川西 大型輸送飛行艇「蒼空」

海軍:昭和19年〜20年

空飛ぶ揚陸艦

写真なし

 太平洋戦争も後半となった昭和18年以降はアメリカの反攻が激化され、潜水艦による海上封鎖など により日本軍の海上輸送は大打撃を蒙るようになってきた。そこで海軍では 二式飛行艇やその輸送機型である 輸送飛行艇「晴空」を使用して細々と 人員輸送を行っていたが、機数も少ないため輸送できる人員・貨物もたかがしれたものであった。
 そこで、海軍では二式飛行艇を拡大改良した輸送用大型飛行艇開発を計画、空技廠が提案した簡易構 造の輸送飛行艇案を元に川西に対して試作指示を行った。空技廠提案は全木製という途方もない物であ ったが、強化木材の研究が進歩したため一応の見通しはついたとしての試作発注である。
 機体スタイルは二式飛行艇を大型化したものであるが、機首部に観音開きのドアを持っており、ここ から兵員や貨物の乗降が可能となっている。これは大型貨物の搭載を容易にするほか、武装兵士を搭乗 させた場合、海岸などの上陸地点へ直接着水し海岸へのし上げて揚陸艦のような役目を果たすのも考慮 されていたものと思われる。
 当機の必要性・重要性は海軍内部でも認められていたものの、資材不足や技術力低下などにより計画 は進まず、昭和20年6月頃には既に計画は中断したままとなっており縮小サイズのモックアップを完 成させたのみで終戦を迎えている。

機体詳細データ(大型輸送飛行艇「蒼空」[H11K])
全長37.72m全高12.58m
全幅48.00m翼面積290.0m2
自重不明最大重量45,500kg
最高速度370km/h上昇限度不明
航続距離3,890kmプロペラ定速4翅
発動機三菱「火星」二二型空冷複列星形14気筒 公称1,680馬力×4基
乗員数乗員5名+乗客80名総生産機数実機完成せず
武装武装なし
主要タイプ 「試製蒼空」:大型輸送飛行艇。設計段階で終戦、実機完成せず