マクダネル F2H(F−2)バンシー

F2H(F-2) BANSHEE , McDonnell

F2H-2
着艦体制の米海軍F2H−2バンシー戦闘機

 世界初の艦上ジェット戦闘機となるFD(FH)−1原型機 の初飛行に成功したマクダネル社に対し、米海軍はFD(FH)−1の発展改良型となる機体の開発を指示し、 1945年3月にXFD−2の名称で原型機3機の発注を行った。これは同時期に開発が行われていた ノースアメリカン社のXFJ−1や ヴォート社のXF6U−1といった機体の 開発失敗に備えた保険的な意味合いもあったと思われる。
 マクダネル社では堅実な手法として、すでに飛行に成功しているFD(FH)−1の機体設計を大型化した試作機 案を完成させた。FH−1の拡大型だけあって機体形状はFD(FH)−1と類似しているが、主翼の折りたたみ機 構や後方視界を良くした水滴型風防、胴体拡大による搭載燃料の増加、搭載火器の強化などの改良が盛り込 まれており、機体の大型化を支えるためFD(FH)−1の倍近い推力を持つエンジンが搭載された。
 戦争終結のあおりから原型機の開発作業は遅れたが、1947年1月にようやく完成した原型1号機(こ の頃には名称をXF2H−1と改称していた)は無事に初飛行に成功し、このとき見せた上昇率は当時の米 海軍主力艦上戦闘機F8Fの 倍(F8F-1で4,570フィート/分、XFH2-1は9,000フィート/分)という強力なものであった。その後の飛行試 験および審査の結果同年5月には量産型56機の生産契約を受けている。
 最初の量産型F2H−1は1948年8月から米海軍へ納入が開始され、50年から始まった朝鮮戦争では 最初は護衛戦闘機として、その後さらに優秀なジェット戦闘機が配備され始めると偵察機として活躍している。 また、1955年にはカナダ海軍が米海軍の中古機体を購入し、近代化改修の終わった 航空母艦ボナヴェントゥラに 搭載されたほか、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)の指揮下で地上基地からの迎撃任務にも従事した。
 米海軍(海兵隊含む)やカナダ海軍の機体は1960年代に全機が退役している。

機体詳細データ(F2H−3)
寸法(L×W×H/翼面積)14.68×12.73×4.42m / 27.30m2
機体重量(自重/全備)5,980kg / 11,400kg
飛行速度(最大/巡航)933km/h(海面高度) / 740km/h
上昇率(海面上)1,830m/min
上昇限度(実用)14,200m
離着陸距離(離陸/着陸)不明
航続距離1,900km(通常武装時)、2,760km(増加燃料タンク使用時)
エンジンウエスチングハウス社製J34-WE-34ターボジェットエンジン×2基(推力1,470kg×2)
武装20ミリ機関砲×4(機首固定)、主翼下に無誘導ロケット弾×8または227kg爆弾×6
(カナダ軍の迎撃任務装備として主翼下にAIM-9サイドワインダー空対空ミサイル×2)
乗員数/機体初飛行1名 / 1947年1月11日
備考(各タイプ詳細) XFD-2:原型機呼称。後にXF2H-1と改称(3機)
F2H-1:最初の量産型。J34-WE-22エンジン(推力1,360kg)搭載(56機)
F2H-2:F2H-1の改良型。J34-WE-34エンジン搭載。翼端燃料タンク装備(308機)
F2H-2B:F2H-2の主翼下に爆弾架を装備した戦闘爆撃機型。227kg爆弾×4(25機)
F2H-2N:F2H-2の機首にレーダーを装備した夜間戦闘機型(14機)
F2H-2P:F2H-2の武装を撤去しカメラを搭載した偵察機型(89機)
F2H-3:胴体延長、レーダー装備、爆弾架装備の全天候戦闘機型。後にF-2Cと改称(250機)
F2H-3P:F2H-3の写真偵察機型。提案のみ
F2H-4:J34-WE-38エンジン(推力1,630kg)搭載型。全天候戦闘機。後にF-2Dと改称(150機)
F2H-5:後退翼型の非公式呼称。XP-88の主翼を装備。提案のみ
LAST UPDATE 2010,10,30