
寸法(L×W×H/翼面積)11.35×12.42×4.32m / 25.60m2
機体重量(自重/全備)3,030kg / 5,500kg
飛行速度(最大/巡航)770km/h / 400km/h
上昇率(海面上)1,290m/min
上昇限度(実用)12,500m
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離1,100km(標準武装時)、1,580km(増加燃料タンク装備時)
エンジンウエスチングハウス社製J30-WE-20ターボジェットエンジン×2基(推力730kg×2)
武装12.7ミリ機銃×4(機首固定)
乗員数/機体初飛行1名 / 1945年1月26日
備考(各タイプ詳細) XFD-1:原型機名称
FD-1:当初の量産型名称。納入直前にFH-1へ改称された
LAST UPDATE 2010,10,30